「音楽と数学」の版間の差分

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[[ピタゴラス音律]]は完全協和音である[[完全八度]]、[[完全五度]]、[[完全四度]]のみで作られる調律である。従って、長三度は三度ではなくditone、つまり文字通りには「二」として考えられており、この音の音程は(9:8)<sup>2</sup> = 81:64となる。これは直下の和声の一方で純正音程5:4 = 80:64の値に近い。 全体の楽音は2つの完全五度から導かれる (3:2)<sup>2</sup> = 9:8により構成される
 
純正な長三度の比率5:4と短三度の比率6:5に対し、ピタゴラス音律生成されるは81:64と32:27となり、[[シントニックコンマ]]すなわち81:80はピタゴラス音律に相当する81:64や32:27とはかけ離れた数字となっていの差がある。Carl Dahlhaus (1990, p.187)によれば、「従属的な三度はピタゴラス音律に従い、独立した三度は倍音に基づく音程の調律むかう」。
 
西洋の[[古典派伝統的音楽]]通常音調純正律のみで演奏することはできず、体系的に調整された調音階を必要とする。調律においては、不規則な[[ウェル・テンペラメント]]や{{仮リンク|レギュラーテンペラメント|en|regular temperament}}、さらには複数のまざまな[[平均律]]の形式や正則[[中全音律]]などが用いても調律可能であられる。しかし、どの場合においても[[中全音律]]の基本的特徴を必要とする。例として、'''ii'''度音の平方根をドミナント上の五度に調律した場合、主音との音程差は9:8に等しくなる。また、短三度(6:5)を4:3サブドミナント[[音度]]の下においた場合、主音からの音程差は10:9に等しい。中全音律は9:8と10:9の間の相違を減らしている。すなわち、これら2つの比、(9:8)/(10:9) = 81:80はユニゾンとして扱われている。音程差となる81:80は[[シントニックコンマ]]もしくはDidymusのコンマと呼ばれ、中全音律において重要なコンマとなっている。
 
[[平均律]]ではオクターヴは12の等しい半音階に分かれており、それぞれの半音階はその比が[[2の12乗根]]となっている。よって、半音階を12個上がることによりちょうど1オクターヴ上昇する。ギターなど、[[フレット]]を有する楽器ではフレットが弦を揃える役割を果たすため平均律を用いることが容易である。ヨーロッパの伝統音楽において、平均律は[[鍵盤 (楽器)|鍵盤]]などの他の楽器よりも早く、[[リュート]]や[[ギター]]を用いた音楽のために使用された。歴史の圧力により、12平均律は現代において西洋、そして世界非西洋の大部分の地域において支配的な音調体系となっている。
 
様々な等しい音程を使用した楽器により、平均律音階や楽器が作られてきた。[[19平均律]]は16世紀に{{仮リンク|ギヨーム・コストレイ |en|Guillaume Costeley}}により初めて提案、使用されたもので、19の等間隔なステップを用いる。19平均律は通常の12平均律よりも長三度や短三度においてより誤差が小さい。これにより、より多い協和音が生まれる。24個の等間隔なステップを用いる[[24平均律]]は[[アラブ音楽]]の音楽教育や音楽表記において広く用いられている。しかし、理論と実践においては、平均律が[[無理数|無理数の比率]]で表されるにも関わらず、中東音楽の音調は[[有理数|有理数の比率]]で表される。平均調律が行われた[[四分音]]の近似音がアラブの音調体系には全く見られ無い一方で、3つの四分音の近似音、もしくは{{仮リンク|中立二度|en|neutral second}}は頻繁に現れる。しかし、これらの中立二度は地形と同様[[マカーム]]に依存してその比率に僅かな幅がある。実際、中東の音楽歴史家である{{仮リンク|ハビーブ・ハサン・トゥーマー|en|Habib Hassan Touma}}は、「この音楽的なステップの偏り幅がアラブ音楽特有の香りに決定的な働きをする。調律の際に、オクターヴを四分音を用いて4つに分ける24平均律がこの音楽文化の中でも有数の特徴的な要素をもたらした」と記している<ref>{{cite book|last=Touma|first=Habib Hassan|title=The Music of the Arabs|year=1996|publisher=Amadeus Press|location=Portland, OR|isbn=0-931340-88-8|pages=22–24}}</ref>。
 
以下のグラフは平均律が和声をどの程度正確に近似しているかを示している。[註: 横軸上の数字は分割する平均律の値を表す。(例:"12"は12平均律音階を表す)]
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以下に純正律と平均律の違いを示した[[Ogg Vorbis]]ファイルを挙げる。違いを理解するには、以下のファイルを何回も聞く必要があるかもしれない。
*[[media:Comparison 550Hz - 554Hz.ogg|2つの正弦波の連続的な演奏]] – このサンプルは純正律音階の550Hz(C{{music|#}}における半音階)、続いて平均律音階の554.37Hz(C{{music|#}}における半音階)を演奏している。
*[[media:Major third comparison.ogg|同一の2つの音の違いを表した演奏]] – このサンプルは{{仮リンク|ダイアード (音楽)|label=ダイアード|en|Dyad (music)}}から成り立っている。下の音はA (各々の音階にて440Hz)、上の音はC{{music|#}}であり、前者は平均律音階における音、後者は純正律音階におけるC{{music|#}}である。[[うなり]]の違いにより前者の例よりも違いを容易に判別可能である。
 
==集合論との関連==