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{{Infobox rock
|name = 花崗岩
|alternative_name =
|type = 火成岩
|type_link = 火成岩
|image = Granito.jpg
|image_size = 250px
|image_caption = 花崗岩
|composition = [[石英]]、[[カリ長石]]、[[斜長石]]、[[黒雲母]]、[[白雲母]]、[[普通角閃石]]
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}}
[[ファイル:QAPF diagram granite.svg|thumb|[[深成岩]]のQAPF図; <br />Q:[[石英]]、A:[[アルカリ長石]]、P:[[斜長石]]、F:[[準長石]]]]
'''花崗岩'''<ref>『[[学術用語集]] 地学編』(1984年)の表記は「花こう岩」、『地質学用語集』(2004年)の表記は「花崗岩」。</ref>(かこうがん、{{Lang-en-short|granite}})とは、[[火成岩]]の一種。[[流紋岩]]に対応する成分の[[深成岩]]である。[[石材]]としては'''御影石'''(みかげいし)とも呼ばれる。
 
== 概要 ==
地下深部で形成された深成岩のうち下記2条件を満たすものを指す。
* 主成分が[[石英]]と[[長石]]で、他に10%程度の[[有色鉱物]]([[黒雲母]]等)を含み、全体的に白っぽく見えるもの。有色鉱物の含有量が多い(約30%)ものは[[閃緑岩]]の範疇に入る。なお、花崗岩と閃緑岩の中間的な性質を持つ岩石は[[花崗閃緑岩]] ({{en|granodiorite}}) と呼ばれる。
* 成分中に[[ナトリウム]]と[[カリウム]]の含量が少ない非アルカリ岩質であること。アルカリ分が多くなると石英が減って[[角閃石]]が多くなり、[[閃長岩]]と呼ばれる。
 
花崗岩は[[大陸]]や[[島弧]]などの陸地を構成する岩石の中では非常に一般的なもので、各地で見つかる。花崗岩の英語名 {{En|granite}} の語源は、ラテン語で[[種子]]や穀粒を意味する {{la|granum}} である。数mm径の[[結晶]]が寄り集まった粗い粒子構造から命名された。
 
花崗岩の平均[[密度]]は通常2.75g/cm<sup>3</sup>付近であるが、産地や品種によっては1.74g/cm<sup>3</sup>から2.80g/cm<sup>3</sup>に及ぶ。
 
== 花崗岩の種類 ==
=== 含まれる鉱物による分類 ===
花崗岩の主要構成鉱物は、[[石英]]、[[カリ長石]]、[[斜長石]]、[[黒雲母]]、[[白雲母]]、[[普通角閃石]]である。[[磁鉄鉱]]、[[柘榴石]]、[[ジルコン]]、[[燐灰石]]のような副成分鉱物を含むこともある。まれに[[輝石]]を含む。産地によってその含有鉱物の種類や比率が様々に異なっている。含まれる有色鉱物の名前を少ないものから順に、「花崗岩」の前につけて呼ぶ。副成分鉱物の場合は「含~」とつける。
 
; 黒雲母花崗岩 {{weight|normal|({{en|biotite granite}})}}
: 黒雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。カリ長石が分解して[[カオリナイト]]化し桃色を呈するものを'''桃色花崗岩'''と呼ぶ。
; 両雲母花崗岩 {{weight|normal|({{en|two mica granite}})}}
: 黒雲母・白雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。
; 閃雲花崗岩 {{weight|normal|({{en|hornblende biotite granite}})}}
: 角閃石・黒雲母・石英・カリ長石(正長石または微斜長石)・灰曹長石からなる。
<!-- 斜長石と石英を加えた量と正長石の量が等しい花崗岩には、[[石英モンゾニ岩]]と呼ばれる場合がある。 -->
 
=== 鉱物粒子の大きさによる分類 ===
一般に花崗岩中の鉱物粒子の大きさは数mm程度で、大きくても数cmまで。それ以上の大きさのものを[[ペグマタイト|巨晶花崗岩]](花崗岩ペグマタイト)と呼ぶ。巨晶花崗岩は花崗岩が固結する際に最後に残った部分と考えられ、通常は微量しか含まれない珍しい鉱物が濃縮されていることが多い。また大きな鉱物粒子の間に空洞が存在し、美しい水晶(石英の結晶)や、[[蛍石]]、[[トパーズ]]、[[電気石]](トルマリン)の結晶を産出することがある。このような空洞を[[晶洞]]と呼ぶ。
 
