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本来は[[北アメリカ]]南東部の[[固有種]]だったが、[[釣り]](スポーツフィッシング)や食用の対象魚として世界各地に[[移植 (生物)|移入]]された。[[コクチバス]] {{Snamei|M. dolomieu}}、[[フロリダバス]](フロリダ・ラージマウスバス){{Snamei|M. floridanus}} などと共に、通称「[[ブラックバス]]」と呼ばれることが多い。また、単に「バス」と呼ばれることもある。日本に移入された当初はオオクチクロマスとも呼ばれたが、サケ科のマス類と混同されるためにこの呼称は現在では使用されていない。中国名で大口黒鱸と呼ばれる。
 
== 分布 ==
[[ミシシッピ川|ミシシッピ水系]]を中心とした北アメリカ南東部に分布するが、食用や釣りの対象として世界各地に移入されている。原産地の[[アメリカ合衆国]]では、[[アラバマ州]]・[[ジョージア州]]・[[ミシシッピ州]]・[[フロリダ州]]の州魚に指定されている。
 
== 特徴 ==
成魚は全長30-50cmに達するが、最大で[[ジョージア州]]の[[ジョージ・ペリー]]氏が釣り上げた全長97.0cm・体重10.09kg・年齢23歳の記録がある。
日本でも[[琵琶湖]]で[[栗田学]]氏によって全長73.5cm、体重10.12kgの世界記録タイ(IGFAオールタックル世界記録では体重で大きさが決まるため)が[[ブルーギル]]を餌にして捕獲されている。口が目の後ろまで裂ける点でコクチバスと区別できる。
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アメリカ国内のハプロタイプ分布は十分に解明されておらず、日本に移入された個体の系統の由来地域の解明も不十分である。アメリカ及び日本国内のハプロタイプ分布が十分に解明されると、日本への移入が既知の1925,1972年以外に行われていたのかの解明が行えると期待される。
 
== 外来種問題 ==
=== 導入===
日本ではほとんどの都道府県で多くの湖・池に生息している淡水魚で人為的に移入された外来種である。日本に持ち込まれたのは、1925年に実業家の[[赤星鉄馬]]により[[芦ノ湖]]に放流されたのが最初である<ref name="自環研セ2008">{{cite book | 和書 | author = 多紀保彦(監修) 財団法人[[自然環境研究センター]](編著) | title = 決定版 日本の外来生物 | publisher = [[平凡社]] | date = 2008-04-21 | isbn = 978-4-582-54241-7 }}</ref>。
1970年代以降、日本での分布が急速に拡大し、環境問題に発展している<ref name="自環研セ2008"/>。釣り人による[[密放流]](ゲリラ放流)、[[琵琶湖]]産のアユ種苗やゲンゴロウブナへの混入などによりその生息域を広げたと考えられている。導入経路や非公式な違法放流については[[ミトコンドリアDNA]]の解析によりその実態が明らかになっている<ref name="高村2005"/><ref name="青木ほか2006">{{Cite journal|和書|author=青木大輔・中山祐一郎・林 正人・岩崎魚成|year=2006| title=琵琶湖におけるオオクチバスフロリダ半島産亜種(Micropterus salmoides floridanus)のミトコンドリアDNA調節領域の多様性と導入起源 |journal=保全生態学研究 |volume=11|issue=1|pages=53-60 }}</ref><ref name="北野ほか2008">{{Cite journal|和書|author=北野 聡・武居 薫・川之辺素一・上島 剛 |year=2008| title=長野県内で確認されたオオクチバス及びコクチバスのミトコンドリアDNAハプロタイプ |journal= 長野県環境保全研究所研究報告|volume=4|pages=75-78 }}</ref>。
 
