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=== 誤った被害者像の流布 ===
「この手で殺したい」「極刑を望む」といった遺族の声を繰り返しながら肯定的にアナウンスする弊害は大きく、死刑の制度の問題として論じるべきことが感情の領域に持っていかれて「こんなひどいことをした奴は死刑で当然」という声に覆われてしまうとの批判がある<ref>森達也 『死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』 朝日出版社、2008年1月10日、103頁。ISBN 9784255004129</ref>。
 
=== 犯罪立証と被害者 ===
裁判においては、被害を直接体験した被害者による具体的被害証言なくして有罪に持ち込むことができない件も少なくなく、この場合、被害者は犯罪被害状況をつぶさに思い出しながら、公開法廷にて証言しなければならない(回答を拒否したり、曖昧な証言しかできない場合、信用性が低いと見なされ、真犯人であっても有罪にできないことが起こり得る)。また、罪を免れたいあまり、被害者に責任を被せるような発言をする被告人もいる。こうした捜査・公判における被害者の苦痛は、可能な限りの軽減が求められている。
 
他方で、被害者の誤った証言によって被害者が冤罪加害者となってしまう例や、被害者への配慮として無罪の証拠となるべき重要な被告人供述を録取しないなどの事態もあり、被害者保護のための手法が冤罪をもたらす方向に流れることを危惧する意見もある。
 
=== 被害者の氏名情報の扱い ===