岩石名の先頭に「細粒」({{en|fine-grained}})、「中粒」({{en|medium-grained}})、「粗粒」({{en|coarse-grained}})、「斑状」({{en|porphyritic}}) などをつけて区別することもある。
 
== 分布 ==
[[ファイル:Mt.Utsugidake 05.jpg|thumb|山塊の多くが花崗岩から成る[[木曽山脈]]]]
 
花崗岩は[[造山帯]]か否かを問わず、[[大陸地殻]]の全域にわたって広く分布している。深成岩ゆえに地表に出ている部分よりも地下深くの方が広がっていると考えられ、[[大陸]]の表面を覆う比較的薄い[[堆積岩]]の下に横たわる基盤岩の大半を占めていると考えられている。これらの大規模なもの(100km<sup>2</sup>以上)を[[バソリス]](batholith、底盤)、100km<sup>2</sup>以下の比較的狭い範囲のものをストック(stock、[[岩株]])と呼んでいる。
 
花崗岩はおそらく[[完新世]]を除くあらゆる[[地質年代]]にわたって[[地殻]]に貫入してきた。世界的には[[先カンブリア時代]]に生成したものが多いようだが、[[日本]]では[[中生代]]に生成したものが最も広い面積を占める。日本の地表では、[[阿武隈高地]]、[[関東]]北部、[[飛騨山脈]]、[[木曽山脈]]、[[美濃高原]]、[[近畿地方]]中部、[[瀬戸内海]]から[[中国山地]]、[[北九州地方|北九州]]などに広く分布している。
 
このように花崗岩は地球上ではごくありふれた存在だが、[[太陽系]]の地球以外の岩石天体にはほとんど見出されない。花崗岩の形成に水の関与が必要で、[[海]]の存在する地球でのみ花崗岩が大量に作られてきたものと考えられている<ref>{{cite news
| author=国立天文台・広報室
| date=2009-07-06
| title=隕石から太陽系最古の花こう岩片を発見
| url=http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000484.html
| publisher=[[国立天文台]] アストロ・トピックス
| accessdate=2010-02-22
}}</ref>。
 
== 起源 ==
花崗岩の起源については従来2つの学説間で論争があったが、現在では“マグマ説”が一般に支持されている。
 
; マグマ説(火成岩説)
: 花崗岩は、[[玄武岩]]質[[マグマ]]の地殻内での[[結晶分化作用]]により形成された[[流紋岩]]質マグマ、あるいは玄武岩質マグマが周囲の壁岩(一般に堆積岩等から成る)を[[溶融]]して形成された流紋岩質マグマが地上へ出ることなくゆっくりと冷却されてできるという説。[[放射性元素]]の[[同位体]]比や[[微量元素]]の含有量、また花崗岩体の規模が大きいことなどから、多くの花崗岩マグマは後者の成因によって形成されたと考えられている。
; 花崗岩化作用論(変成岩説)
: [[砂岩]]や[[泥岩]]などの堆積岩が地下深部で高温[[変成作用]]を受け、液体の状態を経ずに花崗岩が形成されたという説。
 
== 主化学組成 ==
例として[[産業技術総合研究所]]による[[岩石標準試料]]の1つであるJG-2([[岐阜県]][[蛭川村]]の[[苗木花崗岩]])の組成を示す(単位は重量%)<ref>[http://riodb02.ibase.aist.go.jp/geostand/welcomej.html 岩石標準試料データベース](産業技術総合研究所)</ref>。
 