=== 影響 ===
捕食や[[競争 (生物)|競争]]により本来日本の湖・池に生息していた魚(在来魚)を減少させるとして[[コクチバス]]や[[ブルーギル]]と並び問題視されている<ref name="自環研セ2008"/>。[[メダカ]]、[[ゼニタナゴ]]、[[ジュズカケハゼ]]、[[シナイモツゴ]]といった希少な魚を減少させるなど魚類相に大きな影響を与えている<ref name="自環研セ2008"/>。また、魚類だけでなく[[甲殻類]]や水生昆虫にも被害が発生しているほか、そうした生物を餌にする水鳥などの他の生物にも悪影響を及ぼす<ref name="自環研セ2008"/>。さらに、[[アカネズミ]]などの[[齧歯類]]や[[ヒミズ]]などの[[トガリネズミ目|食虫類]]といった小型哺乳類、[[アオジ]]や[[オオジュリン]]といった鳥類の直接的な捕食事例も確認されている<ref name="中野・西原2005">{{Cite journal|和書|author=中野晃生・西原昇吾|year=2005| title=オオクチバス Micropterus salmoides に摂食されたヒミズ Urotrichus talpoides |journal=哺乳類科学 |volume=45|issue=2|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/45/2/45_2_177/_pdf|format=PDF|pages=177-179|accessdate=2012-05-07}}</ref><ref name="嶋田・藤本2009">{{Cite journal|和書|author=嶋田哲郎・藤本泰文|year=2009| title= オオクチバスによる小鳥の捕食|journal=Bird Research |volume=5|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/birdresearch/5/0/5_0_S7/_pdf |format=PDF|pages=7-9|accessdate=2012-05-07}}</ref>。本種は[[日本生態学会]]により[[日本の侵略的外来種ワースト100]]に選定されているが、[[国際自然保護連合]]によって[[世界の侵略的外来種ワースト100]]のひとつにも選ばれており世界的に問題となっている<ref name="生態学会2002">{{cite book | 和書 | author = 村上興正・鷲谷いづみ(監修) [[日本生態学会]](編著) | title = 外来種ハンドブック | publisher = [[地人書館]] | date = 2002-09-30 | isbn = 4-8052-0706-X }}</ref>。
 
=== 対策 ===
事態を重くみた環境省は、2005年(平成17年)6月施行の「[[外来生物法]](特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」でコクチバスと共にオオクチバスの規制(輸入・飼養・運搬・移殖を規制する)を目指すことになった<ref name="瀬能2006">{{Cite journal|和書|author=瀬能 宏|year=2006| title=外来生物法はブラックバス問題を解決できるのか?|journal=哺乳類科学 |volume=46|issue=1|url= https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/46/1/46_1_103/_pdf|format=PDF|pages=103-109|accessdate=2012-05-07}}</ref>。しかし、2004年10月から開始されたオオクチバスを[[特定外来生物]]に選定する是非を決める会議では、全国内水面[[漁業協同組合]]連合会や外来種問題を危惧する研究者などの指定賛成派と、[[日本釣振興会]]、[[全日本釣り団体協議会]]、釣魚議員連盟といった指定反対派との間で意見が大きく対立し議論は難航した<ref name="瀬能2006"/>。結果、2005年1月19日の第4回小会合にてオオクチバスの指定については半年まで検討期間を延長することになった<ref name="瀬能2006"/>。ところが、その2日後に当時の[[環境大臣]]がバスは指定されるべきとの発言をしたため急遽方針が転換され、結局オオクチバスは特定外来生物に1次指定されることが決定した<ref name="瀬能2006"/>。こうした混乱や衝突はオオクチバスが大規模なバス釣り産業を形成しており経済的に重要な価値を有することが背景にあり、外来種問題の解決の難しさが窺える事例となった<ref name="瀬能2006"/><ref name="Idb"/>。また、多くの都道府県でも、内水面漁業調整規則に基づき移殖放流が禁止されている<ref name="自環研セ2008"/>。1965年に移入された芦ノ湖の[[漁業権]]を管理する神奈川県は、オオクチバスを含めたブラックバスに関して移植をしてはならないとした<ref>[http://www.agri.pref.kanagawa.jp/SUISOKEN/naisui/news/kisoku.htm 神奈川県内水面漁業調整規則第30条の2]</ref>。さらに、日本国外ではイギリスや韓国などで国内への持ち込みが禁止されている<ref name="自環研セ2008"/>。
 
