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Suzukitaro (会話 | 投稿記録)
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== メソメリー効果 ==
[[ファイル:解説 M効果.png|thumb|right|260px|メソメリー効果]]
有機反応論において[[カルボニル基|カルボニル]]化合物などに存在すると想定された分極を生じる機構を、[[クリストファー・ケルク・インゴルド]]は'''メソメリー効果'''('''M効果'''、mesomeric effect)と呼んだ。すなわち、カルボニルの[[二重結合]]が立ち上がり、カルボニル炭素が正にカルボニル酸素が負に分極する機構の呼称である。なお、[[共役系|共役]]カルボニル系化合物などでメソメリー効果というべきところを、有機反応論の後に発展した量子化学分野の[[原子価結合法]]の概念である「共鳴効果」と呼称することがあるが、有機反応論には「共鳴」の概念は無く正しい用語の使用方法ではない。一方インゴルドのメソメリー効果に先立って、[[ロバート・ロビンソン|ロビンソン]]は[[互変異性]]の機構に類似した電子対の移動で分極が転移する機構を示唆しており、その機構を'''エレクトロメトリー'''あるいは及ぼす効果に対して'''エレクトロメトリー効果'''('''E効果''')という呼称を与えている。
 
誘起効果はβ位、すなわち共有結合した原子で2つ以上を介した場合はほとんどその影響がなくなるのに対して、共役した二重結合系のメソメリー効果はより広い間隔があっても効果の作用を現す。メソメリー効果の例として[[アニリン]]と''p''-[[トルイジン]]の塩基性の違いが挙げられる。''p''-位に置換したメチル基からの電子供与性を示し、それがM効果により、窒素原子上の電子密度を増やし塩基性が増大したと説明することができる。
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{{anchor|電子求引性基|}}
{{anchor|電子供与性基|}}
 
== 電子求引性基と電子供与性基 ==
分子の特定の位置について、電子密度を減弱させる効果を持つ置換基の性質を'''電子求引性'''と呼び、逆に増加させる効果を持つ場合の性質を'''電子供与性'''と呼ぶ。このような効果を持つ置換基を'''電子求引性基'''あるいは'''電子供与性基'''と呼び表す。電子求引性あるいは電子供与性は単に電気陰性度の差だけでは説明できない。すなわち前述の誘起効果、メソメリー効果等が複合的に作用するので、芳香族性や[[共役系]]の存在やトポロジー的な位置関係によって現れ方が変わってくる。