「長期増強」の版間の差分

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[[Image:LTP_exemplar.jpg|thumb|300px|長期増強 (LTP) とは、化学[[シナプス]]の高頻度刺激の後に起きるシナプス結合強度の持続的増加のことである。長期増強の研究はよく、学習と記憶に重要な器官である[[海馬|海馬 (脳)]]のスライス切片を用いて行われる。このような研究では、細胞から電気生理学的記録が行われ、結果は上のようなグラフにプロットされる。このグラフでは、長期増強が起きたシナプスと起きる前のシナプスにおける刺激に対する応答が比較されている。長期増強が起きたシナプスでは、そうでないシナプスに比べて刺激に対する電気的応答が強くなっている。''長期増強''という用語は[[シナプス]]強度の増加(増強)が、他のシナプス強度への影響に比べて長期間持続するためにつけられた<Ref>
 
{{cite book
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</ref>。]]
 
[[神経科学]]の分野において、'''長期増強'''(ちょうきぞうきょう、[[英語|英]]: '''LTP''' : '''Long-term potentiation''')とは、[[神経細胞]]を同時刺激することにより 2 つの神経細胞間の信号伝達が持続的に向上する現象のことである<ref name="cooke">{{cite journal |author=Cooke SF, Bliss TV |title=Plasticity in the human central nervous system |journal=Brain |volume=129 |issue=Pt 7 |pages=1659-73 |year=2006 |pmid=16672292 |doi=10.1093/brain/awl082}}</ref>。神経細胞は[[シナプス]]結合を介して信号伝達しており、記憶はこのシナプスに貯えられていると信じられているので<ref>{{cite book |author=Boron, Walter F. |title=Medical Physiology: A Cellular And Molecular Approaoch |publisher=Elsevier/Saunders |location= |year= |pages= |isbn=1-4160-2328-3 |oclc= |doi=}}</ref>、長期増強は[[学習]]と[[記憶]]の根底にある主要な細胞学的メカニズムの 1 つであると広く考えられている<ref name="cooke"/>。
 
長期増強と[[長期記憶]]には多くの共通点が存在するため、長期増強は学習の細胞学的メカニズムの有力な候補となっている。例えば、長期増強と長期記憶はともに、急速に開始され、[[タンパク質生合成|新しいタンパク質の生合成]]に依存していて、連合性をもち、何か月もの持続が可能である<ref name="cooke"/>。長期増強は、すべての動物に見られる比較的単純な[[古典的条件づけ]]から、ヒトに見られるより複雑な高次の[[認知]]までの、様々な種類の学習を説明する現象である可能性がある<ref name="cooke"/>。