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それによって近代的軍隊においては、任務を果たすための努力を尽くした上で、万策尽きた際に捕虜になることは違法な行為ではないものとされる。
理念的には、封建的な軍制や[[傭兵]]の時代から、近代市民兵の時代へと移行し、個人の権利保護が重要になったからである。
それだけでなく、捕虜になることを全て違法とすることが、軍事的なデメリットをもたらすことも少なくない。
もっとも、自ら進んで敵軍に向け逃げ去り捕虜になることは「奔敵」とされ厳罰を受けることが通常である。また正当な事由でやむなく捕虜になった後も、軍機情報の供与といった積極的な対敵協力を行うことは軍法に反することが一般的である。▼
# 違法として禁じた所で、生命の危機において捕虜になることを全て阻止することは事実上不可能である。
# 捕虜になることさえ認めずに見捨てることは実質死を命ずると同義であって人道的非難を免れず、自軍兵の戦意を削ぐおそれがある。([[三国志]]において、[[公孫瓚|公孫サン]]は敵中に取り残された配下を見殺しにした結果、兵は戦意を失い敗北したとされる)
# 上記のリスクの結果、戦略的価値を無くした戦線、形勢逆転の可能性の無くなった戦線をあえて見捨てる事が不可能になるため、戦略に影響しない僅かな兵を救出するために多くの装備や人員を割く必要が出てくる。仮にそれだけの犠牲を払っても、救出が成功する保証もない。
# 帰国すれば捕虜になった罪で処罰が待っている捕虜たちは、敵国に取り入らざるを得なくなり、過剰な対敵協力を招く恐れがある。
他方で、捕虜を受け入れる側も、捕虜を保護しないことにはデメリットがあり、捕虜を保護する事が考えられるようになった。
# 捕虜を虐待・殺害したことが敵軍に発覚した場合、敵兵は投降の選択を失う。投降しない結果として、大局に影響のない戦線に対処するために装備や人員を割かなければならず、損害も増大する。
# 捕虜になった自軍の兵に対しても、報復として虐待や殺害が行われる危険性が高まる。
# 国際的な人道上の問題となりかねず、関係者が後に戦争犯罪者として処罰されたり、中立国や同盟国まで含めた外交上の非難を呼ぶ恐れがある。
# 国内世論からも人道的非難を受け、戦争の円滑な遂行に支障を来たす可能性がある。([[ベトナム戦争]]では、米軍の非人道的行為がアメリカ国内世論の反発を呼び、戦争継続に重大な影響を与えている)
▲もっとも、上記はあくまで万策尽きた際の問題であり、自ら進んで敵軍に向け逃げ去り捕虜になることは「奔敵」とされ厳罰を受けることが通常である。また正当な事由でやむなく捕虜になった後も、軍機情報の供与といった積極的な対敵協力を行うことは軍法に反することが一般的である。
1949年8月12日の[[ジュネーヴ条約]]4規程及び1977年の第一追加議定書によって、戦時における軍隊の傷病者、捕虜、民間人、外国人の身分、取扱いなどが定められている。第3条約「捕虜の待遇に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約」により、[[ハーグ陸戦条約]]の捕虜規定で保護される当事国の正規の軍隊構成員とその一部をなす民兵隊・義勇隊に加え、当該国の「その他の」民兵隊、義勇隊(組織的抵抗運動を含む)の構成員で、一定の条件(a, 指揮者の存在、b, 特殊標章の装着、c, 公然たる武器の携行、d, 戦争の法規の遵守)を満たすものにも捕虜資格を認めた。
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将校を除く捕虜は、抑留国のすべての将校に対し、敬礼をし、及び自国の軍隊で適用する規則に定める敬意の表示をしなければならない(第三条約第39条第2項)。捕虜たる将校は、抑留国の上級の将校に対してのみ敬礼するものとする。ただし、収容所長に対しては、その階級のいかんを問わず、敬礼をしなければならない(同条第3項)。
=== 捕虜の虐待 ===
[[ファイル:Katyń, ekshumacja ofiar.jpg|thumb|[[カティンの森事件]]の虐殺遺体]]
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また捕虜には、ジュネーヴ諸条約の規定を越える情報を提供する義務は無いため、必要な情報を得るために拷問などの虐待が行われるケースがある。近年では[[イラク戦争]]において、アメリカ軍による捕虜虐待事件が起きている。
また、国際的な戦争においては、捕虜と管理する敵国の将兵の間に文化の違いがあるケースがあり、これにより将兵に虐待の意図がなくとも、捕虜にとっては虐待をされたと解されてしまうケースも考えられる。有名な話としては、第二次大戦中、日本の捕虜収容所で捕虜に[[ゴボウ]]を食べさせた結果「木の根を食べさせた」として捕虜虐待として処罰されたとする逸話がある。実際には、ゴボウ食を理由に虐待を認め処罰した事例は見当たらず、真偽には疑問がもたれているが、捕虜の管理における一つのリスク要因を示している。
== 捕虜に関する法律 ==
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