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'''粒子状物質'''(りゅうしじょうぶっしつ、{{lang-en-short|particulate matter}}、{{lang|en|particulates}})とは、[[マイクロメートル]] (μm) の大きさの[[固体]]や[[液体]]の微粒子のことをいう。主に、[[燃焼]]で生じた[[煤]]、風で舞い上がった[[土壌]]粒子([[黄砂]]など)、[[工場]]や[[建設]]現場で生じる[[粉塵]]のほか、燃焼による[[排出ガス]]や[[石油]]からの[[揮発]]成分が[[空気|大気]]中で変質してできる粒子などからなる。粒子状物質という呼び方は、これらを[[大気汚染]]物質として扱うときに用いる。
 
粒子状物質は主に人の[[呼吸器]]系に沈着して健康に影響を及ぼす。粒子の大きさにより体内での挙動や健康影響は異なる。その影響度を推し量る測定基準として、大きさにより分類した'''PM10'''や'''PM2.5'''(日本では'''微小粒子状物質'''とも言う)、日本では'''浮遊粒子状物質'''などの指標が考案された。[[疫学]]的には、粒子状物質の濃度が高いほど[[呼吸器疾患]]や[[心疾患]]による[[死亡率]]が高くなるという有力な報告があるが、事実上詳しい事は、わかっていない。<ref name="nitta09"/><ref name="kishimoto03"/><ref name="aqg05-275"/>。また、PM10や浮遊粒子状物質よりもPM2.5のほうが健康影響との相関性が高い<ref name="envrep08-3-83"/>。これらに基づき[[アメリカ合衆国|アメリカ]]や[[欧州連合]] (EU)、次いで[[世界保健機関]] (WHO)、これに続けて世界各国が、PM10やPM2.5濃度の基準値を定めている<ref name="aqg05-275">“[[#aqg05|Air quality guidelines]]” 2005年、275-280頁</ref><ref name="env2"/>。
 
先進国の一部地域ではWHO指針値に近いレベルまで削減させる事に成功している一方、途上国では家庭での[[薪]]の使用に加えて都市部で[[自動車]]の使用が増大して汚染が深刻化する傾向にあり、1990-1995年の時点で途上国の年平均濃度は先進国の3.5倍である<ref name="aqg05-34">“[[#aqg05|Air quality guidelines]]” 2005年、34-37頁、54頁</ref>。WHOは、PM10の濃度を70μg/m³から30μg/m³に減らすことができれば、世界の大気汚染に関連する死亡者年間330万人を15%減らせるだろうとしている<ref name="whofs313">“[http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs313/en/index.html Air quality and health]” World Health Organization(世界保健機関)、2011年9月、2013年2月3日閲覧</ref>。