「クラウディングアウト」の版間の差分

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クラウディングアウトのアイデアは古くから存在し、[[アダム・スミス]]は政府による経済活動はすべて不生産的労働であり、政府が公衆から資金を借入れて消費することはその国の資本の破壊であり、さもなければ生産的労働の維持に向けられたであろう生産物を不生産的労働に向けるものである、とした<ref>Adam Smith,The Wealth of Nations(New york:Random House,Inc.,1937)P.878</ref>。一般に[[完全雇用]]を前提とした[[古典派経済学]]においては、政府支出の増大はそれが租税で調達されようと国債で調達されようと、民間支出はクラウド・アウトされる。
 
[[世界恐慌]]の発生した[[1929年]]頃、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]および[[イギリス]]でさかんに論議され、アメリカでは[[共和党 (アメリカ)|共和党]]の[[ハーバート・フーヴァー|フーバー]]政権が[[赤字財政]]と[[国債発行]]に反対し、[[均衡予算主義]]のためにクラウディングアウトの議論を援用した。また、イギリスでは[[保守党 (イギリス)|保守党]]政権下の財務省が同様の理論で[[J.M.ケインズ]]の立案になる[[自由党 (イギリス)|自由党]]の提案と対立した<ref>Crowding-Out問題について [[三木谷良一]][http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/00172016.pdf]</ref>。
 
クラウディングアウトの問題は行政府による経済・財政政策において基本的な論題であり、もし[[古典派経済学|古典派]]の言うように常に完全なクラウディングアウトが発生するのならば、行政府による経済への直接介入(経済政策)は意味をなさないこと(無効)になる。