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{{告知|提案|{{oldid|52251055|section=中立との関係|集団的自衛権と中立の関係に関する記述}}の加筆}}
{{Pathnav|自衛権|frame=1}}
{{混同|集団安全保障|集団防衛}}
'''集団的自衛権'''(しゅうだんてきじえいけん、{{Lang-en|right of collective self-defense}}、{{Lang-fr|droit de légitime défense collective}})とは、ある[[国家]]が[[武力攻撃]]を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で[[防衛]]を行う[[国際法]]上の[[権利]]である<ref name="筒井176"> [[#筒井|筒井]]、176頁。</ref><ref name="山本736"> [[#山本|山本]]、736頁。</ref>。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある<ref> [[#安田|安田]]、225頁。</ref>。
 
<!-- 下記部分については未だ深刻な論争の途中ですので、一時的にコメントアウト致します。詳しくはノートをご参照下さい。
 
{{独自研究範囲|なお、第三国が集団的自衛権を行使するには、[[宣戦布告]]を行い中立国の地位を捨てる必要があり、宣戦布告を行わないまま集団的自衛権を行使することは、[[戦時国際法]]上の[[戦時国際法#中立国の義務|中立義務]]違反になる。|date=2014年6月}}<ref name="shigeki_tuchiya">{{ Cite web
| title = 集団安全保障と中立
| url = http://libdspace.biwako.shiga-u.ac.jp/dspace/bitstream/10441/2377/2/SJ02_0043_057A.pdf
| author = 土屋茂樹
| publisher = 滋賀大学教育学部紀要 人文科学・社会科学・教育科学
| page = 58
| date = 1993
| accessdate = 2014-06-12
| quote = 「避止義務とは、中立国が交戦国の一方に対して戦争遂行に関する直接または間接の援助を与えてはならないという義務である。直接の敵対行為を行うことにより、交戦国の一方を援助することができないのみならず、軍隊の供給、軍艦、軍用の船舶・航空機・武器弾薬その他の軍用資材、補助金の供与はすべて禁じられる。」{{独自研究範囲|(従って、中立国が、国際紛争において、国際法上何の問題も無く一方の交戦国に加担するために集団的自衛権を行使しようとする場合、国連憲章51条により国連安全保障理事会の対応があるまでの暫定的な期間、中立国の立場を捨て集団的自衛権を行使して他方の交戦国に宣戦布告する旨をあらかじめ国際社会に明言しておく必要がある。)|date=2014年6月}} }}</ref>
<ref name="gen_nakatani_20010531">{{ Cite web
| title = 第151回国会 平成13年5月31日(木)参議院外交防衛委員会 中谷元 国務大臣防衛庁長官 国会答弁 発言番号153番
| url = http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/151/0059/15105310059012c.html
| date = 2001-05-31
| accessdate = 2014-06-12
| quote = そういう点において、国連憲章に書かれている集団的自衛権というのは、私は、国家が戦争の宣言をして堂々と戦うというための集団的自衛権であって、そういう私が今述べたような例とはちょっと意味合いが違ってくるんじゃないかなというふうに思います。 }}</ref>
<ref name="masahiro_sakata_20140520">{{ Cite web | title = ダイヤモンドオンライン「シリーズ日本のアジェンダ『集団的自衛権行使容認』の是非【第2回】憲法解釈の変更による行使容認に反対、行使が不可欠なら憲法改正こそが王道、――元内閣法制局長・弁護士 阪田雅裕」 | url = http://diamond.jp/articles/-/53223?page=5 | date = 2014-05-20 | accessdate = 2014-06-12 | quote = 集団的自衛権の行使は、わが国が攻められていないのに、日本から離れた場所で行われている戦争に参加することですから、行使をした途端に、それまで局外者であったはずのわが国が、交戦当事国になってしまうのです。その結果、敵国が日本の領土を攻撃することも許されるようになります。 }}</ref>
<ref>{{ Cite web | title = 日刊ゲンダイ 阪田雅裕元内閣法制局長官「ルビコンを渡れば歯止めが利かない」 | url = http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151814/3 | date = 2014-07-14 | accessdate = 2014-07-14 | quote = そもそも、集団的自衛権の行使とは、他国の防衛のために一緒に戦うことですからね。集団的自衛権を行使する際には政府が決断し、宣戦布告をするわけです。 }}</ref>
<ref name="ICJ_19860627">{{ Cite web
| title = Military and Paramilitary Activities in and against Nicaragua (Nicaragua v. United States of America) (MERITS)
| url = http://www.icj-cij.org/docket/index.php?sum=367&p1=3&p2=3&case=70&p3=5
| date = 1986-06-27
| accessdate = 2014-06-12
| quote = Rejects the justification of collective self-defence maintained by the United States of America in connection with the military and paramilitary activities in and against Nicaragua the subject of this case; }}</ref>
 
-->
 
== 沿革 ==
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| colspan="3" style="text-align:left" | <small>ニカラグア事件判決によると、[[File:Yes check.svg|10px]]で示した要件のうちいずれかひとつでも満たさない場合には正当な[[自衛権]]行使とは見なされない<ref name="杉原456">[[#杉原|杉原]]、456頁。</ref><ref name="杉原460">[[#杉原|杉原]]、460頁。</ref><ref name="judgment19860627">{{Cite journal|title=Military and Paramilitary Activities in and against Nicaragua (Nicaragua v. United States of America), Merits, Judgment|journal=ICJ Reports 1986|pages=pp.77-78,95,110-113|language=英語、フランス語|format=PDF|url=http://www.icj-cij.org/docket/files/70/6503.pdf}}</ref>。</small>
|}
国家の自衛権は、国際慣習法上、すでに19世紀には、自らの権利その他の利益に対する重大な損害を排除するために取ることのできる正当な手段として認められていたといわれるが、主権国家の権利として容認されていたこの自衛権とは、国連憲章にいうところの個別的自衛権である。20世紀、特に第一次世界大戦以降は、この自衛権の行使は次第に、不正な侵害の全てに対してではなく、武力攻撃による権利・利益の侵害に対処する場合に限定して容認されるようになっていき、国連憲章に至ったとされる<ref name="山本733">[[#山本|山本]]、733頁。</ref>。個別的自衛権は国連憲章成立以前から認められた国家の[[慣習国際法]]上の権利であり、上記の国連憲章第51条において個別的自衛権を「固有の権利」としているのはこの点を確認したものである<ref name="山本732">[[#山本|山本]]、732頁。</ref>。
 
