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===『慈しみの女神たち』===
[[デルポイ]]の神殿の巫女がその神殿前で復讐女神(エリーニュース)に付きまとわれるオレステースが放浪の末に[[アポローン]]にすがってここに来たと独白するところから話が始まる。巫女の独白が終わると、神殿の扉が開き、オレステース復讐の女神たちに囲まれて眠っていた。[[アテーナイ]](アテネ)に行って女神[[アテーナー]]の裁判を受けよというアポロンの指示により、[[ヘルメース]]がオレステースをその場から連れ出すが、オレステースがいなくなると、クリュタイムネーストラーの霊が現れ、復讐の女神たちを起こしてオレステースを追わせようとする。アポローンは復讐の女神たちをなだめるが彼女たちはまったく聞き入れずオレステースを再度追いかけ出す。復讐の女神たちは[[アテーナイ]]の[[アテナイのアクロポリス|アクロポリス]]にある女神アテーナーの神殿でオレステースを捕まえてとり囲むと、復讐の歌を歌いながら踊り狂う。が、やがてアテーナーが現れ、オレステースを弁護するアポローンと、オレステースを母親殺しとして告発する復讐女神(エリーニュース)の間で裁判が始まる。当時のアテーネーでは直接民主制が行われており、アテーナイ市民12名が[[陪審員]]として判決を左右した。
 
陪審員の判決は、有罪・無罪が半々にわかれるが、裁判長のアテーナーがオレステースを支持したため、オレステースは無罪放免とされる。判決を不服とする復讐女神(エリーニュース)は激高するが、なだめられてアテーナイの慈しみの女神([[エリーニュース|エウメニデス]])となるよう説得されると、この申し出を受け入れる。こうして、憎しみの連鎖はついに断ち切られ、ギリシア世界に調和と安定がもたらされ終幕する。