「トマス・ホッブズ」の版間の差分
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== 人工的な国家理論 ==
『[[リヴァイアサン (ホッブズ)|リヴァイアサン]]』は、
=== 概要 ===
この著作において、ホッブズは人間の[[自然状態]]を闘争状態にあると規定する。
ホッブズにおいて自己保存のために暴力を用いるなど積極的手段に出ることは、'''自然権'''として善悪以前に肯定される。ところで自己保存の本能が忌避するのは死、とりわけ'''他人の暴力による死'''である。この他人の暴力は、他人の自然権に由来するものであるから、ここに自然権の矛盾があきらかになる。そのため理性の予見は、各自の自然権を制限せよという'''自然法'''を導く。自然法に従って人びとは、各自の自然権をただ一人の主権者に委ねることを'''契約'''する。だが、この契約は、自己保存の放棄でもその手段としての暴力の放棄でもない。自然権を委ねるとは、自然権の判断すなわち理性を委ねることである。ホッブズにおいて主権は、第一義的に'''国家理性'''なのである。また以上のことからあきらかなように、'''自然状態では自然法は貫徹されていない'''と考えられている。
=== その影響と解釈 ===
ホッブズが展開した
このホッブズの政治理論の性格および歴史的意義については、現在、4つの主要な解釈がある。
#[[絶対王政|絶対主義]]の政治理論説 - 以下の
#*ホッブズが社会契約を服従とみなしていること。 #*[[主権]]者が一者であり、主権が国家理性であること。 #*主権者が国内の宗教を含めてあらゆる国内的、国際的政策を統制できるとしていること。 #近代的政治理論説 - 以下の
#*[[無神論]]的、[[唯物論]]的[[世界観]]、また #*分析的に導き出したアトム的人間から構成的に人工の国家を導き出すという科学的手法をとっていること。 #伝統的政治理論説 - 以下の
#*ホッブズの自然法思想が[[ルネ・デカルト|デカルト]]思想に影響される前からすでに形成されていたこと。 #*宗教に対する言及が、無神論的立場ではなく信仰によっていると考えられること。 #自然状態的政治理論説 - 以下の
#*自然法が個人規模での闘争を止揚して国家規模の闘争を導いているにすぎず、本質的に闘争状態であることが変わっていないこと。 #*国家状態が自然法に基づくとされていること。 この
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*(選集)『世界の名著28 ホッブズ』、永井道雄編、中公バックス、1979年。
*(選集)『世界の大思想13
*『リヴァイアサン』全4巻、水田洋訳、岩波文庫、1992年。
*『人間論』、『市民論』、本田裕志訳、[[京都大学学術出版会]]、2012年、2008年。
**『哲学原本<ref>「訳者あとがき」における本田裕志氏の訳。</ref>』(Elementa Philosophiae)の第二部及び第三部。それぞれ個別の単行本としての訳出。双方とも[[ラテン語]]原文に基づく翻訳。同訳者は同出版会同シリーズから第一部『物体論』の翻訳についても出版する予定で訳出作業を行っている<ref>『人間論』、本田裕志訳、京都大学学術出版会、2012年、「訳者あとがき」。</ref>。
*『哲学原論/自然法および国家法の原理』、伊藤宏之、渡部秀和訳、柏書房、2012年。
**『哲学原論』(ラテン語:Elementa Philosophiae、英語:Elements of Philosophy)の完訳。ただし、原文はラテン語であるが、こちらの用語表現は
*『ホッブズの弁明/異端』、水田洋訳、未来社、2011年。
*『哲学者と法学徒との対話』、田中浩、新井明、重森臣広訳、岩波文庫、2002年。
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*[[福田歓一]]
*[[長尾龍一]]
*[[オックスフォード大学の人物一覧]]▼
== 脚注 ==
123 ⟶ 131行目:
[[Category:政治思想家]]
[[Category:自然法論者]]
[[Category:イングランド史の人物]]
[[Category:ウィルトシャー出身の人物]]
[[Category:1588年生]]
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