このように個別的自衛権が国際法上も長い伝統を有する概念であるのに対して、集団的自衛権は、国連憲章に現れるまで、国際慣習法上の権利としては論じられたことがないものであった。こうした新たな権利が個別的自衛権と並んで国家の「固有の権利」と位置づけられるに至った背景には、国連憲章第53条において、加盟国が地域的取極に基いて強制行動を取るためには安全保障理事会の許可を得なければならない旨が定められたことに対して、ラテンアメリカ諸国が強い反発を見せたことがあるとされている{{Sfn|国際法学会|2005|pp=453}}。
 
集団的自衛権が攻撃を受けていない第三国の権利である以上、実際に集団的自衛権を行使するかどうかは各国の自由であり、通常第三国は武力攻撃を受けた国に対して援助をする義務を負うわけではない<ref name="筒井176"/>。そのため[[米州共同防衛条約]]、[[北大西洋条約]]、[[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約|日米安全保障条約]]などのように、締約国の間で集団的自衛を権利から義務に転換する条約が結ばれることもある<ref name="筒井176"/>。国際慣習法上、相手国の攻撃が差し迫ったものであり他に選択の余地や時間がないという「必要性」と、選択された措置が自衛措置としての限度内のものでなければならないという「均衡性」が、国家が合法的に個別的自衛権を行使するための条件とされる<ref name="山本732">[[#山本|山本]]、732頁。</ref><ref name="杉原459-460">[[#杉原|杉原]]、459-460頁。</ref>。
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1986年、[[国際司法裁判所]]は[[ニカラグア事件]]判決において、集団的自衛権行使のためには上記のような個別的自衛権行使のための要件に加えて、武力攻撃を受けた国がその旨を表明することと、攻撃を受けた国が第三国に対して援助要請をすることが、国際慣習法上要件とされるとした<ref name="杉原459-460"/><ref name="judgment19860627"/>。第三国の実体的利益に対する侵害が存在するか否かという点を要件とするかについては現在も意見の相違がある<ref name="筒井176"/><ref name="杉原459-460"/>。つまり、第三国の実体的利益に対する侵害が集団的自衛権行使の要件として必要とする立場では第三国も攻撃を受けた国と同様に単独で個別的自衛権を行使できる場合にしか集団的自衛権行使は認められないとするのに対し、第三国の実体的利益に対する侵害が要件として不要とする立場では集団的自衛権は攻撃を受けた国の武力が不十分である場合に国際平和と安全のため行使される共同防衛の権利であり、第三国の実体的利益への侵害は無関係であるとする<ref name="山本736"/><ref name="杉原459-460"/>。ニカラグア事件国際司法裁判所判決もこれらのうちいずれの見解を採用したものであったのか明確ではない<ref name="杉原459-460"/>。
 
== 宣戦布告中立との関係 ==
{{see also|中立}}
{{独自研究|section=1|date=2014年7月}}
[[戦争]]の合法的な存在を背景とした、かつての戦争の非当事国にまつわる権利義務の総体を中立法といい、20世紀初頭以降に戦争が違法化されていくにしたがって中立法の適用そのものは否定されないものの、その適用範囲を狭ばめていく傾向がみられた<ref name="森田137">[[#森田(2005)|森田(2005)]]、137頁。</ref>。かつては{{仮リンク|戦争の正当原因|en|Jus ad bellum}}のもとで両交戦国に対して等しい地位が認められたが、[[国際連盟規約]]や[[不戦条約]]が[[戦争]]を違法なものとして定めて以降、それまでの中立概念は変容し、一方では違法な戦争を行う国ともう一方ではそのような武力行使に対して自衛権を行使する被害国とに交戦国は明確に区別されるようになった<ref name="森田139-141">[[#森田(2005)|森田(2005)]]、139-141頁。</ref>。
[[宣戦布告]]は、[[開戦に関する条約]]第一条により敵対行為(hostility)開始前に行っておく義務があるが、集団的自衛権を行使する際に[[宣戦布告]]が必要かについて、[[中谷元]][[防衛庁長官]](平成13年5月当時)の国会答弁<ref name="gen_nakatani_20010531">{{ Cite web
| title = 第151回国会 平成13年5月31日(木)参議院外交防衛委員会 中谷元 国務大臣防衛庁長官 国会答弁 発言番号153番
| url = http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/151/0059/15105310059012c.html
| date = 2001-05-31
| accessdate = 2014-06-12
| quote = 「そういう点において、国連憲章に書かれている集団的自衛権というのは、私は、国家が戦争の宣言をして堂々と戦うというための集団的自衛権であって、そういう私が今述べたような例とはちょっと意味合いが違ってくるんじゃないかなというふうに思います。」 }}</ref>や阪田雅裕元[[内閣法制局長官]]の見解
<ref>{{ Cite web | title = 日刊ゲンダイ 阪田雅裕元内閣法制局長官「ルビコンを渡れば歯止めが利かない」 | url = http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151814/3 | date = 2014-07-14 | accessdate = 2014-07-14 | quote = そもそも、集団的自衛権の行使とは、他国の防衛のために一緒に戦うことですからね。集団的自衛権を行使する際には政府が決断し、宣戦布告をするわけです。 }}</ref>
に見られるように、「集団的自衛権を行使するには宣戦布告が必要」という解釈が日本では支配的である。
 
