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兵器としては完成していないが、医療分野においては[[放射線療法|重粒子放射線治療]]として癌治療のひとつとして実用化されている。放射線治療に用いられる荷電粒子は電子と陽子が主である。陽子より原子番号の大きなイオンを用いる場合は重粒子線治療と呼ばれ、その場合は炭素原子などが用いられる。陽子線治療と重粒子線治療を総合して粒子線治療と呼び、電子を照射する治療方法(電子線照射)は通常粒子線治療には含めない。ただし、一般的な放射線治療に用いられる放射線としてエックス線、ガンマ線と並んで電子線は主要な地位を占めている。
 
兵器としての荷電粒子加速装置が機器そのものにや生物、建築物等へ対するマクロな破壊を目的としているのに対して、粒子線治療は粒子が持つ電荷が細胞核中のDNAを損傷することによる細胞致死効果を治療原理としており、ミクロな破壊を目的としているところに本質的な違いがある。荷電粒子は電荷を持たないエックス線やガンマ線とはその作用機序が異なり、ブラッグピーク深を目的の治療部位の深度に充てることで効率的に癌にダメージを与えるように治療が計画される。
 
粒子の加速には[[サイクロトロン]]や[[シンクロトロン]]などが用いられる。放射線治療の分野においても加速器の小型化と言うのは大きな問題であり、現在用いられている治療用の粒子加速装置は円形加速器で半径数メートルから数10メートルの大きさになる。そうなると放射線照射室内に加速器を置くことは困難なので、大概の粒子線治療施設では加速器は地下か地上の別施設に置かれそこで加速した荷電粒子を偏向磁石を使って照射室の照射ガントリまで飛ばしている。