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[[ファイル:The viaduct La Polvorilla, Salta Argentina.jpg|thumb|280px|鋼橋。]]
'''鋼'''(はがね、こう、釼は異体体で釼とも書く。)とは[[鉄]]を主成分にする[[合金]]を指し、鉄の持つ性能([[強度]]、[[靭性]]、[[磁性]]、[[耐熱性]]、自己潤滑性など)を人工的に高めたものである。の代表的な不純物である[[炭素]]の含有率で見た場、[[軟鉄]]を指す。

一般に鋼[[鋳鉄]]は、0.3%~2%間の、[[炭素]]有が0.3%~2%のものんだ鉄合金の総称である。ただしが、0.3%以下の炭素量でも、[[ステンレス]]や[[耐熱鋼]]などは鋼として扱われる。軟鉄や鋳鉄とあわせて[[鉄鋼]](てっこう)あるいは鉄鋼材料とも呼ばれ、鋼でできた材料を鋼材(こうざい)、板状の[[鋼材]]ものを[[鋼板]](こうはん)と呼ぶ。日本語の「はがね」の由来は「刃金」である。20世紀後半には多くの新材料が発達したが、鋼は依然として産業上重要な位置を占めている。
 
== 定義 ==
=== 語源 ===
鋼(はがね)の語源は、[[刃物]]に用いる[[金属]]を意味する{{ルビ|刃金|はがね}}である。
鋼(はがね)の語源は、[[刃物]]に使用されるために作られた[[金属]]を意味する{{ルビ|刃金|はがね}}であり、それ以外も含めて鉄鋼材はすべて鍛えた鉄という意味で{{ルビ|[[鍛鉄]]|たんてつ}}と呼んだ。それは[[鉄器時代]]の大半が刃物・[[工具]]など、現在でいう[[特殊鋼]]用途に鉄鋼が使われ、構造部材へ鉄鋼が大々的に使われるのは[[産業革命]]以降であることと関係する。現在では、刃物専用以外の鋼材も含めて[[精錬]]技術によって造られた鉄鋼材全般を{{ルビ|鋼|はがね}}・{{ルビ|鋼鉄|こうてつ}}と呼ぶ。また、[[錬鉄]]・[[鋳鉄]]などを含めて鉄鋼あるいは鉄鋼材料と呼ぶ。一般に鋼とは、鉄に炭素が重量比で、0.3 - 2.0% 程度混ざった合金であり、[[鉄器時代]]にはそれを[[鍛造]]段階で軟鉄に接合して刃物が製作されていた。したがって鋼とは、一般に鉄とは異なり、硬い刃先を形成している物質を指していた。ここを原点にさまざまな鉄合金が発達し、そのつど鋼の定義は拡大解釈されて現在に至っている。鉄鋼はドイツ語の「{{lang|de|Eisen und Stahl}}」の訳が語源とされているが、日本で最初に「鉄鋼」という呼び名が使われたのは雲伯鉄鋼[[合資会社]](現・[[日立金属]]安来工場)の社名が原点とされている{{要出典|date=2009年4月}}。雲伯鉄鋼合資会社による鉄鋼製品の源流は「[[踏鞴製鉄|たたら製鉄]]」であるが、ここでいう「鉄鋼」とは[[特許|新案特許]]「製鋼法」([[明治]]39年([[1907年]])取得)からなる錬鉄をさす。その内容は、
 
#銑と市販[[鉄屑]](スクラップ)を混じ、火窪で[[溶融|融体]]とする
かつて鋼とは焼入れによって硬化する鉄合金をさし、[[鉄器時代]]以来、[[鍛造]]や[[鍛接]]によって刃物類が製作されてきた。
#[[石灰石]]で脱[[燐]]と左下(脱炭)を行う
ここを原点にさまざまな鉄合金が発達し、そのつど鋼の定義は拡大解釈されて現在に至っている。
#[[蒸気ハンマー|汽鎚]]鍛伸、包丁鉄とする
現在では刃物専用以外でも、[[精錬]]技術によって造られた鉄鋼材全般を{{ルビ|鋼|はがね}}・{{ルビ|鋼鉄|こうてつ}}と呼び、[[錬鉄]]・[[鋳鉄]]などを含めることがある。
といったものであった。すなわち、国内で言う鉄鋼製品とは雲伯鉄鋼合資会社からなる新[[特許法]]の錬鉄(伊部式包丁鉄と言う)が出発となる。
 
鉄鋼はドイツ語の「{{lang|de|Eisen und Stahl}}」の訳が語源とされているが、日本で最初に「鉄鋼」という呼び名が使われたのは雲伯鉄鋼[[合資会社]](現・[[日立金属]]安来工場)の社名が原点とされている{{要出典|date=2009年4月}}。雲伯鉄鋼合資会社による鉄鋼製品の源流は「[[踏鞴製鉄|たたら製鉄]]」であるが、ここでいう「鉄鋼」とは[[特許|新案特許]]「製鋼法」([[明治]]39年([[1907年]])取得)からなる錬鉄をさし、新[[特許法]]の錬鉄(伊部式包丁鉄と言う)が出発となる。
 