この被害国を援助するために第三国が集団的自衛権を行使する場合、伝統的に第三国に強制された中立の地位を離脱する事態が生じる<ref name="森田137"/>。第二次世界大戦中から交戦状態に入らない第三国が一方の交戦国を公然と支援するという実行がみられるようになり、この時代から中立以外に第三国がとりうる立場として「非交戦国」という立場が論じられ始めるようになった<ref name="森田139-141"/>。その後[[国連憲章]]第2条4項はすべての武力による威嚇、または武力の行使を違法化したため、今日では自衛権が国家間における武力行使を法的に正当化する唯一の根拠となる<ref name="森田137"/>。この「非交戦国」が[[慣習国際法]]上確立したとする立場では、第三国は他国の武力紛争に対して適法な形で中立義務を離脱することが可能となるが、現代においてもこうした「非交戦国」という立場が確立しているか否かについては争いがある<ref name="森田139-141"/>。
これに対し、1966年の[[ベトナム戦争]]当時、アメリカがベトナムに対し宣戦布告をせずに戦争を開始したことの合法性について、アメリカの[[ディーン・ラスク|ラスク]][[国務長官]]は、理由を示さず「個別的、集団的自衛権の行使の前に、宣戦布告のするという国際法上の要請はない。」と議会証言している<ref>{{ Cite web
| title = 1966年5月9日(木)米上院外交委員会 ラスク国務長官証言
| url = https://www.mtholyoke.edu/acad/intrel/pentagon4/ps18.htm
| date = 1966-05-9
| accessdate = 2014-07-16
| quote = There is no requirement in international law for a declaration of war before the right of individual or collective self-defense can be exercised. }}「個別的、集団的自衛権の行使の前に、宣戦布告のするという国際法上の要請はない。」</ref>。どのような理由で宣戦布告が必要ないと証言したかは不明であるが、同時期の1966年3月に米国務省の法律顧問が米上院外務委員会に提出した書面には、国際法上、自衛権の行使の前提として宣戦布告をすることを必要としない理由として、国連憲章での武力の行使の違法性の判断に関し宣戦布告の有無は関係しないことを挙げているが、開戦に関する条約の宣戦布告義務がなぜ適用されないかについては何も論じておらず疑問が残る<ref>{{ Cite web
| title = "The Legality of United States Participation in the Defense of Viet-Nam", Leonard C. Meeker, DEPARTMENT OF STATE BULLETIN
| url = http://www.calhum.org/files/uploads/program_related/TD_US_Participation_in_VN.pdf
| date = 1966-03-4
| accessdate = 2014-07-16
| quote = '''G. International Law Does Not Require a Declaration of War as a Condition Precedent To Taking Measures of Self-Defense Against Armed Attack'''
The existence or absence of a formal declaration of war is not a factor in determining whether an international use of force is lawful as a matter of international law. The United Nations Charter's restrictions focus on the manner and purpose of its use and not on any formalities of announcement.
It should also be noted that a formal declaration of war would not place any obligations on either side in the conflict by which that side would not be bound in any event. The rules of international law concerning the conduct of hostilities in an international armed conflict apply regardless of any declaration of war. }}「G.国際法は武力攻撃に対する自衛の手段をとる前提条件として宣戦布告を要求しない。宣戦布告の有無は武力の国際的利用が国際法上合法かを決める要因ではない。国連憲章の規制は、その様態と目的を注目し、形式を注目しない。宣戦布告は、紛争のどちら側にも何の義務も負わせない、それによってその側が拘束されることはいずれにせよないことに注目すべきである。国際的な武力紛争の敵対行為に関する国際法のルールは、宣戦布告に関係なく適用される。」</ref>。
 
[[ベトナム戦争]]では、[[中立国]]であった[[カンボジア]]に侵攻した[[アメリカ合衆国]]は、自らの軍事行動がカンボジアによる中立国の防止義務不履行を理由に集団的自衛権の行使として正当化されると主張した<ref name="森田154-156">[[#森田(2005)|森田(2005)]]、154-156頁。</ref>。ここでいう中立国の防止義務とは、中立国は交戦国の一方に軍事的に利するような形で自国領域を使用させてはならないとする義務のことであり、アメリカ侵攻当時[[北ベトナム]]と[[ベトコン]]に一部占領されていたカンボジアはこの中立国の防止義務を果たすことができていないとしたのである<ref name="森田154-156"/><ref name="森田137-139">[[#森田(2005)|森田(2005)]]、137-139頁。</ref>。アメリカはカンボジアへの侵攻がカンボジア侵略勢力を排除するために時間的・範囲的に限定されたものであり、カンボジアそのものを標的としたものではなかったとして均衡性の要件([[#権利の性質]]参照)も満たすものであったと主張した<ref name="森田154-156"/>。ただし多くの同盟国領域内に軍事拠点を使用し、従来よりこうした第三国領域内の軍事施設に対する攻撃を強く非難する立場をとってきたアメリカのそれまでの政策と、このカンボジア侵攻の際のアメリカの主張は対極に位置することから、アメリカのカンボジア侵攻は二重基準として批判を受けることとなった<ref name="森田154-156"/>。
なお、「国連憲章は戦争を禁止しているので、宣戦布告は禁止されている」という説<ref>例えば[[集団的自衛権#筒井|『国際法辞典』]]、43頁「開戦宣言」「近年、戦争の違法化の下で、開戦宣言は侵略の証拠とされることもあったが、第二次世界大戦後は、国際連合憲章が武力行使を一般的に禁止したため、法的には正式の開戦宣言を行うこと自体が許されなくなったものと解され、1974年の国際連合総会決議「侵略の定義」でもその有無を問題としていない。」</ref>があるが、これに対し[[::en:Congressional Research Service|米国議会調査局]]の2007年3月8日のレポートは「自衛権行使のための宣戦布告」は認められているとの見解を示している<ref>{{cite web
|title=Declarations of War and Authorizations for the Use of Military Force: Historical Background and Legal Implications
|url=http://www.fredsakademiet.dk/tid/1800/1812/us_decleration_of_wars.pdf |author=Jennifer K. Elsea 他 |page=27 |date=2007-03-8 |accessdate=2014-07-18 |quote=States likely still retain a right to issue declarations of war, at least in exercising the right of self-defense; and such a declaration seemingly would still automatically create a state of war.}}「国家は未だ、少なくとも自衛権の行使に際し宣戦布告を発する権利を有し、そのような宣言は自動的に戦争状態を作り出す。」</ref>。前者の説は、国連憲章が自衛権の行使を認めていることを考慮に入れていない点で、米国議会調査局の結論に反した結論になっている。
 
== 集団的自衛権の行使に当たるとされる事例 ==
[[礒崎陽輔]]国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官は、集団的自衛権の行使と宣戦布告に関し、twitterで「『宣戦布告』のことがお気に掛かるのでしたら、外務省に御照会してはいかがですか。議論する話ではありません。」<ref>[https://twitter.com/isozaki_yousuke/status/487604105741742082]「中谷さんがどういう趣旨でそういう発言をしたかは私には分かりませんが、「宣戦布告」のことがお気に掛かるのでしたら、外務省に御照会してはいかがですか。議論する話ではありません。」</ref>と発言し、2014年7月1日の閣議決定による解釈改憲直後であるにも関わらず、宣戦布告の必要性について十分調査されていないことを吐露している。
* [[ハンガリー動乱]]
* [[プラハの春|チェコスロバキア動乱]]
* [[ベトナム戦争]]
* [[コントラ戦争]]
* [[アフガニスタン紛争 (2001年-)|9・11テロを受けてのタリバン政権下のアフガニスタンに対する米軍の攻撃]]とそれに伴うNATO加盟のヨーロッパ諸国のとった軍事行動{{Sfn|阪田雅裕|2013|pp=52}}
 