{|class="wikitable"
|+JG-2の化学組成
! !!含有量
|-
!SiO<sub>2</sub>
|76.83
|-
!TiO<sub>2</sub>
|0.044
|-
!Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>
|12.47
|-
!Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>
|0.33
|-
!FeO
|0.57
|-
!MnO
|0.016
|-
!MgO
|0.037
|-
!CaO
|0.70
|-
!Na<sub>2</sub>O
|3.54
|-
!K<sub>2</sub>O
|4.71
|-
!P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>
|0.002
|-
!H<sub>2</sub>O+
|0.33
|-
!H<sub>2</sub>O−
|0.12
|}
 
== 花崗岩の風化 ==
花崗岩は結晶粒子が大きくかつ鉱物結晶の[[熱膨張率]]が異なるため、温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり、表面がぼろぼろになりやすい([[風化]]しやすい)。花崗岩中の主成分である石英は非常に風化しにくいため、風化が進むと構成鉱物の粗い粒子を残したままばらばらの状態になり、非常にもろく崩れやすくなる。このようにして生じた白から[[黄土色]]の粗い[[砂]]を[[真砂土]]、あるいは単に真砂という。花崗岩地帯には真砂が広く分布し、強い降雨により多量の砂が流れ出すため、花崗岩地帯の多くが砂防地域として指定されている。また、真砂は学校の校庭の敷き砂などとして利用される。この土が河川によって海まで運ばれると、風化に強い石英主体の砂となり白い砂浜となる。[[瀬戸内海]]の白砂青松や山陰地方の[[砂丘]]は、中国山地の大量の花崗岩が元になっている。
 
花崗岩は固くて緻密であるが、花崗岩中の斜長石や黒雲母は比較的風化を受けやすい。斜長石が分解してできる[[カオリナイト]]の良質なものは[[陶土]]として使用される。それゆえ[[陶磁器|焼き物]]の街と呼ばれる場所は、花崗岩が地表に出ている地域の周辺に存在することが多い。[[瀬戸市|瀬戸]]、[[信楽町|信楽]]などがその代表例である。
 
== 石材としての花崗岩 ==
[[ファイル:Granite_guidepost01.jpg|thumb|花崗岩の古い道標]]
[[ファイル:Granite01.jpg|thumb|「白」と「錆」:10cm角ブロック]]
花崗岩は緻密で硬いことから、日本では古くから[[石材]]として使用されてきた。石の[[鳥居]]や[[城]]の[[石垣]]や[[橋|石橋]]に用いられるほか、[[道標]]や[[三角点]]・[[水準点]]の標石にも用いられてきた。近代の建造物の例としては[[国会議事堂]]の外装が全て日本国産の花崗岩で出来ている。
 
また<!--構造が?-->緻密なので表面を研磨して[[光沢]]を出すことが可能で、これを「本磨き」と称して[[墓石]]などのほかパネルとして、また公共の建物や商業施設、記念建造物の床石として広範囲に利用されている。逆に、床石として滑りすぎて危険な場合、研磨した後に表面を化学薬品で処理して、滑り止め加工を施す例もある。また、「ジェット[[バーナー]]仕上げ」や「ウォータージェット」などの手法で若干荒い表面に仕上げる石材もある。石段や敷石などの場合は、研磨せず、ノミ切り、コブ出しなどの手法で、ごつごつした表面とするものもある。
 
高い強度と滑りやすさを要求される[[カーリング]]の公式競技用ストーンは、全て[[スコットランド]]の[[アルサクレイグ島|アルサクレッグ島]]で産出される花崗岩で作られている。
 
石材としては、通常の黒雲母花崗岩を「白」、桃色の花崗岩を「錆」と呼ぶ。近年日本で流通しているものは[[福建省]]を中心とした[[中華人民共和国|中国]]産が殆どであり、「白」の場合 602、603、桃色の場合488など、色番号を用いることがある。
 
=== 別称「御影石」について ===
花崗岩は、特に石材としては'''御影石'''とも呼ばれる。「[[御影 (神戸市)|御影]]」は、[[兵庫県]][[神戸市]]の地名(旧[[武庫郡]]御影町、現在の[[東灘区]]御影石町など)に由来し、御影の北に位置する[[六甲山|六甲山地]]に花崗岩が産出したことによる。切り出した花崗岩を大阪湾に面した海岸から石船に積載し、古くから各地に出荷していた。
 