稚魚のすくい取り、産卵床の破壊、人工産卵床の設置、地引き網、池干しといった方法で防除が行われている<ref name="Idb">[http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/50330.html オオクチバス] [[国立環境研究所]] 侵入生物DB</ref><ref name="高橋2005">{{Cite journal|和書|author=高橋清孝|year=2005| title=オオクチバスMicropterus salmonides駆除の技術開発と実践|journal=日本水産学会誌|volume=71|issue=3|naid=110003161621 |pages=402-405 }}</ref>。環境省では2005年度から「オオクチバス等防除モデル事業」を伊豆沼・内沼、羽田沼、[[片野鴨池]]、犬山市内のため池群、琵琶湖、[[藺牟田池]]の6つの地域で実施した<ref name="種生物学会2010">{{cite book | 和書 | author = [[種生物学会]] | title = 外来生物の生態学 進化する脅威とその対策 | publisher = [[文一総合出版]] | date = 2010-03-31 | isbn = 978-4-8299-1080-1}}</ref>。また、市民活動も盛んに行われており、2005年には「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」が結成されている<ref name="種生物学会2010"/><ref name="ノーバス">[http://www.no-bass.net/ 全国ブラックバス防除市民ネットワーク]</ref>。防除対策によって減少していた魚類の増加が確認され[[生態系]]の回復が実現している水域もある<ref name="高橋2005"/>。
 
=== 漁業権と外来種問題 ===
[[山梨県]]の[[河口湖]]、[[山中湖]]、[[西湖]]でのブラックバスの[[漁業権]]は1989-1994年に認められ、2005年施行の[[外来生物法]]でブラックバスの放流が禁じられた後も「特例」として許可されてきた。2014年1月の免許更新期を前に、地元漁協や自治体が継続を求め、[[日本魚類学会]]や[[NPO]]や[[自然保護団体]]などが反対していた。山梨県が地元漁協の免許の特例更新を認める方針を固めた。
 
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身は癖のない白身で、[[ムニエル]]、[[フライ (料理)|フライ]]、[[ポワレ]]などで食べられる。体表面の粘膜に生臭さがある場合が多いため、これを身につけないようにするのがコツとされる。表面に生臭みがある淡水魚は塩もみするか、濃い塩水中でタワシで洗うと落とせる。または、[[霜降り]]か[[泥抜き]]で臭みをとる。 小骨にも注意。また、生食では[[顎口虫症]]による健康被害が報告されており<ref>[http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/gnathostomiasis.html 日本顎口虫(がっこうちゅう)症] 愛知県衛生研究所</ref>[[寄生虫]]対策として加熱して食べる必要がある。<!--豚肉とおなじ理由。またライギョ等の淡水魚は寄生虫の中間宿主となりやすい-->水のきれいな水域の個体が美味で、汚染の危険性も低い。また、オオクチバスよりも[[コクチバス]]の方が身が締まっていて食味において勝っているとも言われる{{要出典|date=2007年6月}}。
 
オオクチバスを含めた[[サンフィッシュ科]]魚類は、原産地である北米では食用魚とされてきた。日本でも元々食用としての用途も意図されて移植されたが、専ら釣り(遊漁)の対象魚とされている。釣ったオオクチバスは再[[放流]]されることが多いが、一部ではオオクチバス料理を提供している店舗もある。80年代頃に全国的に生息域が拡大し、在来生物層の保護という観点から、901990年代初頭には沖縄県を除く全ての都道府県で無許可での放流が禁止された。<!--本国のアングラー達を真似てみるつもりで一回食べて見るのも一興かもしれない。因みになにげに料理店で出される白身魚の料理でも、実はバスが使われている、ということも結構あるらしく、台湾など淡水魚が好んで食べられる地域では、かなり重用されている、この為台湾では野生のオオクチバスは珍しくなったらしい。-->
 
== 漁業権魚種 ==