== 権利の濫用 ==
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== 日本における集団的自衛権 ==
[[内閣官房]]及び[[内閣総理大臣|首相]][[安倍晋三]]の答弁によれば<ref>[http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/anzenhoshouhousei.html 内閣官房の概要]</ref>、日本における集団的自衛権の行使の要件として、日本に対する武力攻撃、又は日本と密接な関係にある国に対して武力攻撃がなされ、かつ、それによって「日本国民」に明白な危険があり、集団的自衛権行使以外に方法がなく、必要最小限度の実力行使に留まるという要件が必要である。これを自衛の措置としての武力の行使の「新三要件」という。あくまで集団的自衛権の趣旨は日本国民を守るものであるため、密接な関係にあったとしても、他国民の保護のための行使はできない。また、[[専守防衛]]は堅持していくとし、先制攻撃は許されていない。海外派兵についても許されていない。
国連憲章の第51条に記載された権利であるが、日本政府は[[日本国憲法第9条]]により日本はその行使をできないと50年以上に渡って解釈してきた。安倍内閣では、2014年7月1日に憲法解釈を変更し、集団的自衛権を行使できるという立場をとる閣議決定がなされ、その中で合憲性については、まず「国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある」と前置きした上で、同一の「武力の行使」を、「国際法上は、集団的自衛権」であっても、憲法上は、あくまで「我が国を防衛するため」と個別的自衛権ととらえ、従来の憲法解釈と齟齬をきたすことなく、内外で個別的自衛権、集団的自衛権を使い分けることによりクリアーしている。<ref>{{Cite web
|title=国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について
|url=http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf
|author=閣議決定
|page=8
|date=2014-07-1
|accessdate=2014-7-18
|quote=我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然であるが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある。憲法上許容される上記の「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある。この「武力の行使」には、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とするものが含まれるが、憲法上は、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものである。}}</ref>。
 
しかし外国における、日本の集団的自衛権の考え方は、日本政府の解釈とは異なっている。フィリピンの大統領アキノは「他国を支援する権限を持つことで、アジア地域に恩恵をもたらすことができると信じている」と述べている<ref>[http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303319204579643874274845930 アキノ比大統領、日本の集団的自衛権行使を支持―安倍首相と会談]</ref>。また首相安倍晋三は、集団的自衛権容認について、「地域、国際社会の平和と安定に寄与するもの」としており、ニュージーランドの首相キーは中国が海洋進出を強める南シナ海、東シナ海情勢に関し「平和と安定が不可欠だ」として事実上、日本の集団的自衛権を容認している<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140707/plc14070710030001-n1.htm 安倍首相、集団的自衛権の閣議決定を説明 NZ首相は称賛]</ref>。安倍は日米同盟を強化する事で、抑止力が高まるという視点から、集団的自衛権が存在し、対外的にアピールする事によって「日本が戦争に巻き込まれるおそれは一層なくなっていく」と主張している。
閣議決定によると、日本における集団的自衛権の行使の要件として、日本に対する武力攻撃、又は日本と密接な関係にある国に対して武力攻撃がなされ、かつ、それによって「日本国民」に明白な危険があり、集団的自衛権行使以外に方法がなく、必要最小限度の実力行使に留まる必要があるとしている。<ref>{{Cite web|title=国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について
|url=http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf
|author=閣議決定
|page=7
|date=2014-07-1
|accessdate=2014-7-19
|quote=、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。}}</ref>これを自衛の措置としての[[武力の行使の「新三要件」]]という。また、あくまで集団的自衛権の趣旨は日本国民を守るものであるため、密接な関係にあったとしても、他国民の保護のための行使はできない。また、[[専守防衛]]は堅持していくとし、先制攻撃は許されていない。海外派兵についても許されていない。
 
ロシア外務省の情報報道局長ルカシェビッチは安倍内閣が掲げる[[積極的平和主義]]の意味も含め、今後どのような安全保障政策をとるかを注意深く見守る考えを示している。その上で「第2次大戦の結果を全面的に認め、日本の軍国主義の犯罪を正当化するような試みを看過しないことを期待している」と指摘し、「周辺国が敏感に反応することを日本は自覚しなければならない」とクギを刺している<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG781PPWG78UHBI001.html ロシア外務省「安倍政権を注視」…集団的自衛権]</ref>。
この日本における集団的自衛権において、フィリピンの大統領アキノは「他国を支援する権限を持つことで、アジア地域に恩恵をもたらすことができると信じている」と賛意を示している<ref>[http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303319204579643874274845930 アキノ比大統領、日本の集団的自衛権行使を支持―安倍首相と会談]</ref>。また、ニュージーランドのキー首相は、安部首相の集団的自衛権の閣議決定の説明に対し、南シナ海、東シナ海情勢に関し「平和と安定が不可欠だ」と述べた。<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140707/plc14070710030001-n1.htm 安倍首相、集団的自衛権の閣議決定を説明 NZ首相は称賛]</ref>。
 
国内においても「集団的自衛権は、国際法上、同盟国を守るために海外に派兵する権利」と見て反対する憲法学者らもおり<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140704/k10015750021000.html 集団的自衛権 憲法学者らが反対の会見]</ref>、「集団的自衛権」そのものの概念について、食い違いが生じている。
同盟国であるアメリカの国防長官ヘーゲルは2014年7月11日に、「強く支持する」と表明した上で、集団的自衛権の行使容認とガイドラインの再改定によって、ミサイル防衛や大量破壊兵器の拡散防止、海賊対策、平和維持活動等が行えるようになると具体例を示した<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014071202000245.html 集団的自衛権行使 日米防衛指針に反映]</ref>。[[イギリス]]の{{仮リンク|マイケル・ファロン|en|Michael Fallon}}[[国防大臣 (イギリス)|国防相]]は、「これらの改革は、日本が世界平和と安保により責任を持つようになってきた自然な流れだ」として憲法解釈変更の閣議決定を歓迎した<ref>{{cite news |title=英新国防相が集団的自衛権容認を歓迎「自衛隊は世界で最もプロフェッショナル」 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-7-19 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140719/erp14071909170009-n1.htm |accessdate=2014-7-19 | author=内藤泰朗}}</ref>。[[ドイツ]]政府は、「国連の平和維持活動に積極的に参加できるようになり、ドイツ政府は歓迎する」と評価した<ref>{{cite news |title=独、集団的自衛権の行使容認を評価 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-7-2 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140702/erp14070222200005-n1.htm |accessdate=2014-7-19}}</ref>。[[オーストラリア]]の外務貿易省は、国際平和や安定への貢献拡大が可能になる」と歓迎するコメントを発表した<ref>{{cite news |title=集団的自衛権、豪が歓迎=「国際平和への貢献拡大」 |newspaper=[[時事通信社]] |date=2014-7-3 |url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407/2014070300113 |accessdate=2014-7-19}}</ref>。[[ニュージーランド]]は、[[ジョン・キー]]首相が日本の安全保障法制見直しの取り組みを称賛した<ref>{{cite news |title=安倍首相、集団的自衛権の閣議決定を説明 NZ首相は称賛 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-7-7 |url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140707/plc14070710030001-n1.htm |accessdate=2014-8-3}}</ref>。[[カナダ]]は、ベアード外相が「安倍政権の方向性を支持する」と表明している<ref>{{cite news |title=菅長官、カナダ外相と会談…撃墜事故で連携確認 |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-7-28 |url=http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140728-OYT1T50085.html |accessdate=2014-8-3}}</ref>。
 
