「樋口一葉」の版間の差分

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*: 月の夜、人妻が寝る子を眺めながら、以前仕えていた桜町の殿からもらった12通の恋文を前にして思い悩んでいる。女は決心して初めて手紙の封を切り、読み終わると切り刻んで火の中にくべてゆく。
* [[ゆく雲]](1895年5月『[[太陽]]』)
*: 貧農の子に生まれた野沢桂次は、地方の大きな造酒屋の一人娘の婿になる約束で、今は東京で勉強させてもらっている。下宿先はやはりその親類で、この家の娘お縫は、継母にいじめられつらい人生を送っており、桂次はそのお縫に同情して恋心を抱いている。家督を継ぐため帰郷して行くとき、別れても手紙を出すと約束していたが、時とともに手紙の数も減ってゆく。
* [[うつせみ]](1895年8月『[[読売新聞]]』)
*: 閑静な土地の空き家に若い病人の雪子が移り住んできた。精神の病いで、一月ごとに駄々をこねて転宅を繰り返しているのである。原因は雪子が振った植村が自殺したことに罪悪感を感じているらしい。良家の一粒種で両親も気が気でないが、雪子の狂気は募って行く。
* [[にごりえ]](1895年9月『[[文芸倶楽部]]』)
* [[十三夜 (小説)|十三夜]](1895年12月『文芸倶楽部』)
* この子(1896年1月『日本乃家庭』)
*: 強情でわがままに育った主人公が、新婚の裁判官の夫とそりが合わなくなり、縁組みをした親を恨んだり、子供が元気に生まれてきたことまで神に呪ったりする。しかし赤ん坊の笑顔を見ているうちに心が和みだし、自分のいけなかったところまでがはっきり見えてくるようになる。まさに我が子は人生で最大の師である。
*:(全編が主人公の述懐として「です・ます」調で書かれているため、一葉の小説のなかでは唯一の[[言文一致]]の作品である。)
* わかれ道(1896年1月『[[国民之友]]』)
*: お針仕事が稼業のお京の長屋に傘屋の油引きの吉三が通ってくる。天涯孤独の吉三は仲間から一寸法師とあざけられ、つまらない人生を送っているが、行けば餅をごちそうしてくれる姉のようなお京だけが生きてゆく支えのようなもの。ある日お京から人の妾になることを告げられた吉三は、自ら望まぬところへ行くのはおよしとすねるように訴える。
* うらむらさき(裏紫(1896)(1896年2月『新文壇』)
*: 届いた手紙を、姉からの相談事と、人のいい夫に嘘をつき、愛人のもとへ急ぐ主人公お律。発表されているのは、お律が家を出たあとの心持ちを吐露する場面までで未完。
* われから(1896年5月『文芸倶楽部』)
*: 大蔵省の下級役人金村与四郎の幼なじみの妻美尾は人からうらやまれるほどの美人だが、 夫の給料の少ないのが恥ずかしく着飾った人を見るたび不満がつのる。勉強して出世してくれと訴えるが夫は逆に腹を立てるだけ。女の子が出来た直後、子供を残して突然家出をしてしまう。それから25年の間に、与四郎は一念発起して金を貯め五十を待たずに亡くなるが、そのおかげで娘の町子は恭助という婿をもらい気ままな暮らしをしている。ただ子供ができず、夫の女遊びも止まないまま、捨てられるのではという不安な毎日だったが、ある大掃除の日、召使いたちのうわさ話を壁ごしに聞いて旦那様には妾と十になる子供があることを知る。癇癪を起こし出した町子の介抱に書生の千葉が日夜励んだことがかえって悪い噂を近所にまくことになり、町子は突然夫から別居を言い渡される。
 
===随筆===
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*月の夜―そゞろごと(1895年9月『読売新聞』)
*雁がね―そゞろごと(1895年10月『読売新聞』)
*虫の―そゞろごと(1895年10月『読売新聞』)
*あきあはせほとゝぎす―すゞろごと(1896年57月『うらわか草文芸倶楽部』)
*すゞろごと(1896年7月『文芸倶楽部』)
 
==文庫本(近年)==