「新選組血風録」の版間の差分

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[[1962年]]に新選組副長[[土方歳三]]を主人公とした長編『[[燃えよ剣]]』を発表した司馬遼太郎は、同年5月から12月に「[[小説中央公論]]」で新選組を題材とした15編の短編を連載した。これが[[1964年]]に[[中央公論新社|中央公論社]]から短編集『新選組血風録』としてまとめられた。
 
各話ごとに異なる実在と架空の隊士が主人公となり、主に土方歳三と[[沖田総司]]がストーリーの主要登場人物となり構成されている。局長の[[近藤勇]]も多く登場するが、土方、沖田に比べるとやや脇役的存在となっている。隊士の中では[[斎藤一]]と[[山崎烝]]<ref>この短編集においては全編にわたって「山崎'''蒸'''」と表記されている(中公文庫1996年新装版、ISBN 4122025761 で確認)。なお『[[燃えよ剣]]』でも、下巻にいくつか「蒸」になっている箇所がある。</ref>も登場回数が多い。
 
司馬が最も脂が乗っていた時期の作品で、巧みな文章とストーリー構成、キャラクター造形で高い評価を受け、新撰組物の定番小説として非常に長い間版を重ね、現在に至るまで書店に並び、愛読されている。
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: [[大阪市|大坂]]の町道場に通っていた針師の次男山崎烝は、[[赤穂浪士]]の子孫[[大高忠兵衛]]と関わり遺恨を持ち、そこから自分が赤穂浪士から脱落した“不忠臣”[[奥野定良|奥野将監]]の子孫と知ることになる。やがて新選組の監察となった山崎は、[[池田屋事件]]で再び大高忠兵衛と相まみえる。
; 鴨川銭取橋
: [[甲州流軍学]]を修め新選組の軍学師範となっていた[[武田観柳斎]]は、おべっか使いの卑小な男だった<ref>観柳斎は『燃えよ剣』においても同様の描写をされている。</ref>。土方の巧妙な策略によって武田が裏切りに走り、そして粛清されるまでを描く。
; 虎徹
: [[浪士組]]に加盟した江戸の町道場の主・近藤勇は、支度金20両で名刀[[虎徹]]を欲した。しかし、虎徹が20両で買える訳もなく、刀屋は贋物を近藤に売る。近藤はまったく気付かず京に上り、やがて新選組を結成し偽虎徹をふるって活躍する。己の信念にもとづき偽物を本物に、本物を偽物にしてしまう近藤の性格を描いている。
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: 新入隊士国枝大二郎は六番組組長[[井上源三郎]]と出会い、その好々爺然とした人柄に惹かれた。井上はそれほど剣の腕は立たないが、近藤、土方、沖田と同じ[[多摩]]出身の試衛館の門人で彼らと強い連帯を持っていた。尊攘浪士に剣術を謗られた事件をきっかけに井上と国枝は2人だけで浪人たちの根城へ切り込みをかける。大島渚監督の映画『御法度』の中に、このストーリーが盛り込まれている。
; 海仙寺党異聞
: 長坂小十郎は同郷の中倉主膳の紹介で入隊した。その中倉は情婦の密通相手に斬られて醜態をさらし、士道不覚悟として切腹させられる。行きがかり上、長坂はさほど親しくもなかった中倉の仇を討たねばならない羽目に陥る。
; 沖田総司の恋
: 池田屋で大量の血を吐いた沖田総司は、[[会津藩]]の紹介で京の名医を訪ねる。労咳([[結核]])だった。沖田は町医者の娘に淡い恋心を抱く。新選組の京での立場を知る沖田はその娘と会うだけで良かったが、沖田と同郷で強い連帯感を持つ近藤と土方は、その娘を沖田の嫁にしようと勝手に動き始めてしまう。
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: [[薩摩藩|薩摩]][[郷士]][[富山弥兵衛]]は喧嘩が元で[[芸州藩]]士を切ってしまう。薩摩藩にいられなくなった富山は伊東甲子太郎の仲介で新選組に入隊する。土方は薩摩藩の間者ではないかと警戒するものの、素朴で愛嬌のある富山がとても間者とは思えず、警戒を解いてしまう。だが、富山こそ天稟の間者だった。
; 四斤山砲
: [[永倉新八]]の子供の頃の師匠筋を名乗る大林兵庫という浪人が屯所を訪ねてきた。永倉はまったく覚えがないが、大林にあれこれ言われて、そういうものかと信じてしまう。砲術を修めたという大林は、永倉の縁者ということもあって砲術頭に抜擢されるが、それまで砲術頭だった[[阿部十郎]]の立場がなくなってしまった。阿部は大林の砲術が紛いものだと見抜いていた。阿部は大林に侮辱を受けたことから伊東一派とともに脱退。やがて、阿部は[[鳥羽・伏見の戦い]]で薩摩藩の砲兵隊に加わり、新選組の大林の大砲と対決する。
; 菊一文字
: 刀を研ぎに出した沖田総司は刀屋から代わりの刀を借り受ける。それは[[鎌倉時代|鎌倉期]]の名刀[[則宗|菊一文字]]だった。その帰りに沖田は[[陸援隊]]士戸沢鷲郎に襲われるが、刀を抜かずに逃げてしまう。沖田の人柄に惚れた刀屋が菊一文字をただで譲るが、やはり沖田は使おうとはしなかった。労咳のために自分の命がわずかだと気付いていた沖田は、数百年永らえた菊一文字で人を斬る気がしなかった。だが、沖田の部下が戸沢に斬られてしまう。沖田は菊一文字で戸沢を斬る決意をする。
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{{main|新選組血風録 (テレビドラマ)}}
1965年、1998年、2011年に連続ドラマが放送された。
 
== 脚注 ==
<references>
 
{{司馬遼太郎}}