首相安倍晋三によれば「紛争中の外国から避難する邦人を乗せた米輸送艦を自衛隊が守れるようにする」というのが集団的自衛権の行使事例だという。また、[[内閣官房長官]][[菅義偉]]によれば、「新三要件を満たせば、中東ペルシャ湾のホルムズ海峡で機雷除去が可能だ」としており、「原油を輸送する重要な航路に機雷がまかれれば、国民生活にとって死活的な問題になる」としている<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG736T23G73UTFK018.html ホルムズ海峡で機雷除去「可能」 集団的自衛権で菅氏]</ref>。
一方、ロシア外務省の情報報道局長ルカシェビッチは安倍内閣が掲げる[[積極的平和主義]]の意味も含め、今後どのような安全保障政策をとるかを注意深く見守る考えを示している。その上で「第二次大戦の結果を全面的に認め、日本の軍国主義の犯罪を正当化するような試みを看過しないことを期待している」と指摘し、「周辺国が敏感に反応することを日本は自覚しなければならない」と述べている。<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG781PPWG78UHBI001.html ロシア外務省「安倍政権を注視」…集団的自衛権]</ref>。
 
しかしながら内閣官房の概要によれば、「石油なしで国民生活は成り立たないが、代替エネルギー利用を進め、外交や国際協調に全力を尽くしており、憲法上許されるのは、国民の命と平和な暮らしを守るための自衛措置のみであるから、石油のために集団的自衛権の行使を行う事はできない」としている。
また、国内において東京大学名誉教授の奥平康弘らが会見を開き、「戦後70年かけて築いてきた国の在り方と真逆の方向に進もうとしていて戦争ができる国になりかねず、見過ごすことはできない」、「その時々の政府が憲法解釈を変更できるという先例を残すことは立憲主義の根幹を破壊する」などと述べた。<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140704/k10015750021000.html 集団的自衛権 憲法学者らが反対の会見]</ref>
 
現実問題として、機雷除去については、集団的自衛権があるか否かに関わらず、停戦後であれば、「警察権の行使」として危険物を除去していると解釈することで行う事ができるとしている。しかしながら、戦時中の場合、「集団安全保障」措置に基づいていても、自衛隊は参加できないと解釈していたが、2014年6月20日に自民党は、攻撃を伴わない機雷掃海活動について、集団安全保障措置の下で武力行使を認めたいと主張した。<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140622/plc14062221350012-n2.htm シーレーン封鎖に危機感 集団安保で機雷掃海なぜ必要 ホルムズ海峡での活動想定]</ref>
集団的自衛権の行使事例として、安倍晋三首相は「紛争中の外国から避難する邦人を乗せた米輸送艦を自衛隊が守れるようにする」としている。他、[[内閣官房長官]][[菅義偉]]は「新三要件を満たせば、中東ペルシャ湾のホルムズ海峡で機雷除去が可能だ」としており、「原油を輸送する重要な航路に機雷がまかれれば、国民生活にとって死活的な問題になる」としている<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASG736T23G73UTFK018.html ホルムズ海峡で機雷除去「可能」 集団的自衛権で菅氏]</ref>。さらに2014年7月14日の国会答弁において、「世界的な石油の供給不足が生じて国民生活に死活的な影響が生じ、わが国の存立が脅かされる事態は生じ得る」と語っている<ref>[http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-228510-storytopic-3.html 首相、「中東での機雷掃海可能」 集団的自衛権で初論戦]</ref>。しかしながら内閣官房の概要によれば、「石油なしで国民生活は成り立たないが、代替エネルギー利用を進め、外交や国際協調に全力を尽くしており、憲法上許されるのは、国民の命と平和な暮らしを守るための自衛措置のみであるから、石油のために集団的自衛権の行使を行う事はできない」としている。{{要出典|date=2014年7月}}。現実問題として海上自衛隊は、機雷除去については、集団的自衛権があるか否かに関わらず、停戦後であれば、「警察権の行使」として危険物を除去していると解釈することで行う事ができるとしている{{要出典|date=2014年7月}}<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140622/plc14062221350012-n1.htm シーレーン封鎖に危機感 集団安保で機雷掃海なぜ必要 ホルムズ海峡での活動想定]</ref>。この機雷掃海活動について、集団的自衛権とは異なる集団安全保障に基づく戦闘行為への参加については否定した上で、集団安全保障下におけるシーレーン封鎖に危機における機雷掃海活動においては「限定的かつ受動的な武力の行使だ」とし、行いたい考えを示した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140622/plc14062221350012-n2.htm シーレーン封鎖に危機感 集団安保で機雷掃海なぜ必要 ホルムズ海峡での活動想定]</ref>。一方で、安倍内閣の防衛相[[小野寺五典]]は、2014年7月20日、NHKの番組内において、単なる経済的理由では機雷掃海はできないと話した<ref>[http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140720-00000531-san-pol 自衛隊の機雷掃海「限定的な場面だ」 小野寺防衛相]</ref>。
 
あくまで、これらは安倍内閣における憲法解釈であって、内閣によって異なる可能性は存在している。
自衛権発動の新3要件にある「他国に対する武力攻撃」について、武力攻撃事態法が定める「武力攻撃予測事態」も含むのかという質問に対して、安倍晋三首相は「まず武力攻撃がなければ駄目だ。予測事態は入らない」と述べ、実際の武力攻撃が発生しなければ集団的自衛権は行使できないとの認識を示した。<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014071500046&j4 安倍首相、防衛大綱見直し否定=集団的自衛権、参院でも審議]</ref>。
 
