「人間不平等起源論」の版間の差分

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== 概要 ==
ルソーは、本書において人間の社会における不平等の起源を探り、[[自然状態]]とは何か、[[自然人]](野生の人)とはどのようなものかについて論じた上で、その不平等は[[自然法]]によって許容できるものかについて論じている。
 
{{Quotation|……[[森林|森]]の中をさまよい、器用さもなく、言語もなく、住居もなく、戦争も同盟もなく、少しも同胞を必要ともしないばかりでなく彼らを害しようとも少しも望まず、おそらくは彼らのだれをも個人的に見覚えることさえけっしてなく、未開人はごくわずかな情念にしか支配されず、自分ひとりで用がたせたので、この状態に固有の感情と知識しかもっていなかった。彼は自分の真の欲望だけを感じ、見て利益があると思うものしか眺めなかった。そして彼の知性はその虚栄心と同じように進歩しなかった。……技術は発明者とともに滅びるのがつねであった。教育も進歩もなかった。世代はいたずらに重なっていった。そして各々の世代は常に同じ点から出発するので、幾世紀もが初期のまったく粗野な状態のうちに経過した。種はすでに老いているのに、人間はいつまでも子供のままであった。|ルソー|『人間不平等起源論』、[[本田喜代治]]、[[平岡昇]]共訳、[[岩波文庫]]、1972年、80頁。}}