鋼は、錆びやすいという欠点はあるものの、炭素含有量や[[熱処理]]の仕方によって、材料強度や[[耐食性]]、耐熱性、[[磁性|磁気特性]]、[[熱膨張率]]などを変えることが可能である。鋼と呼ばれないものには、鋳鉄、錬鉄などがある。これは使い勝手から来る要求性能よりも作り勝手を重視しているからである。語感からいうと、[[熱処理]]などによって優れた強度・硬度をもつものを鋼と呼ぶように認識されがちなのは、その原義が日本語では刃物の金=[[刃金]]=鋼であり、漢字としても強く硬い(剛い)金=鋼という昔からの概念に、近代の合金という意味合いを重ね合わせたためである。この古い概念に相当する鋼は、金属組織学上[[マルテンサイト]]組織と呼ばれ、その状態はもっとも[[強靭]]な状態である。
 
===金属学からの定義===
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平炉は[[反射炉]]の一種で、シーメンス・マルタン法と呼ばれる。鉄鉱石と屑鉄([[スクラップ]])を混合し加熱して不純物を酸化・除去し適度の炭素を残す。加熱には電気アークが用いられる<ref name="osawa2-3.2" />。
 
このほかにスクラップを用いる[[電気炉]]生産方式(電気炉製鋼法)がある。[[日本]]での生産割合は、転炉製鋼法が約75%、電気炉製鋼法が約25%である。
日本古来の製鋼法を「たたら吹き」と呼び、日本刀の原料、玉鋼を極少量であるが非営利目的で製造している。
 
==鋼の種類==
鋼の特長は、まず鉄に軽微な合金化を行うことにより[[強靭]]な固体材料を生成できること、資源が豊富であり比較的酸素との親和性が低いため安価に精錬ができることにあり、別元素との固溶限が大きく合金化しやすいため多様な鋼種が開発されてきた。
鉄鋼材料はいろいろな名前で呼ばれている。また、分類法によって、同じ鉄鋼材料が別の名前で呼ばれることがある。
 
[[ケイ素]] (Si) を添加した電磁鋼、[[ニッケル]] (Ni) や[[マンガン]] (Mn) を添加した非磁性鋼、[[クロム]] (Cr) や[[ニッケル]] (Ni) を添加した[[ステンレス鋼]]など、さらに[[工具鋼]]、[[高速度鋼]]など、さまざまな用途に適した鋼種がある。
鋼は機械・金型・工具に長く使われた伝統があり、その用途ごとに、鋼種の改良が進んできたため、例えばJISの鋼種の分類も、[[銅]]などの合金が比較的成分の系列にしたがって系統的に命名されているのに比べて、用途別や、製法によるものや、強度区分を含むもの、成分の1つである炭素量を示すものなどがあって、解りにくいものになっている。強度の高い[[高張力鋼]]板(ハイテンHTSS)を加工する金型なども特殊鋼の一種である工具鋼という同一強化機構を用いているのは、鋼の幅広い強度調整力を示す好例である。
 
鉄鋼材料は各観点からいろいろな名前で呼ばれている。また、分類法によって同じ鉄鋼材料ものが別の名前で呼ばれることがある。
鋼は機械・金型・工具に長く使われた伝統があり、その用途ごとに鋼種の改良が進んできたため、例えばJISの鋼種の分類も、[[銅]]などの合金が比較的成分の系列にしたがって系統的に命名されているのに比べ、用途製法によるものや、強度区分を含むもの成分の1つである炭素量を示すものなどがあって、解りにくいものになっている。強度の高い[[高張力鋼]]板(ハイテンHTSS)を加工する金型なども特殊鋼の一種である工具鋼という同一強化機構を用いているのは、鋼の幅広い強度調整力を示す好例である。
 
例えばS45Cという鋼種は[[炭素]]量0.45%の鋼をいい、SUJ(軸受鋼)は、[[ボールベアリング]]の内外輪に使われる鋼種であるということを示す。
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*S45C ([[日本工業規格|JIS]])、1045、([[SAE]]/[[AISI]])、C45 ([[ドイツ工業規格|DIN]])
*SKH10 (JIS)、T15 (AISI/[[ASTM]])、S12-1-4-5 (DIN) である。
 
鋼の特長は、まず鉄に軽微な合金化を行うことにより最も[[強靭]]な固体材料を生成できることにある。次に資源が豊富であり比較的酸素との親和性が低いため安価に精錬ができてきたのが多用される重要な要素である。また、別元素との固溶限が大きく合金化しやすい側面もあるため多様な合金が開発されてきた。合金元素を添加することによって、[[ケイ素]] (Si) を添加した電磁鋼、[[ニッケル]] (Ni) や[[マンガン]] (Mn) を添加した非磁性鋼、[[クロム]] (Cr) や[[ニッケル]] (Ni) を添加した[[ステンレス鋼]]、最も原始的な炭素にさらに別合金元素を添加することにより、飛躍的性能を持つ[[工具鋼]]、[[高速度鋼]]などさまざまな用途に適した[[性能]]をあたえることができる。これら、工具鋼系などは全合金系のなかではもっとも複雑化、高度化した合金とも位置付けられる。
 
===成分からの分類===