=== 従来の政府見解 ===
2014年末の[[日米ガイドライン|日米防衛協力の指針]]に間に合わせようとしている{{要出典|date=2014年7月}}。
集団的自衛権は、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する国際法上の権利」と定義している<ref name="内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書">[http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156119.htm 内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書]二の1及び4のアについて</ref>
国連憲章において、集団的自衛権が個別的自衛権と並んで、国家に固有の権利とされたことを踏まえ、[[サンフランシスコ平和条約]]や[[MSA協定]]につづいて、[[日米安全保障条約]]の前文においても、日本が「集団的自衛の固有の権利」を有することを確認する旨が明記された<ref name="第68回参議院内閣委員会11号21頁 ">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=24167&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=4&DOC_ID=4509&DPAGE=1&DTOTAL=7&DPOS=7&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=24217 第68回参議院内閣委員会11号21頁 外務省条約局長]水口宏三「集団的自衛権を放棄している、憲法に禁止している、そう解釈をおとりになってるわけでしょう。日本国憲法第9条は個別的自衛権を最小限度の形で武力を行使することは認めていると、ただし集団的自衛権の武力行使は認めていないという解釈をお餅になってるわけでしょう。じゃなぜ一体日米安全条約の前文で、わが国が集団的な自衛権を持ってるということを日米の合意、むしろ確認してるんですよ、何でこれでもって放棄してないんですか。政府委員高島益郎「これは国連憲章はもとより、日本の入っております諸条約――平和条約をはじめ日米安保条約、日ソ共同宣言、すべて主権国としての日本に個別的及び集団的自衛権があるということを書いてあります。これは先生のおっしゃるとおり、なるほど日本の憲法上の立場からしますると、理論的に自衛権を行使する方法は全くないわけでございまして、条約技術的に申しまして、日本については個別的自衛権だけしか持たないというふうなことを書くこともあるいは可能かと思いますが、これはしかし国際法上の一国家として、主権をみずから国際的に制限するというのは非常に問題があろうと思います。そういう立場から、平和条約及び国連憲章の規定のしかたに従ってすべてそういう方法で書いているわけでございます。」 </ref>。
 
==== 第9条と集団的自衛権 ====
集団的自衛権を行使するために必要な法案([[防衛省設置法]]・[[自衛隊法]]・[[武力攻撃事態法]]・[[国民保護法]]・[[周辺事態法]]・[[PKO協力法]]・[[海賊対処法]]・[[船舶検査活動法]]・[[米軍行動円滑化法]]・[[国家安全保障会議(NSC)創設関連法]])は、2015年1月召集の通常国会に提出されるものとみられる<ref>[http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407/2014070700327 2014年7月7日時事通信社「通常国会提出を示唆=集団的自衛権関連法案-菅官房長官」]</ref>。集団的自衛権を行使するために欠けている事項として、豊下楢彦・前関西学院大学教授は、「開戦規定」「[[交戦規定]]」「[[軍法会議]]」の3点を挙げている<ref>[http://diamond.jp/articles/-/55809 2014年7月9日ダイヤモンドオンライン「行使容認の閣議決定をどう見る 戦争の「備え」なき戦争へ――豊下楢彦・前関西学院大学教授に聞く 」]</ref>。
第9条の下では、自国が武力攻撃を受けていない状況下でわが国が同盟国等のために武力行使をすることは許されない、とする政府の憲法解釈は、集団的自衛権の定義について議論があった当時から変わっていない<ref name="第16回衆議院外務委員会9号20頁 外務省条約局長">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=4&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=1&DOC_ID=15277&DPAGE=1&DTOTAL=10&DPOS=10&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=11147 第16回衆議院外務委員会9号20頁 外務省条約局長]</ref><ref name="第19回衆議院外務委員会57号4頁 外務省条約局長">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=5&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=1&DOC_ID=16889&DPAGE=1&DTOTAL=1&DPOS=1&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=11945 第19回衆議院外務委員会57号4頁 外務省条約局長]</ref><ref name="第34回参議院予算委員会23号24頁">[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/034/0514/03403310514023a.html 第34回参議院予算委員会23号24頁 法制局長官]</ref><ref name="第34回参議院予算委員会23号24頁 法制局長官">[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/034/0514/03403310514023a.html]</ref><ref name="第34回参議院予算委員会21号27頁 内閣総理大臣">[http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156119.htm 第34回参議院予算委員会21号27頁 内閣総理大臣]</ref><ref name="第66回参議院決算委員会 提出資料">「憲法は、第9条において、同条にいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が……平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、また、第13条において「生命・自由及び幸福追求に対する国民の権利については、……国政の上で、最大の尊重を必要とする」旨を定めていることからも、わが国がみずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」第66回参議院決算委員会 提出資料</ref>。
==== 自衛権の必要最小限度の範囲と質的・量的概念====
政府は、昭和47年10月14日第66回参議院決算委員会政府提出資料において「(自衛の)措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」としていることを述べたことを踏まえて、これ以後、集団的自衛権の行使を違憲とする理由を端的に、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものであるから、とすることが多かった。<ref name="第66回参議院決算委員会 提出資料"></ref>{{Sfn|阪田雅裕|2013|pp=55-56}}
