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安楽椅子探偵は原則として事件現場に向かわないため、視覚的観点から現場の空間把握や新証拠発見可能性などが著しく減少することになり、通常の推理と比べ著しく不利な立場にある。また、安楽椅子探偵の傾向として、自分の推理の正しさを自分から立証しようとしないという物があり、場合によっては探偵自身が「これはひとつの推論に過ぎない」などとして、真相はどうであったかは曖昧にしてしまうケースもままある。よって作品の出来映えには、論理的な破綻を読者に感じさせず、なおかつ予想外の驚きを与えるという相反する構成を要求される。
 
[[シャーロック・ホームズ]]のように、本来行動型の探偵が作品によって安楽椅子探偵を務めるということも少なくない。このような場合には、ホームズ安楽椅子探偵と呼ばれることはないが、その作品については「安楽椅子探偵もの」と呼ばれる。一方で、[[隅の老人]]のような安楽椅子型の探偵<ref name="オルツィ">バロネス・オルツィ『隅の老人の事件簿』深町眞理子訳、東京創元社〈創元推理文庫〉、1977年、326-346頁</ref><ref name="仁賀">仁賀克雄『新 海外ミステリ・ガイド』論創社、2008年、30-31頁</ref><ref name="郷原">郷原宏『名探偵辞典 海外編』東京書籍、1997年、39-41頁</ref>が自ら証拠集めを行うこともある。実際にシリーズを通して主人公が安楽椅子探偵を貫徹している作品は少なく、安楽椅子探偵かどうかは、多分に読者の印象や、作者のプロットに影響される傾向がある。
 
なお、変り種として、[[アームチェア|安楽椅子]]そのものが探偵という作品もある(『安楽椅子探偵アーチー』、[[松尾由美]])。