「ビタミンB6」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
en:Vitamin B6 18:57, 11 April 2014から機能等を翻訳‎
16行目:
| [[アルコール]]形 || [[アルデヒド]]形 || [[アミン]]形
|}
 
==機能==
ビタミンB6の[[代謝]]で活性な形態である[[ピリドキサールリン酸]]は、主要な[[栄養素]]の代謝、[[神経伝達物質]]合成、[[ヒスタミン]]合成、[[ヘモグロビン]]合成及び[[遺伝子発現]]などの多くの反応に関与している。ピリドキサールリン酸は一般的に多くの反応の[[補酵素]]として機能し、[[脱炭酸]]、[[転移]]、[[ラセミ化]]、[[離脱]]、[[置換]]およびβ-基の反応を促進する<ref name="Combs">Combs, G.F. The Vitamins: Fundamental Aspects in Nutrition and Health. 2008. San Diego: Elsevier</ref>。ビタミンB6による代謝は[[肝臓]]で行われる。
===アミノ酸の代謝===
ピリドキサールリン酸(PLP)は、[[アミノ酸]]を異化する[[トランスアミナーゼ]]補因子である。 ピリドキサールリン酸は、2つの反応を経由して[[システイン]]に[[メチオニン]]に変換する2つの酵素の必須成分である。ビタミンB6が欠乏した状態では、これらの酵素の活性の低下をもたらすことになる。 ピリドキサールリン酸はまた、[[セレノメチオニン]]から[[セレノホモシステイン]]への代謝に関与する[[酵素]]に不可欠な補因子であり、その後、セレノホモシステインから[[セレン化水素]]になる。ビタミンB6は、[[トリプトファン]]から[[ナイアシン]]への変換のために必要とされ、ビタミンB6が低い状態はこの変換に支障を来すことになる<ref name="Combs"/>。 またピリドキサールリン酸は、アミノ酸の脱カルボキシル化によって生理学的に活性な[[アミン]]を生成する際に使用される。これのいくつかの注目すべき例としては、[[ヒスチジン]]から[[ヒスタミン]]を、[[トリプトファン]]から[[セロトニン]]を、[[グルタミン酸]]から[[γ-アミノ酪酸]](GABA)を、[[レボドパ|ジヒドロキシフェニルアラニン]]から[[ドーパミン]]を生成させることがあげられる。
===糖新生===
ビタミンB6は、[[糖新生]]においても役割を果たしている。ピリドキサールリン酸は、糖新生の基質として利用されるアミノ酸に必須である[[転移反応]]を触媒することができる。また、ビタミンB6は、[[グリコーゲン]]分解が起こるために必要な酵素である[[グリコーゲンホスホリラーゼ]]の必須補酵素である。
===脂質代謝===
ビタミンB6は、[[スフィンゴ脂質]]を生合成する酵素の必須成分である<ref name="Combs"/>。特に、[[セラミド]]の合成は、ピリドキサールリン酸を必要とする。この反応において、[[セリン]]は脱炭酸され、[[パルミトイル]]CoAと結びついて[[スフィンガニン]]を生成する。これは[[脂肪酸]][[アシルCoA]]と結びついて[[ジヒドロセラミド]]を生成する。ジヒドロセラミドは、不飽和化されてセラミドを生成する。 [[スフィンゴシン-1-リン酸]]を分解する酵素[[S1P]][[リアーゼ]]もピリドキサールリン酸に依存するため、スフィンゴ脂質の分解もビタミンB6に依存している。
==代謝機能==
ビタミンB6の主な役割は、代謝に関与する体内の多くの他の酵素の補酵素として作用することである。この役割は、活性型のピリドキサールリン酸によって行われる。この活性型は、食品に含まれている[[ピリドキサール]]、[[ピリドキシン]]及び[[ピリドキサミン]]から変換される<ref name="pmid21005738 ">{{cite journal | author = Lichtstein HC, Gunsalus IC, Umbreit WW | title = Function of the vitamin B6 group; pyridoxal phosphate (codecarboxylase) in transamination | journal = J Biol Chem. | volume = 161 | pages = 311–20 | year = 1945 | pmid = 21005738 | url=http://www.jbc.org/content/161/1/311.full.pdf | format=PDF | issue=1}}</ref>。
 
