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'''櫻井 澄夫'''(さくらい すみお、桜井澄夫とも書く。[[1948年]] - )は文化史研究家、地名研究家、[[毛沢東]]バッジ研究家、[[ペイメントシステム]]、[[貨幣金融論]]、[[クレジットカード]]研究家。横浜地方史、日中関係史、都市比較論研究家。[[東京]]生まれ。[[神奈川県]][[横浜市]]在住。[[慶應義塾大学]]文学部史学科卒業。飛鳥田一雄(元横浜市長)、鳴海正泰、松沢常男に続く、横浜地名研究会4代目会長。地名関係の各種講演、地方自治体の研修講師、大学(中国の南京大学地名専修課程)の特別講師を務め、またクレジットカードの専門家として、国の内外で、クレジットカード・ペイメントカード関連の各種大会や行事、セミナーでの講演などを行っている。
 
== 概要 ==
横浜歴史文庫(私設)を主催。
「あおげば尊し」「灯台守」など、一連の唱歌の原曲の発見などで知られる櫻井雅人(一橋大学名誉教授、英語学、欧米歌謡論)は実兄、櫻井芳朗(元東京学芸大学教授。東洋史)は父。豊島師範(現在の東京学芸大学)、静岡師範(静岡大学)、東京府立第一高女(都立白鴎高校)などの校長を務めた櫻井賢三(哲学、教育学)は祖父。
40年以上に及ぶ、世界の地名資料収集の規模は東日本において(推定)最大であり、日本有数の規模を持つ。書籍のみではなく、諸外国の地名関連の資料を多数収集する。特に世界の地名の変遷、命名、改名の理論を研究。
また毛沢東バッジの収集においても世界的に有名で、多年の中国駐在中収集した文化大革命以前の初期バッジの収集コレクションは中国においてもよく知られている。特筆すべきは、それまでほとんど知られていなかっかが、中国では文化大革命以前にも、文化大革命時期とは比較にならないが、毛沢東崇拝に由来する毛バッジがかなり製造されており、この種のバッジの歴史がそれまでの通説より20年以上さかのぼること、中国の肖像バッジの源流は、ソ連や蒋介石などのバッジにあることなどを、バッジの中国全土のマーケット、収集家、政府機関などの旧幹部など広範のルートからの収集、分類、体系化により明らかにし、毛バッジの持つ社会的な役割を明らかにし、これが文化大革命に突然現れたものではないことをはっきりさせ、その収集内容の多彩さが中国人の収集家をおどろかせ、文革バッジ一辺倒だった中国人収集家にこの方面に眼を開かせた(月刊「しにか」の「バッジから見た毛沢東時代」、中国で発行されている雑誌の「収蔵」などへの寄稿ほか櫻井に関する中国での報道は多数。)ことである。また、特に文革研究から始まった、欧米のバッジの収集や研究のレベルは、櫻井の研究のはるかに後塵を拝しており、例えば2008年に出版された大英博物館の毛バッジの図録(Chairman Mao BadgesーーSymbols and Slogans of the Cultural Revolution)などは、櫻井の著作や収集を参照していないため、記述内容や収集内容が櫻井のそれと比較して立ち遅れ、極めて貧弱なことが理解できる(たとえばこの図録には文革以前の毛バッジは一枚も出ていないが、櫻井は文革期以前だけで約600種を収集したという)。
櫻井はまた1940年代後半頃の、共産党による山西省の解放区で作成された極めて珍しい「鄧小平バッジ」の発見、東北の実力者であった高崗のバッジなどの発見もしており、毛沢東だけでなく、鄧小平まで含めた個人崇拝につながる「肖像バッジ」が中国社会で持っていた役割についても研究を進めている。
櫻井はバッジの現物のみならず、中国各地からの、関係の文献や昔のバッジの金型までをも収集の対象としており、バッジを活用して、中国を歴史学あるいは社会学的に多面的に研究しようとしており、朝鮮戦争関係のバッジ、毛沢東バッジの影響により作製された北朝鮮の金日成バッジ(現在も成人はバッジの装着が義務づけられている)、スターリンバッジなどの毛沢東バッジの「周辺」の収集、研究も行っている。金日成バッジを中心にした月刊「しにか」(大修館書店)に書いた論文(「バッジで見る朝鮮戦争」)は、(推定)唯一の日本語による、金日成と毛沢東や中国との関係を表すさまざまなバッジに関する論文であり、ユニークかつ独創的な内容となっている。朝鮮戦争中に中国により日本批判(米軍に対する協力や哨戒艇の派遣などが原因であろう。)のバッジが作られていたことの、実例をも示している。毛バッジは現在の北朝鮮の金日成、金正日バッジの元になったものであり、その点からも興味深い研究になっている。
 
クレジットカード・ペイメントカードの歴史の研究と、カード類の収集においても日本の第一人者。アメリカの、1世紀以上にわたり発行されているクレジットカード・ペイメントカード関連資料の収集は、特に櫻井の独擅場であり、この分野では日本には他に研究者はほとんどいない。
この方面は日本では未開拓の分野であり、収集物という現物と文献、実務経験を組み合わせた実証的な研究により、これまでの、経験や限られた活字のみを頼りにした記述を孫引きするような書籍や通説の誤りをいくつも正し、原典・現物の収集の重要性や収集を伴う研究のあり方を示している。日本の金融関係誌への長期連載(継続中)や、現代のペイメントシステムについての研究・レポート、中国の経済紙への連載など、外国経験を生かした活動を行い、過去から現代、未来への消費者のペイメントシステム全体の歴史や将来についての貨幣変遷理論を研究、論文を発表している。19世紀末に「Credit Card」という言葉を世に広めたといわれる、啓蒙思想家のエドワード・ベラミーの研究も行っており、金融界にベラミーの紹介をしている。
また、生活保護世帯へのカードによる給付についても意見を発表し、カード先進国において、なぜこのように多くの分野でカード化が進んでいるのかを、歴史資料を示して説明し、同時に外国からの借り物や、ガラパゴス化した日本のような社会では健全なクレジットカードや、貸金業を含めた消費者信用業務の普及・発展は難しいと、これまでの政府機関や政治家、業界関係者に対し批判的な立場に立っている。
また、生活保護世帯へのカードによる給付についても意見を発表している。
2012年に東京で、個人の収集した、150年あまり前からの世界のクレジットカード(ペイメントカード)数百点の特別展示を行っている。これはこの種の展示としては、本邦初めてのことである。