「古典園芸植物」の版間の差分

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RJANKA (会話 | 投稿記録)
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[[明治維新]]と共に廃れてしまった植物もあったが、多くは動乱を乗り越えて[[大正]]、[[昭和]]へと受け継がれ、江戸時代よりも発展したものも少なくない。キクやハナショウブのように、その後の発展により現代ではもはや普通の園芸植物としてとらえられているものもあり、これらはすでに世界的にも普及している。西欧で発達した「洋菊」も、江戸時代の日本のキクの血を濃く引いているのである。またオモトやサクラソウ、サイシンなどは近年海外で注目されつつある。一方で維新後は西欧から大量の園芸植物が流入し、その影響により花に対する美意識にも変化が見られた。「変化咲き」から「大輪咲き」へと大きく方向転換したアサガオも、美意識の変化が原因の一つと思われる。更に大正から戦後にも、錦葉[[ゼラニウム]]や[[クンシラン]]のように、外来植物でも殊に葉の変化が伝統的な美的価値観に沿ったものが古典園芸植物に加わった。サボテンや[[多肉植物]]も、古典園芸植物には含まれないものの、同様な観点から早くから愛好されて現代に至っている。
 
多くの古典園芸植物にはそれぞれ愛好団体が結成されている。特に花を観賞する種類、投機性と関係のない種類では活動もかなり盛んで、現代でも新しい品種が増えているものもあり、より美しい花を求めて交配、実生に努める育種家、愛好家も少なくない。サクラソウやハナショウブのように、新花の作出が続いている一方で江戸時代の品種がかなり多く残されているものもある。キクでは大菊等現在盛んな系統において、専門業者が中心になり育種が行なわれている。しかしスカシユリは古い品種が伝えられず、現在流通しているのはほとんどがここ数十年の間に生まれた品種のみであり、特別な仕立て方や鑑賞法も特に伝えられておらず、現代では古典園芸植物として捉えることはできない。[[カワラナデシコ|トコナツ]]など[[太平洋戦争]]時に壊滅的被害を受けてその後立ち直ることができなかった植物もあり、また[[フクジュソウ]]は比較的最近まで品種が残っていたが、保存者が少なくなりきわめて厳しい状況にある。このほか愛好家が減少して篤志家、[[寺院]]、[[神社]]、[[大学]]、国や地方の園芸施設等が稀少な古品種や特殊な系統を保存し伝えているものもあり、ほとんど篤志家の個人的な努力のみに支えられていて存亡の危機にあるものもある。
 
もともと投機的性格を強く持つ種類では、戦後の一時期には稀少品種が非常な高価を呼び、そのために経済的トラブルを生んだり、また珍品を探すために自生地が荒らされ、自生が激減するという[[社会問題]]もしばしば発生した。またその中に、現在でもごく一部には新品種を自生からの採取に限り、人工交配による育種や、投機性の維持のため[[メリクロン]]による増殖が否定される種類がある。そこでは従来の自生採取にこだわりを持つ愛好家も存在し、場合によってはそれを東洋思想で裏付けようとする試みさえ見られる。しかしこれらが結果として投機や自生採取とは全く関係のない植物をも巻き添えにして、古典園芸植物全体の風評を低下させている面もある。またそのために、投機性の高い種類と併せ古典園芸植物として一括りされることを嫌う、投機と関連のない種類の愛好家も多い。