「バーアンテナ」の版間の差分

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[[フェライト (磁性材料)|フェライト]]などの[[透磁率]]の高い棒状のコアに、表面を絶縁被覆した[[電線]]を巻き付けたアンテナである。アンテナの内部を[[磁力線]]が通過することにより、[[電磁誘導]]による起電力を発生させる原理である。通常は、巻き付けた電線を[[コイル]]とみなし、並列に接続した[[コンデンサ]]と共振回路を形成して出力を取り出す。2回路以上の巻線やタップ(引き出し線)を設け、[[変圧器|トランス]]としての機能を兼ねることが多い。
波長より小さい[[アンテナ]]は、電磁波を集める効率が非常に低く[[アンテナ]]の[[利得]]は1より遥かに小さくなる。しかし、同一サイズの空芯[[コイル]]と比べると、バーアンテナの[[コイル]]には[[透磁率]]倍の電流が誘起されるため、磁場エネルギーを非常に効率よく集めることができる。また、長波や中波の波長は極めて長いため、バーアンテナ近傍の電気製品などから輻射される[[ノイズ]]の影響を顕著に受けることになるが、[[アンテナ]]を小型化することにより、これら近接場の[[ノイズ]]の影響を少なくすることができる。このようにバーアンテナはその小ささゆえの利得の低さを、高い[[透磁率]]でカバーし、同時に、近傍[[ノイズ]]の影響を受けにくくすることにより、高いSN比を実現している[[アンテナ]]と言える。
 
バーアンテナは8の字の指向性があり、コア(巻線)と垂直な方向からの電波は受信しにくい。W1FB D. DeMawによると、不平衡な給電線への接続やアンテナ周辺の環境によりバーアンテナの指向性が乱れることから、バーアンテナは平衡アンテナであるとしている。<ref>Ferromagnetic-core Design & Application Handbook, Section 2.2.1 Loop Pattern Symmetry. W1FB M. F. "Doug" DeMaw, MFJ.</ref>
 
== 使用例 ==
[[受信]]する電波の[[波長]]とは直接関係無く形状を小型にできるため、[[長波]]から[[中波]]の受信用、例えばAM[[ラジオ]]や[[電波時計]]に広く用いられる。かつては、140MHz帯の[[無線呼び出し|ポケットベル]]に用いられていたこともある。バーアンテナは指向性があり、コア(巻線)と垂直な方向からの電波は受信しにくい。このためAMラジオを受信する場合において、高い信号出力を得るため、または[[混信]]や雑音の影響を避けるためには、ラジオ本体の向きを変えることが必要である。バーアンテナをラジオ本体上部に回転機構を介して取り付け(ジャイロアンテナ)、ラジオ本体を動かす必要のないラジオも存在する(例:[[パナソニック]]RF-U700)。また,その性質を利用して,既知の複数の放送局の位置から簡易的に自位置を測定することも可能であり,それを応用した装置も存在した。
 
== 制約 ==
構造上、高い[[インダクタンス]]を持つことや、コアの周波数特性の問題から、概ね200MHz以上の周波数ではアンテナとして良好に動作させることが困難であるため使用されない。また、アンテナ効率が低く、コアの発熱が生ずるため、大電力の送信用には使用できない。
 
== 脚注 ==
<references/>
 
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