「インクジェットプリンター」の版間の差分

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== インク ==
[[ファイル:Canon S520 ink jet printer - opened.jpg|thumb|インクジェットプリンターの4色インクカートリッジ]]
インクジェットプリンターでの印刷に使用されるインクは、オンデマンド型プリンターではほぼすべて水のインクが使用されている。これは主に[[染料]]インクと[[顔料]]インクの2系統に分けられる。
=== 色インク ===
インクジェットプリンターでカラー印刷を行う場合は、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)を混ぜて他の色を表現する'''減色法'''([[減法混合]])が使われる。黒色はこの三色を混ぜることで理論的には表現できるが完全な黒色にすることは難しく、また三色のインクを同時に使用することはインク使用量を増やす結果となるため黒色表現のためのブラック(Bk)インクを搭載している。通常はC+M+Y+Bkの4色のインクで表現できるが、淡い色(人肌など)の粒状感を低減するために高級機種では通常より薄い(1/4~1/6程度)シアンとマゼンタを持つ物が多い。更にプロ向けの機種では、鮮烈な原色や発光色などを表現するため色空間を広くするための追加のインクを搭載するものもある。また普通紙への文書印刷における文字のにじみを低減する観点から染料インクとは別に顔料のBkを用意している、もしくは4色インクのうちBkのみ顔料という機種も多い。
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* 色再現性が高い。
* 光沢が出やすい。
* 乾きやすい。
 
 
短所は以下の通りである。
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* 耐水性が低い - 水に濡らすと、にじみが生じやすい。
* 耐光性が低い - 太陽光などが長時間当たると、色あせ(退色)を起こしやすい。
* 印刷後の色の変動が大きい - 色が落ち着くまで24時間程度必要
 
 
耐水性の低さに関しては、水性の[[フェルトペン|マーカーペン]]で印字物をなぞるだけでにじみを発生させ、インクジェットプリンターの欠点として大きく取り上げられたこともあったが、近年は改良が進んでいる。また、耐光性についても、メーカーにより差はあるものの、インクの分子構造を工夫するなどして改良が加えられている。<!--最近では、にじみを防止するため透明のコート材をあらかじめ塗布しておき、その上から染料インクを塗布することで、インク着弾時の広がりが抑えられ、にじみのない印刷を可能にするプリンターも登場している。--><!--これは染料ではないのでいったんコメントアウト。問題なければ後日消します-->
 
=== 顔料系インク ===
顔料系のインクは、水に分散しているインクの色素被印字媒体表面にさせ水を蒸発させ定着させ色をつける。顔料系インクの長所は以下の通りである。
 
* 耐水性が高い。
* 耐光性が高い。
* 印刷後の色の変動が少ない。
 
短所は以下の通りである。
 
* 耐摩擦性が低い - 顔料粒子が紙内部に浸透しないため印刷面をこすると色落ちしやすい
* 溶液としての安定性が悪い。
* 粒子であるため比較的ノズルの目詰まりを起こしやすい。
* 光沢が出にくい。
* 乾燥が遅い - 顔料インクが乾燥しにくいため、印刷直後に印刷物表面を触ると印字面が汚れやすい。このため両面印刷では、占領インクのものに比べて乾燥時間を長めに設定している。
 
 
今日の家庭用プリンターには、普通紙印刷における文字のにじみを低減する観点から染料インクとは別に顔料ブラックインクを用意、または染料ブラックインクを省きブラックインクは顔料のみ、という機種を販売しているメーカーが多い。セイコーエプソンでは、ブラックインクだけでなくカラーインクも顔料を採用した機種があり、リコーのジェルジェットと呼ばれるインクジェットプリンタは全色顔料である。
 
また、プロ写真家向けのプリンターについては多くが顔料インクのプリンターである。それは顔料インクは印刷後の色の安が早いため調整がしやすく、自分が望む思い通りの作品を作り出ことが出来るからである。顔料インクの短所である光沢感の不足を補うため、顔料粒子に樹脂コートが施されたインクや、光沢を出すための透明インク(グロスインク)を導入している機種もある。
 
=== その他のインク ===
[[File:UV printer MIMAKI 3042HG.JPG|thumb|[[ミマキエンジニアリング]]社UVインクジェットプリンタ UJF-3042HG]]
インクは紙や布などの液体を吸収する素材に対して有効であり、金属やプラスチックなどの媒体には印刷できない。これらの素材で使用されるインクジェットプリンターには'''油インク'''が用いられる。さらには加熱して溶融状態で塗布する'''ソリッドインク'''、インク着弾時に[[紫外線]]や[[電子]]線など[[電磁波]]を照射してインクを固まらせる'''UV硬化インク'''なども存在する。
 
また、屋外広告など特に耐候性が求められる分野ではソルベントインクなどの有機溶剤系インクが用いられる場合もある。