「当世書生気質」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目:
{{Portal|文学}}
『'''当世書生気質'''』(とうせいしょせいかたぎ)は、[[坪内逍遥]](春の屋おぼろ)の小説。1885年6月、第1号から1886年1月、第17号まで、半紙和綴17分冊で刊行され(晩青堂)、1886年4月、合本して半紙和装2冊本として刊行され(晩青堂)、1886年8月、洋装1冊として刊行された(晩青堂)。角書(つのがき)は「一読三歎」とある。
 
4 ⟶ 5行目:
逍遥はかねて『遊学八少年』という戯作の構想を抱いていた。勧善懲悪を否定し、写実主義を主張した文学論『[[小説神髄]]』の執筆に続いて、明治18年4月に書き始め、6月に『一読三歎 当世書生気質』第1巻を刊行。好評のため翌年1月までに第17巻を刊行した。明治初年の[[書生]]社会の風俗と気質をうつすことを主眼として、[[下宿]]生活、牛肉屋、楊弓店などで書生らが遊ぶ様子も描く。日本近代写実小説の第一として、『[[小説神髄]]』に展開された理論の具体化であるとされる。
 
ただし、文体は戯作の影響が強く、芸妓が筋の中心には[[上野戦争]]([[彰義隊]]のたたかい)で生き別れになった兄妹の再会など、通俗的な側面もあったので、作者は晩年『逍遙選集』を編集したときに、この作品などの小説類をすべて〈別冊〉にくくりこんだ。
 
この小説は当時から世評がたかく、長く読み継がれたため、作中の〈野々口精作〉なる人物のモデルと誤解されるのを苦にした[[野口英世]]が清作という本名を英世に変えたという、思わぬエピソードも生んだ。
 
== 内容 ==
* 第1回 鉄石の勉強心も変るならひの飛鳥山に 物いふ花を見る書生の運動会
* 第2回 謹慎の気の張弓も弛む 不図(とん)だ目に淡路町の矢場あそび
 
* 第3回 真心もあつき朋友(ともだち)の粋(すゐ)な意見に 額の汗を拭あへぬ夏の日の下宿住居
第2回 謹慎の気の張弓も弛む 不図(とん)だ目に淡路町の矢場あそび
* 第4回 収穫(とりいれ)も絶えて涙の雨の降つゞく 小町田の豊作(でき)不作(ふでき)
 
* 第5回 心の猿の悪戯(いたづら)にて 縺初し恋の緒(いとぐち)のむかしがたり
第3回 真心もあつき朋友(ともだち)の粋(すゐ)な意見に 額の汗を拭あへぬ夏の日の下宿住居
* 第6回 詐りは以て非を飾るに足る 善悪の差別(けぢめ)もわかうどの悪所通ひ
 
* 第7回 賢と不肖とを問はず老と少とを論ぜず たぶらかしざしきの客物語
第4回 収穫(とりいれ)も絶えて涙の雨の降つゞく 小町田の豊作(でき)不作(ふでき)
* 第8回 雨を凌ぐ人力車はめぐり〱て 小町田が田の次に逢ふ再度の緒(いとぐち)
 
* 第9回 一得あれば一失あり 一我意あれば一理もある書生の演説
第5回 心の猿の悪戯(いたづら)にて 縺初し恋の緒(いとぐち)のむかしがたり
* 第10回 生兵法大きな間違をしでかして 身方をぶちのめす書生の腕立(うでだて)
 
* 第11回 つきせぬ縁日のそゞろあるきに 小町田はからずも旧知己(むかしなじみ)にあふ
第6回 詐りは以て非を飾るに足る 善悪の差別(けぢめ)もわかうどの悪所通ひ
* 第12回 学校から追出される親父の資送(しおくり)は絶える どこでたつ岡町に懶惰生(なまけもの)の翻訳三昧
 
* 第13回 心の宵闇に 有漏路(うろぢ)無漏路(むろぢ)を踏迷ふ男女の密談
第7回 賢と不肖とを問はず老と少とを論ぜず たぶらかしざしきの客物語
* 第14回 近眼遠からず 駒込の温泉に再度の間違
 
* 第15回 旧人(ふるき)を尋ぬる新聞紙の広告に 顔鳥ゆくりなく由縁の人を知る
第8回 雨を凌ぐ人力車はめぐり〱て 小町田が田の次に逢ふ再度の緒(いとぐち)
* 第16回 黒絽の薄羽織を媒介にて 薄からぬ縁因(えにし)を知る守山と倉瀬の面談
 
* 第17回 文意を文字通りにみや賀の兄弟 そゞろにコレラ病の報知におどろく
第9回 一得あれば一失あり 一我意あれば一理もある書生の演説
* 第18回 春ならねども梅園町に心の花の開けそむる 親と女との不思議の再会
 
* 第19回 全篇総て二十回脚色(しくみ)もやう〱に 塾部屋へ倉瀬の急報
第10回 生兵法大きな間違をしでかして 身方をぶちのめす書生の腕立(うでだて)
* 第20回 大団円
 
第11回 つきせぬ縁日のそゞろあるきに 小町田はからずも旧知己(むかしなじみ)にあふ
 
第12回 学校から追出される親父の資送(しおくり)は絶える どこでたつ岡町に懶惰生(なまけもの)の翻訳三昧
 
第13回 心の宵闇に 有漏路(うろぢ)無漏路(むろぢ)を踏迷ふ男女の密談
 
第14回 近眼遠からず 駒込の温泉に再度の間違
 
第15回 旧人(ふるき)を尋ぬる新聞紙の広告に 顔鳥ゆくりなく由縁の人を知る
 
第16回 黒絽の薄羽織を媒介にて 薄からぬ縁因(えにし)を知る守山と倉瀬の面談
 
第17回 文意を文字通りにみや賀の兄弟 そゞろにコレラ病の報知におどろく
 
第18回 春ならねども梅園町に心の花の開けそむる 親と女との不思議の再会
 
第19回 全篇総て二十回脚色(しくみ)もやう〱に 塾部屋へ倉瀬の急報
 
第20回 大団円
 
== 関連項目 ==
*[[坪内逍遥]]
 
{{DEFAULTSORT:とうせいしよせいかたき}}
*[[Category:坪内逍遥]]
[[Category:日本の小説]]
[[Category:1880年代の小説]]