しかしながら、集団的自衛権を行使するに際してもその実力の行使が「必要最小限度」にとどまらなければならないとされていることもあって、これを「超える」という表現は、あたかも集団的自衛権の個別的自衛権との相違が、自衛力の増強の限界を論じるときと同様の、いわば量的なものにすぎないかのような誤解をもたらすことになった。その結果、集団的自衛権の行使が「必要最小限度の範囲内」にとどまるかどうかは、防衛費の対GDP比と同じように政治的な判断に委ねられるべきであるとか、必要最小限度の範囲内にとどまる集団的自衛権の行使があるのではないかといった趣旨の議論を招くことにもなった。なお平成16年1月26日衆議院予算委員会での秋山内閣法制局長官で述べるところは、わが国の自衛権の行使は、武力攻撃からわが国や国民を護るための措置であり、従ってわが国に対する武力攻撃の発生をその初動の要件とするのに対して、集団的自衛権は、わが国に対する武力攻撃が発生しておらず、国民や国の存立が直接危険にさらされていない状況下での武力行使である点において、個別的自衛権とは決定的にその性格を異にする<ref name="第180回衆議院本会議30号7頁 今津寛君">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=2&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=8804&DPAGE=1&DTOTAL=2&DPOS=2&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=21642 第180回衆議院本会議30号7頁 今津寛君]当然のことですが、我が国は主権国家として必要最小限度の自衛権を保持していることは、誰もが異論のないところです。今日、我が国が日米同盟を軸にして対応すべき脅威は多様化しており、例えば、近い将来、北朝鮮がアメリカ本土に達する長射程ミサイルを完成させ、また、我が国もICBMを迎撃できるミサイル防衛能力を整備したときに、我が国が当該ミサイルを迎撃することは、我が国の必要最小限度の自衛権と解すべきであります。憲法改正が最上の策であることは言うまでもありませんが、今、あるいは近い将来において、我々は、政治判断として、集団的自衛権の一部を必要最小限度と解すべき状況にあるのではないでしょうか。必要最小限度の質的、量的範囲は、情勢により変わるものです。そしてそれは、情勢に応じた政治判断のもとに行われるべきものです。政府の国家戦略会議のもとでのフロンティア分科会も、集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行の見直しを通じ、安保協力手段の拡充を図るべきだと記しています。我が国の憲法の前文にあるように、我らは国際社会において名誉ある地位を占めたいと思うと本当に決意するのであれば、今こそ、集団的自衛権の行使を認め、世界から尊敬される日本をともに目指そうではありませんか。</ref><ref name="第159回衆議院予算委員会2号5頁 安倍委員">http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=3&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=8385&DPAGE=5&DTOTAL=98&DPOS=98&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25000 第159回衆議院予算委員会2号5頁 内閣法制局長官]安倍委員「『わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである』、こういうふうにありますが、『範囲にとどまるべき』というのは、これは数量的な概念を示しているわけでありまして、絶対にだめだ、こう言っているわけではないわけであります。とすると、論理的には、この範囲の中に入る集団的自衛権の行使というものが考えられるかどうか。その点について、法制局にお伺いをしたいというふうに思います。」秋山政府特別補佐人「集団的自衛権と憲法第九条の問題でございますが、お尋ねにございましたように、我が国が主権国家である以上、国際法上は集団的自衛権を有していることは当然でございますが、国家が国際法上、ある権利を有しているとしましても、憲法その他の国内法によりその権利の行使を制限することはあり得ることでございまして、国際法上の義務を国内法において履行しない場合とは異なり、国際法と国内法との間の矛盾抵触の問題が生ずるわけではございませんで、法律論としては特段問題があることではございません。……憲法解釈において政府が示している、必要最小限度を超えるか超えないかというのは、いわば数量的な概念なので、それを超えるものであっても、我が国の防衛のために必要な場合にはそれを行使することというのも解釈の余地があり得るのではないかという御質問でございますが、憲法九条は、戦争、武力の行使などを放棄し、戦力の不保持及び交戦権の否認を定めていますが、政府は、同条は我が国が主権国として持つ自国防衛の権利までも否定する趣旨のものではなく、自衛のための必要最小限度の実力を保有し行使することは認めていると考えておるわけでございます。その上で、憲法九条のもとで許される自衛のための必要最小限度の実力の行使につきまして、いわゆる三要件を申しております。我が国に対する武力攻撃が発生したこと、この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと、それから、実力行使の程度が必要限度にとどまるべきことというふうに申し上げているわけでございます。お尋ねの集団的自衛権と申しますのは、先ほど述べましたように、我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず外国のために実力を行使するものでありまして、ただいま申し上げました自衛権行使の第一要件、すなわち、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないものでございます。したがいまして、従来、集団的自衛権について、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものという説明をしている局面がございますが、それはこの第一要件を満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねのような意味で、数量的な概念として申し上げているものではございません。」</ref><ref name="平成十五年七月八日提出質問第一一九号内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問主意書伊藤英成二・1・ア、イ、ウ">http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a156119.htm 平成十五年七月八日提出質問第一一九号内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問主意書伊藤英成二・1・ア、イ、ウ]</ref><ref name="内閣衆質一五六第一一九号 衆議院議員伊藤英成君提出内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書 対伊藤英成 二の1及び4のアにいて">http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156119.htm 内閣衆質一五六第一一九号 衆議院議員伊藤英成君提出内閣法制局の権限と自衛権についての解釈に関する質問に対する答弁書 対伊藤英成 二の1及び4のアについて]国際法上、一般に、「個別的自衛権」とは、自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利をいい、他方、「集団的自衛権」とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利をいうと解されている。このように、両者は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという点において、明確に区別されるものであると考えている。</ref>{{Sfn|阪田雅裕|2013|pp=56-58}}。
上のような混乱を避ける為に、近年は、集団的自衛権の行使を違憲とする理由について、わが国の武力行使が必要最小限度の範囲を超えるから、といった表現を避けて、わが国に対する武力攻撃が発生していないからと説明することが通例になっている<ref name="第156回衆議院予算委員会9号12頁 内閣法制局第一部長">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=4&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=7543&DPAGE=1&DTOTAL=51&DPOS=1&SORT_DIR=0&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=11290 第156回衆議院予算委員会9号12頁 内閣法制局第一部長]</ref>。
「わが国に対する武力攻撃の発生は、必ずしもわが国での被害の発生を意味するものではないが、武力攻撃のおそれや蓋然性では足りない。集団的自衛権であっても個別的自衛権の行使と同一視出来るようなものの行使は容認されるのではないか、とする質問に対して、政府は、設問の状況が「わが国に対する組織的・計画的な武力の行使」が認められるものであれば、個別的自衛権の発動によって対処が可能であり、それ以外の場合の実力の行使は、許されないとして、集団的自衛権の部分的な容認という考え方を否定している<ref name="平成十六年五月二十八日提出質問第一一四号政府の憲法解釈変更に関する質問主意書 提出者嶋聡">[http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a159114.htm 平成十六年五月二十八日提出質問第一一四号政府の憲法解釈変更に関する質問主意書 提出者嶋聡]</ref><ref name="内閣衆質一五九第一一四号衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書">[http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b159114.htm 内閣衆質一五九第一一四号衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書]</ref>。
 
