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===『供養する女たち』===
アガメムノーンの墓前に、アガメムノーンの息子オレステースが、親友で従兄弟のピュラデスを伴い、成人した証に切った髪の房を捧げるところから始まる。そこにオレステースの姉[[エーレクトラー]](イーピゲネイアの妹)が合唱コーラス隊を伴って登場。オレステースたちが隠れているあいだに、合唱コーラス隊がアガメムノーンの悲劇を嘆く歌を歌ったあと、エーレクトラーが母に使用人同様に冷遇されていること、母への復讐、そして弟のオレステースの帰国を願っていることを語る。エーレクトラーが墓前に捧げられている髪の房に気づくと、オレステースが姿を現し、素性を明かす。オレステースは10年前の幼少時、父が殺害されたあとミュケーナイから追い出されていたので、エーレクトラーはすぐに信じないが、やがて髪の質と服とで弟であることを確信する<ref>この部分はのちエウリピデースが説得力に欠けると批判している。</ref>。オレステースは[[アポローン]]神に導かれ父の仇をとるために帰って来たと告げ、姉弟は、父の墓前で、母クリュタイムネーストラーと情夫のアイギストスの殺害を誓う。
 
旅人に扮したオレステースは母の館に向かい、オレステースは既に死んだこと、オレステースの[[骨壺]]を持ってきたことを伝える<ref>この役割はピュラデスという説もある。</ref>。母クリュタイムネーストラーは嘆き悲しみ(これが演技か本心かは観客の判断にゆだねられる)、オレステースを館に招き入れる。オレステースはまずアイギストスを殺害し、ついに母クリュタイムネーストラーを殺そうと近づく。旅人の正体がオレステースと知ったクリュタイムネーストラーは、息子に向かって必死の命乞いを行う。クリュタイムネーストラーは、かつて息子に対して注いだ愛を訴える。しかし、オレステースは、情夫に愛を注ぎ夫を殺害した母クリュタイムネーストラーを責める。それも運命であったと弁明する母に対し、それならここで殺されるのも運命として、オレステースはついに母を殺害する。