ビタミンB6は、以下の代謝過程に関与している。
*アミノ酸、[[グルコース]]および[[脂質代謝]]
*神経伝達物質合成
*ヒスタミン合成
*ヘモグロビン合成と機能
*遺伝子発現
 
===アミノ酸代謝===
ピリドキサールリン酸は、合成から分解までのほぼすべてのアミノ酸代謝に関与する。
1.アミノ基転移:アミノ酸を分解するのに必要な[[トランスアミナーゼ]]酵素はピリドキサールリン酸の存在に依存している。これらの酵素の活性は、アミン基を元のアミノ酸から別のアミノ酸などに移動させるのに重要である。
2.含硫基移動:ピリドキサールリン酸が[[シスタチオニン]]合成酵素と[[シスタチオナーゼ]]の機能のために必要な補酵素である。これらの酵素は、メチオニンをシステインに変換する。  
3.セレノアミノ酸代謝:[[セレノメチオニン]]は、食餌中に存在する[[セレン]]の主要な形である。ピリドキサールリン酸は、食餌中のセレン化合物を利用できるような酵素の補因子として必要とされる。ピリドキサールリン酸は、[[セレノホモシステイン]]から[[セレン化水素]]を生成してセレンを放出する補因子の役割を果たしている。セレン化水素は、セレンをセレン含有タンパク質中に組み込むことができる<ref name="Combs"/> 。
4. ビタミンB6はまた、トリプトファンからナイアシンを生成するために必要とされ、ビタミンB6の欠乏はこの変換を損うことになる。
===神経伝達物質の合成===
ピリドキサルリン酸依存性酵素は、[[セロトニン]]、[[ドーパミン]]、[[エピネフリン]]、[[ノルエピネフリン]]及び[[γ-アミノ酪酸]](GABA)の5つの重要な神経伝達物質の生合成において役割を果たす<ref name="Combs"/>。 神経修飾物質のD-セリンを合成する[[セリン]][[アミノ酸ラセマーゼ|ラセマーゼ]]も、ピリドキサールリン酸依存性酵素である。
===ヒスタミン合成===
ピリドキサールリン酸は、ヒスタミンの代謝に関与している<ref name="Combs"/>。
===ヘモグロビン合成と機能===
ピリドキサールリン酸は、[[アミノレブリン酸シンターゼ]]の補酵素として働くことによって[[グリシン]]と[[スクシニルCoA]]がD-[[アミノレブリン酸]]へ縮合することでヘモグロビンの合成の第一歩を行う<ref>{{cite web|url=http://www.rpi.edu/dept/bcbp/molbiochem/MBWeb/mb2/part1/heme.htm |title=Heme Synthesis |doi=10.1042/BJ20030513 |publisher=Rpi.edu |accessdate=2012-11-02}}</ref>。また、ピリドキサールリン酸は、ヘモグロビンの酸素結合を強化するために、ヘモグロビンの2つの部位に結合する<ref name="Combs"/>。
===遺伝子発現===
ビタミンB6は、ホモシステインをシスタチオニンを経てシステインに変換する。ピリドキサールリン酸は、特定の遺伝子の発現の増減に関与している。細胞内のビタミンの増加レベルは、[[グルココルチコイド]][[ホルモン]]の転写の減少につながる。また、ビタミンB6欠乏症は、[[アルブミン]][[mRNA]]の発現の増加につながる。また、ピリドキサールリン酸は、種々の転写因子と相互作用することにより、[[糖タンパク質]]IIbの遺伝子発現に影響を与え、[[血小板]]凝集の阻害をもたらす<ref name="Combs"/>。
 
==ギンナン食中毒==