 
 
==== 日米安全保障条約の審議 ====
集団的自衛権に関する本格的な議論が初めて国会に登場するのは、日米安全保障条約の審議の際である。しかし、当時は、集団的自衛権の概念自体が必ずしも一義的でなかった{{Sfn|阪田雅裕|2013|pp=49}}<ref name="第34回参議院予算委員会23号24頁">[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/034/0514/03403310514023a.html 第34回参議院予算委員会23号24頁 法制局長官]集団的自衛権という言葉についても、いろいろ内容について、これを含む範囲においてなお必ずしも説が一致しておらないように思います。御承知の通りに、国連憲章では、集団的自衛権を固有の権利として各独立国に認めておるわけです。あるいは平和条約におきましても、日ソ共同宣言におきましても、あるいは今度の安保条約におきましても、日本がいわゆる集団的自衛権を持つことをはっきり書いてあるわけです。そういう意味において国際法上にわが国が集団的、個別的の自衛権を持つことは明らかだと思います。ただ、日本憲法に照らしてみました場合に、いわゆる集団的自衛権という名のもとに理解されることはいろいろあるわけでございますが、その中で一番問題になりますのは、つまり他の外国、自分の国と歴史的あるいは民族的あるいは地理的に密接な関係のある他の外国が武力攻撃を受けた場合に、それを守るために、たとえば外国へまで行ってそれを防衛する、こういうことがいわゆる集団的自衛権の内容として特に強く理解されておる。この点は日本の憲法では、そういうふうに外国まで出て行って外国を守るということは、日本の憲法ではやはり認められていないのじゃないか、かように考えるわけでございます。そういう意味の集団的自衛権、これは日本の憲法上はないのではないか、さように考えるわけでございます。</ref><ref name="第34回参議院予算委員会23号24頁 法制局長官">[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/034/0514/03403310514023a.html 第34回参議院予算委員会23号24頁 法制局長官]これはいろいろの内容として考えられるわけでございますが、たとえば現在の安保条約におきまして、米国に対して施設区域を提供いたしております。あるいは米国と他の国、米国が他の国の侵略を受けた場合に、これに対してあるいは経済的な援助を与えるというようなこと、こういうことを集団的自衛権というような言葉で理解すれば、こういうものを私は日本の憲法は否定しておるものとは考えません。</ref><ref name="第34回参議院予算委員会21号27頁 内閣総理大臣">[http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b156119.htm 第34回参議院予算委員会21号27頁 内閣総理大臣]「いわゆる集団的自衛権という観念につきましては、いろいろの見解があるようであります。しかし一番典型的なものは、そこにいっておるように、自分の締約国であるとか友好国であるという国が侵害された場合に、そこに出かけっていって、そこを防衛するという場合でありますけれども、そういうことは、われわれの憲法のもとにおいては、認められておらないという解釈を私は持っております。ただ、集団的自衛権というようなことが、そういうことだけに限るのか、あるいは今言っておるように、基地を貸すとか、あるいは経済的の援助をするとかいうことを、やはり内容とするような議論もございますので、そういう意味からいえば、そういうことはもちろん日本の憲法の上からいってできることである。それを集団的自衛権という言葉で説明するならば説明してもよろしい、こういう意味でございます。」</ref>。集団的自衛権は、新しい概念であったことから、これを行使する国の権利・利益に対する危険の存在を要件とするか、その発動に特別の条約関係を必要とするか等々学会でも様々な議論があり、日米安全保障条約の改定をめぐる国会論戦が繰り広げられた昭和30年代半ばの時点では、基地提供など、武力行使以外の交戦当事国への便宜提供や経済的援助をも含む概念かどうか、いわばその外延に関しても必ずしも定説が得られない状況であった<ref name="第156回参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会9号13頁 外務省条約局長">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=7543&DPAGE=2&DTOTAL=40&DPOS=40&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=27357 第156回参議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会9号13頁 外務省条約局長]サンフランシスコ平和条約と同時に締結された旧日米安全保障条約前文第4項は、「国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を承認している。」とした上で、「これらの権利の行使として、日本国は、日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。」としていた。</ref><ref name="第159回衆議院予算委員会2号6頁 内閣法制局長官">[http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=27280&SAVED_RID=3&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=8&DOC_ID=8385&DPAGE=1&DTOTAL=1&DPOS=1&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=392 第159回衆議院予算委員会2号6頁 内閣法制局長官]</ref>。
 
=== 従来の政府見解 ===
日本政府は従来より必要最小限度の範囲の自衛権の措置は認めていたが、1981年の閣議決定において、集団的自衛権の行使は認められないとしており、2014年7月7日15時まで防衛省のホームページ上には、集団的自衛権は認められないと掲載されていた<ref>[http://megalodon.jp/2014-0707-1425-53/www.mod.go.jp/j/approach/agenda/seisaku/kihon02.html 防衛省・自衛隊:憲法と自衛権]</ref>。また、自衛権の行使についても、「わが国に対する急迫不正の侵害があること」という要件が表記されていた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140708/k10015819121000.html 集団的自衛権 防衛省がHPの記述修正へ]</ref>。
 
日本政府は昭和40年代の後半以降は、明確に、集団的自衛権を、もっぱら実力の行使に係る概念であり、基地提供のような便益の供与まで含むものでないことや自国の安全に対する脅威をその発動要件としないことと定義している{{Sfn|阪田雅裕|2013|pp=51}}。従来より必要最小限度の範囲の自衛権の措置は認めていたが、1981年の閣議決定において、集団的自衛権の行使は認められないとしており、2014年7月7日15時まで防衛省のホームページ上には、集団的自衛権は認められないと掲載されていた<ref>[http://megalodon.jp/2014-0707-1425-53/www.mod.go.jp/j/approach/agenda/seisaku/kihon02.html 防衛省・自衛隊:憲法と自衛権]</ref>。また、自衛権の行使についても、「わが国に対する急迫不正の侵害があること」という要件が表記されていた<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140708/k10015819121000.html 集団的自衛権 防衛省がHPの記述修正へ]</ref>。
2014年7月19日に山口県下関市で開かれた長州「正論」懇話会の創設1周年記念講演会で安倍晋三首相は、現行憲法では他国軍のイージス艦を防衛できないとした上で、憲法解釈のほとんどは国会の総理大臣による答弁で行っているとし、憲法改正なしでも集団的自衛権は行使可能で、「憲法の基本的な考え方は、なんら変わっていない」と話した<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140721/plc14072116240009-n4.htm 「国民の命と平和な暮らし 断固守り抜く」 安倍首相、長州「正論」懇話会創設1周年記念講演詳報]</ref>。
 
== 出典 ==
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* {{Cite book|和書|author=[[杉原高嶺]]、[[水上千之]]、[[臼杵知史]]、[[吉井淳]]、[[加藤信行]]、[[高田映]]|title=現代国際法講義|year=2008|publisher=[[有斐閣]]|isbn=978-4-641-04640-5|ref=杉原}}
* {{Cite book|和書|author=[[筒井若水]]|year=2002|title=国際法辞典|publisher=[[有斐閣]]|isbn=4-641-00012-3|ref=筒井}}
* {{Cite journal|和書|author=森田桂子|title=武力紛争の第三国に対する武力行使の正当性|journal=防衛研究所紀要|publisher=防衛庁防衛研究所|volume=7|issue=第1・2合併号|year=2005|pages=137-156|url=http://www.nids.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j7-2-3_7.pdf|oclc=458299582|ref=森田(2005)}}
* {{Cite book|和書|author=[[安田寛]]、[[宮沢浩一]]、[[大場昭]]、[[西岡朗]]、[[井田良]]、[[小林宏晨]]|year=1987|title=自衛権再考|publisher=[[知識社]]|isbn=978-4795293052|ref=安田}}
* {{Cite book|和書|author=[[山本草二]]|title=国際法 【新版】|year=2003|publisher=[[有斐閣]]|isbn=4-641-04593-3|ref=山本}}
* {{Cite |和書|author=[[国際法学会]] |title=国際関係法辞典 第2版 |year=2005|publisher=[[三省堂]]|isbn=4385157510|ref=harv}}
* {{Cite |和書|author=[[阪田雅裕]] |title=政府の憲法解釈 |year=2013|publisher=[[有斐閣]]|isbn=9784641131484|ref=harv|at=第Ⅰ章 4 集団的自衛権}}
 
== 関連項目 ==
* [[個別的自衛権]] = 1945年までの「[[自衛権]]」
* [[先制的自衛権]]
* [[専守防衛]]
* [[シーレーン]]
 
== 外部リンク ==
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{{DEFAULTSORT:しゆうたんてきしえいけん}}
 
[[:Category:平和]]
[[:Category:安全保障]]
[[:Category:自衛権]]