「先カンブリア時代」の版間の差分

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== 生命 ==
[[ファイル:生物の系統樹.png|thumb|400px|全生物の系統樹の例。赤は[[古細菌]]、緑は[[真核生物]]、青及び紫は[[真正細菌]]。]]
[[生命]]がいつ誕生したかについては諸説あるが、[[グリーンランド]]の[[イスア]]地方で、38億年前の岩石に生命由来のものと思われる[[炭素]]の層が見つかっている。35億年前の細菌類の化石が、南アフリカのオルフェルワクト層のチャートから出土している<ref name="ikeya">池谷仙之・北里洋著『地球生物学 ー地球と生命の進化ー』)東京大学出版会 2004年 83ページ</ref>。西[[オーストラリア]]ビルバラ地域では保存状態が良好な34億6,000万年前以前の[[バクテリア]]の[[化石]](ワラウーナチャートとエイベックスチャートという岩石から出たもの)が発見されている。同じ地域では、恐らくさらに1億年以上古いと思われる化石も見つかっている。
27[[生命]]がいつ誕生したかについては諸説あるが、[[グリーンランド]]の[[イスア]]地方で、38億年前の岩石は酸素を必要生命由来のものしな思われる[[炭素]]の層が見つかって嫌気呼吸す嫌気性細菌と好気性<ref>Yoko Ohtomo, Takeshi Kakegawa, Akizumi Ishida, Toshiro Nagase, Minik T. Rosing (2013). "Evidence for biogenic graphite in early Archaean Isua metasedimentary rocks". Nature Geoscience. 7, 25–28.</ref>。35億年前の細菌類の化石入れ替わったと推定され地球生命史における「生物南アフリカ最初オルフェルワクト層大絶滅と棲み分け」であったと考えチャートか出土している<ref name="ikeya">池谷仙之・北里洋著『地球生物学 ー地球と生命の進化ー』東京大学出版会 2004年 8483ページ</ref>。
 
19億年前のカナダ・[[スペリオル湖]]北岸のガンフリント層(主にチャートの地層)から多くの[[微化石]]が発見されている。それらは球状・繊維状の形態をした細菌類である<ref name="ikeya"/>。
西[[オーストラリア]]ビルバラ地域では保存状態が良好な34億6,000万年前以前の[[原核生物]]の[[化石]](ワラウーナチャートとエイベックスチャートという岩石から出たもの)が発見されている。また、同時期の地層から[[メタン生成]]の証拠が出ており<ref>Ueno Y, Yamada K, Yoshida N, Maruyama S & Isozaki Y (2006). “Evidence from fluid inclusions for microbial methanogenesis in the early Archaean era”. Nature 440 (7083): 516–519.</ref>、[[メタン菌]]は[[ユリアーキオータ門|エウリ古細菌]]の特定クレードに集中することから、この時期既に生物の分化が進んでいた可能性がある<ref name="MBE2009">Battistuzzi FU, Hedges SB (2009). "A major clade of prokaryotes with ancient adaptations to life on land". Mol. Biol. Evol. 26 (2): 335–43.</ref>。
 
生命が発生したのは早ければ43億年前であるとする研究者もいる。このように先カンブリア時代を通して、原始的生命体が生きていた確実な証拠が見つかっている。
 
およそ2527億年前頃までには、太陽からの光を受け取り[[光合成藍藻|藍色細菌]]を通じて自らエネルギーを得る生物が現れた([[原核生物]]の藻類色細菌35億年前から30億年前頃に現れた)。この光合成を行う際に不必要なものとして廃棄された物質が[[酸素]]であり、これらの生物が[[光合成]]を行い続けるにつれて、わずかにではあるが酸素の濃度は少しずつあがっていった。酸素は後に、他の生命が生息していくための一つのエネルギー源にもなる物質として利用されることになる。系統解析からは、始生代の終わりには[[真正細菌]]と[[古細菌]]の多くの門が出そろったと推定されている<ref name="MBE2009"/>
 
22億年前前後には[[大酸化イベント]]が進行した。酸素を必要としない嫌気呼吸する嫌気性細菌と好気性細菌が入れ替わったと推定され、地球生命史における「生物の最初の大絶滅と棲み分け」であったと考えられる<ref>池谷仙之・北里洋著『地球生物学 ー地球と生命の進化ー』東京大学出版会 2004年 84ページ</ref>。
 
19億年前になると、カナダ・[[スペリオル湖]]北岸のガンフリント層(主にチャートの地層)から多くの[[微化石]]が発見されてい出土するようになる。それらは球状・繊維状の形態をした細菌類である<ref name="ikeya"/>。
 
真核生物の出現は不確かだが、21億前までには最初の真核生物が表れたと推定されている<ref>El Albani, Abderrazak; Bengtson, Stefan; Canfield, Donald E.; Bekker, Andrey; Macchiarelli, Reberto; Mazurier, Arnaud; Hammarlund, Emma U.; Boulvais, Philippe ''et al.'' (2010). "Large colonial organisms with coordinated growth in oxygenated environments 2.1 Gyr ago". ''Nature'' 466 (7302): 100–104.</ref>。ただし、初期の真核生物の系統の多くは残っておらず、多様化が進んだのは11億年前とする説がある<ref>Berney, C., Pawlowski, J., A molecular time-scale for eukaryote evolution recalibrated with the continuous microfossil record. ''Proc. R. Soc. B'' 273, 1867-1872 (2006).</ref>。
 
[[アメリカ合衆国|米国]][[テキサス州]]と[[インド]]での古い不確かな報告以外では、複雑な[[多細胞生物]]と考えられる最古の証拠は約6億年前のものである。世界各地の約6億年前から約5億4200万年前にかけての[[地層]]から、現在のものとは全く違う[[軟体動物]]の痕跡が見つかっている。これらは[[エディアカラ生物群]]と呼ばれる。先カンブリア時代末期の5億4,400万年前には、異なった形態の生物が出現する。これは「有殻微小動物群」(Small shelly fauna) と呼ばれるが、詳しい事はほとんど分かっていない。この生物群は顕生代の始め、カンブリア紀のごく初期に消滅し、入れ替わるようにして多様な生物群が出現した。これは[[バージェス動物群]]と呼ばれるが、この生物群の爆発的な多様化を[[カンブリア爆発]]と呼ぶ。