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{{otheruseslist|洋菓子|漫画家|ミルフィーユ (漫画家)|[[ギャラクシーエンジェル]]の登場人物、ミルフィーユ・桜葉|ギャラクシーエンジェルの登場人物#ミルフィーユ・桜葉}}
[[ファイル:Mille-feuille 01.jpg|thumb|ミルフィーユ]]
'''ミルフィーユ'''({{lang-fr-short|}}{{lang-en-short|mille-feuille}}<ref group="†">{{IPA-fr|milfœjmilfɶj}}  ミルフーイュ</ref><ref>アポロ仏和辞典([[角川書店]] ISBN 4-04-012700-5)による発音のカタカナ表記より</ref><ref group="†">{{IPA-en|ˈmiːlˌfəːimiːlˈfəːi}} ミール'''フ(ァ)'''ーイ、{{IPA-en|milˈfœ yə|}} ミ''''''イ。ヤ、{{langIPA-de-shorten|milˈfœiː|Kremschnitte}} ミルフ'''ウィ'''ー</ref>)は、[[フランス]]発祥の[[菓子]]の一種。
 
歴史のある菓子であり、形状や製法も様々なものがあるが、現代では3枚のフユタージュ({{lang-fr-short|feuilletage}}<ref group="†">{{IPA-fr|fœjtaʒ}} フ(ー)イュタージュ、フイタージュ</ref>)またはパート・フユテとも言う({{lang-fr-short|pâte feuilletée}}<ref group="†">{{IPA-fr|pat fɶjte}} パートフ(ー)イュテ日本では通称パートフイテ</ref>)と呼ばれる[[パイ]]生地にクリームをはさみ、表面に[[粉糖]]がまぶされたもの、あるいは[[フォンダン]]がけされているものが基本とされている。
 
== 一般的な種類 ==
[[ファイル:Slide-mille-feuille.jpg|thumb|ミルフイユ・ロン]]
; ミルフィーユ・ロン (mille-feuille rond)
: 丸い形状のミルフィー側面にはカスタードクリームを塗り刻んだフユタージュをまぶし、上面に粉糖をまぶしたもの。
; ミルフィーユ・グラッセ (mille-feuille glacé)
: フォンダンがけにしたミルフィーチョコレートで矢羽模様などを描き飾りとしているもの。
; ミルフィーユ・ブラン (mille-feuille blanc)
: 3枚のフユタージュ生地を用いる代わりに、中央の1枚をスポンジケーキ(ビスキュイあるいはジュノワーズ)に置き換えたもの。
; ミルフィーユ・オ・フレーズ (mille-feuille aux fraises)
: 苺のミルフィーナポレオン・パイとも言われる。クリームだけでなく苺もはさみこんだもので、冷やして供される。
 
ミルフィーユに用いられるクリームとしては[[カスタードクリーム]]がよく知られているが、生クリームやバタークリームなども広く用いられている。またクリーム以外にも、アプリコットジャムやリンゴのコンポートなどが使われる場合もある。
 
=== パイ菓子以外のミルフィーユ ===
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== 由来と歴史 ==
フランス語で mille」(ミル) は「千」、feuille」(フイユ) は「葉」を意味しており、一般的にmille-feuilleは「千枚の葉」という意味だと理解されている<ref group="†">[[日本語]]発音の「ミルフィーユ」は、フランス語では {{lang|fr|mille filles}}({{IPA-fr|mil fij}} ミルフィーュ)と聞こえてしまい、「千人の娘」という意味になってしまうので注意が必要。</ref>
 
ミルフィーユに用いるフユタージュは、四角く広げた小麦粉生地に平らにしたバターを乗せ、何回も折りたたんで作るもので、折りたたむ工程を重ねるほど層が増し、パリパリとした食感になっていく。工程を5回繰り返し729層となったものや、6回繰り返し2187層になったものが主に用いられており、その層になった生地を何枚か重ね合わせて、さらに沢山の層をなしているという状態を「千」で表現し、また層になったフユタージュの落ち葉をイメージさせるような独特の焼き上りを「葉」として表現し、mille-feuilleという合成語として文学的に言い表したものが名前となったとも考えられている。
 
偉大なる古典と言われる菓子であり、[[1807年]]にはフランスの『食通年鑑』(''Almanach des Gourmands'')の食味鑑定委員会がミルフィーユを鑑定している。創造者は同時代の著名な菓子職人であり料理人であった[[アントナン・カレーム]](''Antonin Carême'')だとも言われており、フランスのルージェ(''Rouget'')が得意としていたとも伝えられている。
 
ただ、当時はジャムなどが主に用いられていたようで、カスタードクリームも現代のものとは異なる製法であったと考えられている。また、初期のミルフィーユは上面にするフユタージュ生地に卵を塗り、粉糖をふりかけオーブンで焼き、表面をカラメル化するといった仕上げ方だったとも言われている。現代の製法に見られるような、上面へのフォンダンがけは[[1822年]]頃になって用いられ始めたもので、今日に至るまで職人が様々に工夫を凝らし続けている菓子でもある。
 
=== ナポレオン ===
日本において苺のミルフィーユを指す「ナポレオン」ではあるが、「ナポレオン」を通常のミルフィーユの名称として使う国も多い。
:例:フランス(Napoleon)、ロシア(Наполеон)、オーストリア(napoleon slice)、ポーランド(napoleonka)、スウェーデン(Napoleonbakelse)、香港(拿破侖)、イラン(Nâpel'oni)等
 
こちらの語源は、元は[[イタリア]]の都市である[[ナポリ]]のフランス語形容詞変化[[ナポリタン]]としていたのが、
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== 日本での広まり ==
[[幕末]]から[[明治]]にかけて、フランス人のサミュエル・ペールが横浜で洋菓子店を営んでおり、ミルフィーユが日本に伝わったのはその当時ではないかと考えられている。[[1870年]]([[明治]]3年){{年代要検証|date=2010年11月|年号|1870}}、御所の饗宴用フランス菓子御用として出仕し、サミュエル・ペールの元で在官のままフランス菓子製造技術を学んだ村上光保が、[[1874年]]([[明治]]7年)にフランス菓子の製造と仕出しを行う村上開新堂を開業しており、同店では明治の後期にフランスの製法を研究し「ミルフェ」という商品名で販売も行っていた。
近年日本ではこの菓子の名称が「ミルフィーユ」として広まり定着している感もあるが、これはフランス語では「千人の娘」(mille filles)を意味する発音となる。「ミルフイユ」の方が本来の「千枚の葉」を意味する発音に近い。
 
[[幕末]]から[[明治]]にかけて、フランス人のサミュエル・ペールが横浜で洋菓子店を営んでおり、ミルフイユが日本に伝わったのはその当時ではないかと考えられている。[[1870年]]([[明治]]3年){{年代要検証|date=2010年11月|年号|1870}}、御所の饗宴用フランス菓子御用として出仕し、サミュエル・ペールの元で在官のままフランス菓子製造技術を学んだ村上光保が、[[1874年]]([[明治]]7年)にフランス菓子の製造と仕出しを行う村上開新堂を開業しており、同店では明治の後期にフランスの製法を研究し「ミルフェ」という商品名で販売も行っていた。
 
=== 千葉県とミルフィーユ ===
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== 脚注 ==
{{reflist脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="†"|}}
 
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
=== 参考文献 ===
* プロスペル・モンタニェ著『ラルース料理百科事典 4』三洋出版貿易
* W・J・ファンス編 辻静雄訳『現代洋菓子全書』三洋出版貿易