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|判例集 = [http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26541&hanreiKbn=01 民集32巻7号1223頁]
|裁判要旨 =
# 憲法22条1項は、日本国内における居住移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり、外国人がわが国に入国することについてはなんら規定していないものであり、このことは、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていることと、その考えを同じくするものと解される。
# 憲法上、外国人は、わが国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん、在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものでもないことはもちろん、所論のように在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保証されているものでもないと解すべきである
# 裁判所は、法務大臣の在留の更新を認めるか否かの判断についてそれが違法となるかどうかを審理、判断するにあたっては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとして違法であるとすることができる。
# 令21条の規定の仕方は、「法務大臣に一定の期間ごとに当該外国人の在留中の状況、在留の必要性・相当性等を審査して在留の拒否を決定させようとする趣旨」のものであり、「更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広汎なものとする趣旨からであると解される」。
# 裁判所は、法務大臣の在留の更新を認めるか否かの判断についてそれが違法となるかどうかを審理、判断するにあたっては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものとして違法であるとすることができる。
# 憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。
# 政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
# 在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしゃくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。
# 外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であり、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情としてしんしゃくされないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。
# 在留中に外国人の行った政治活動が、日本国にとって好ましいものではないと評価し、また、上告人の右活動から同人を将来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認めて、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、違法でないとされた事例。
# X(原告・被控訴人・上告人)の政治活動は、その行動の態様からみて直ちに憲法の保障が及ばない政治活動であるとはいえないが、Y(法務大臣―被告・控訴人・被上告人)の判断に裁量権の逸脱・濫用を認めることはできないので、本件処分を違法であると判断することは出来ない。
|法廷名 = 大法廷
|裁判長 = [[岡原昌男]]
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# 外国人に政治活動の自由はあるか。
; 判決
# 外国人の基本的人権は在留制度の枠内で保障されるにすぎないので、在留期間中の合憲・合法の行為を理由として、法務大臣は在留更新不許可処分を行うことができる。<ref>この判示を導き出したのは、在留更新の許否に関する法務大臣の裁量権は広範であり、司法審査の範囲は限定される。その論拠となったのは、国際慣習法上、外国人の入国の自由は保障されず、日本国憲法もその立場をとっている。</ref>
# 外国人に残留する権利は保障されない。
# 外国人の政治活動の自由はわが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等を除き保障される<ref>参政権的機能を果たす政治活動の自由については、国民の場合と異なる特別の制約が許されると解する(通説・判例 芦部信喜『憲法学Ⅱ』[1994]151-153頁、本判決の立場)</ref>
<!--==論点==
*外国人の人権は性質説である。では、人権がどこまで認められるか。
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== 関連項目 ==
* [[森川キャサリーン事件]]
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==