御影の名前は各地の産地にも転用されている。代表的な例が、[[福島県]][[伊達市 (福島県)|伊達市]]を中心とした「吾妻御影」、[[茨城県]][[笠間市]]の稲田地区を中心とした「稲田御影」、同じく[[茨城県]]の[[桜川市]](旧[[真壁町]])を中心とした「真壁御影」などである。なお墓石などに使われる「黒御影」は花崗岩ではなく[[閃緑岩]]や[[斑れい岩]]であるが、黒っぽい花崗岩もある。
 
=== 石材としての産地 ===
石材としての花崗岩産地と商品名の例を挙げる<ref>中華民国経済部礦物局 Bureau of mine.MOEA http://www.mine.gov.tw/Bible/f02.asp </ref>。
* アジア
** {{JPN}} -[[稲田 (茨城県笠間市)|稲田]]石、 [[真壁町|真壁]]小目、吾妻御影、[[大島 (愛媛県今治市)|大島]]石 など。
** {{CHN}} - 白花崗、チャイナマホガニー、岑溪紅、浜河紅、南山黄 など。
** {{VNM}}
** {{IND}} - ニューインペリアルレッド、サワンローズ、タイガースキン、インデアンジャパラナ、アーバングレー、銀河、グリーンファンタジー など。
* オセアニア
** {{AUS}} - オーストラリアホワイト など。
* アメリカ
** {{CAN}} - オータムブラウン、カレドニア など。
** {{USA}} - テキサスレッド など。
** {{BRA}} - インペリアルレッド、カパオポニート など。
* ヨーロッパ
** {{NOR}} - エメラルドパール など。
** {{SWE}} - ロイヤルマホガニー、マホガニー など。
** {{FIN}} - カージナル、クルグレー、バルモラルレッド、バルチックブラウン など。
** {{ITA}} - ルナパール、カレドニア など。
** {{ESP}} - ロザポルリノ、グリジオペラル など。
** {{POR}} - モンチーク など。
* アフリカ
** {{EGY}} - エジプトレッド など。
** {{ZAF}} - ナラブラウン など。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2013年6月}}
 
* {{Cite book|和書
|author = [[文部省]]編
|editor =
|title = [[学術用語集]] 地学編
|url = http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi
|year = 1984
|publisher = [[日本学術振興会]]
|isbn = 4-8181-8401-2
|page = 267
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[日本地質学会]]編
|title = 地質学用語集 - 和英・英和
|year = 2004
|publisher = [[共立出版]]
|isbn = 4-320-04643-9
|page = 309
}}
* [[木股三善]]・[[宮野敬]]編修 『原色新鉱物岩石検索図鑑 新版』 [[北隆館]]、2003年、ISBN 4-8326-0753-7。
* [[木下亀城]]・[[小川留太郎]] 『標準原色図鑑全集6 岩石鉱物』 [[保育社]]、1967年、ISBN 4-586-32006-0。
 
== 関連項目 ==
{{Commonscat|Granite}}
* [[岩石]] - [[火成岩]] - [[深成岩]]
* [[岩石の一覧]]
* [[流紋岩]](火山岩)
* [[真砂土]]
 
== 外部リンク ==
* {{Cite web
|author =
|date =
|url = http://www.gsj.jp/Muse/hyohon/Rock/ind-wamei/ind-nameKa.htm
|title = 花こう岩(花崗岩)
|work = 地質標本館
|publisher = [[産業技術総合研究所]][[地質調査総合センター]]
|accessdate = 2011-06-06
}}
* {{Cite web
|author = 福岡正人
|date =
|url = http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ES_C.html#anchor1984218
|title = 花崗岩
|work = 地球資源論研究室
|publisher = [[広島大学]]大学院総合科学研究科
|accessdate = 2011-06-06
}}
* 「日本地質図」([[産業技術総合研究所]] [http://www.gsj.jp/ 地質調査総合センター])
 
{{火成岩}}
 
{{デフォルトソート:かこうかん}}
[[Category:岩石]]
 
<!--*[http://en.wikipedia.org/wiki/Granite (英語版Wikipedia 2004年12月13日 22:30版 Graniteより訳出)を改作。-->