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== 法の不遡及に反するという指摘がある近現代の立法例・裁判例 ==
=== 戦犯法廷 ===
[[第二次世界大戦]]以前においては、国家機関として行為した個人には、刑事免責が認められるとされていた([[国家行為の法理]])。しかし第二次世界大戦において連合国はニュルンベルク原則<ref>国際法上の犯罪を国家に帰属させるのではなく個人に帰属させるという原則。「国際法上の犯罪は人により行われるものであり、抽象的な存在によって行われるものではない。したがって、当該犯罪を行った個人を処罰することによってのみ、国際法上の犯罪規定は履行されうる」Office of United States of Counsel for Prosecution of Axis Criminality,Nazi Conspiracy and Aggression. Opinion and Judgement(1947),P.53 。直接の引用は「個人の処罰と国家責任の賦課による「ジェノサイド罪」規定の履行」木原正樹(神戸学院法学第38巻1号2008.9)[http://www.law.kobegakuin.ac.jp/~jura/hogaku/38-1/38-1-06.pdf]</ref>を提示したため法の不遡及の論点が生じ、敗戦国の指導者及び協力者達を国際法上の「犯罪者」として責任を問うたため、この処置は法の不遡及に反するという指摘がなされている<ref>「戦争犯罪と法」 多谷千香子著 岩波書店 ISBN 4000236660</ref>。一方でドイツ第3軍事裁判所<ref>アメリカ軍の管轄裁判所であり3人の判事はすべてアメリカ人であった</ref>は、立憲国家の成文憲法のもとで妥当している事後法の遡及禁止原則は(ただちには)国際法には適用されないと判示しており、条約や協定など国際的に承認された実体的な規範(モスクワ宣言・ロンドン協定)が法律を超える法として実在しており、仮にその条約をドイツが承認していないとしても殺人や暴行などがドイツ刑法上の犯罪類型に該当する限りにおいて遡及立法の排除原則によっても斥けられないとしている<ref>「ナチスの法律家とその過去の克服-1947年ニュルンベルク法律家裁判の意義-」本田稔(立命館法学2009年)[http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/09-56/honda.pdf]P.19-22</ref>。なおこの点については軍事裁判所は軍律審判であり占領軍が占領地において[[ハーグ陸戦条約]]においても認められた軍事行動(強制外交手段)の一環である<ref>「近代日本に於る参審の伝統」石田清史(苫小牧駒澤大学紀要、第14号2005.11)P.61、PDF-P.63[http://www.t-komazawa.ac.jp/university/bulletin/pdf/kiyou14.pdf]</ref>点については注意が必要である。
* [[ニュルンベルク裁判]]([[ドイツ]])
* [[極東国際軍事裁判|東京裁判]]([[日本]])