「もやもや病」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし |
ChampagneFight (会話 | 投稿記録) 編集の要約なし |
||
40行目:
}}
[[画像:Circle of Willis ja.svg|250px|thumb|right|脳底の動脈の模式図]]
'''もやもや病'''(もやもやびょう、
== 定義(概念) ==
78行目:
== 合併症 ==
小児例では知能障害、成人例では脳出血
== 原因 ==
原因となる感受性[[遺伝子]]はRNF213遺伝子の多型p.R4810Kである(感受性[[遺伝子]]とは疾患への感受性を高める[[遺伝子]]をいい、[[遺伝子異常]]だけで起こる原因[[遺伝子]]とは区別される)<ref>[http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110721_1.htm もやもや病感受性遺伝子の特定とその機能についての発見]([[京都大学]] 2011年7月21日)</ref>。RNF213を[[クローニング]]した[[ゲノム]]は591-kDaの細胞質に存在するタンパクをコードしており、[[ゼブラフィッシュ]]によって発達期にこの[[遺伝子]]の発現を抑制すると、[[頭蓋]]内の[[眼動脈]]や[[脊椎動脈]]の分岐の異常が出ることから、[[血管]]形成に重要な新たな遺伝子であることも分かった。また、この遺伝子を持っている人が全て発症するわけでなく、環境要因の関与も疑われている。さらにp.R4810Kは推定1万5千年の[[中国]]、[[韓国]]、[[日本]]共通の祖先にまでにさかのぼることも分かり、[[東アジア]]の歴史の中で広がっていった遺伝子であることも分かった。
== 統計 ==
96 ⟶ 87行目:
== 疫学 ==
原因[[遺伝子]]のp.R4810kは、およそ1万5000年前の[[アジア]]大陸における祖先においてもやもや病感受性変異が起きたとされ、[[アジア]]、特に[[中国]]、[[韓国]]、[[日本]]人に多く確認されている疾患であり、中でも[[日本]]が最も患者数が多い。欧米・白人集団では原因となるp.R4810Kが確認されないことから発生頻度が極めて少ない。
=== 一次予防 ===
▲<br />[[遺伝子マーカー]]は現在解明されているものでR213遺伝子の[[多型]]であるc.14576G>Aがある。この[[多型]]を所持する場合のもやもや病発生リスクは通常の259倍である。さらにこの[[多型]]はもやもや病の発生時期も予測しうる[[遺伝子マーカー]]である。c.14576G>Aがホモ接合体の場合の予測発症時期は3歳前後、ヘテロ接合体の場合は7歳前後、そのどちらでもない野生型の場合は8歳前後となっている。([[ホモ接合型]]:父母由来のそれぞれの[[遺伝子座]]の両方に同じ変異がある状態。[[ヘテロ接合型]]:父母由来の[[遺伝子座]]のどちらか一方にのみ変異がある状態。[[野生型]]:正常な(本来の)機能を有するもの。詳しくは[[対立遺伝子]]の項目)
(出典:[[横浜市立大学]] 学術院医学群の松本教授ら研究グループが、重症型もやもや病の遺伝マーカーを発見![http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/120302_amedrc.html])▼
==== 二次予防 ====
[[頭痛#片頭痛|片頭痛]]や[[てんかん|癲癇]]として見逃されている例が多いため、繰り返す頭痛や痙攣発作がある場合はもやもや病を疑い、MRIやMRAと合わせてDNA型鑑定を受ける。
==== 三次予防 ====
激しい運動は[[脳虚血]]や[[脳出血]]を誘発する恐れがあるため、極力避けるようにする。
138 ⟶ 129行目:
日本で[[脳神経外科学]]が発達し始めた[[1950年代]]、[[血管造影]]において[[1953年]]([[昭和]]28年)に選択的血管造影法が創始された。同法は脳の血管造影にも導入され、未知の疾患が様々な[[日本語]]や[[英語]]の呼称、あるいは、日本の研究者の苗字をとった名称などでも報告された。
それら未知の疾患のうち、いくつもの名称で発表されていた当疾患は、[[1965年]]([[昭和]]40年)[[8月]]号の「脳と神経」の特集において1つの疾患として整理された<ref name=BN>[http://www003.upp.so-net.ne.jp/moyamoya/noutoshinnkei1965.htm 脳底部に異常血管網を示す疾患群をめぐって](大阪市立総合医療センター脳神経外科 小宮山雅樹『もやもや病に関する医療情報サイト』)</ref>。また、
側副路説に基いた名称には、工藤達之[[慶應義塾大学]]教授<ref group="†">[[1966年]](昭和41年)第25回日本脳神経外科学会会長。生年:[[1911年]]([[明治]]44年)、没年:[[1991年]]([[平成]]3年)。</ref><ref name="chairmen">{{PDFlink|[http://jns.umin.ac.jp/jns/pdf/chairman.pdf 日本脳神経外科学会 学術総会歴代会長ならびに開催地]}}(日本脳神経外科学会)</ref>が[[1967年]](昭和42年)に出版した本<ref>頭蓋内に異常血管網を示す疾患 - Willis動 脈輪閉塞症 -([[医学書院]])</ref>に記載した「'''ウィリス動脈輪閉塞症'''」や、鈴木二郎[[東北大学]]教授<ref group="†">[[1974年]](昭和49年)第33回日本脳神経外科学会会長。生年:[[1924年]]([[大正]]13年)、没年:[[1990年]](平成2年)。</ref><ref name="chairmen"/>が同年に命名した<ref>「少女救おう」レバノンから招き手術へ--仙台のNPOが募金活動 (毎日新聞 2005年6月24日)</ref>「'''もやもや病'''<ref>[http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=568758 Cerebrovascular "Moyamoya" Disease: Disease Showing Abnormal Net-Like Vessels in Base of Brain] (Jiro Suzuki, Akira Takaku; Arch Neurol. 1969; 20(3): 288-299.)</ref>」などがあったが、[[厚生省]](当時)はこの統一された疾患の標準病名として工藤の「ウィリス動脈輪閉塞症」を採用<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/91/8/91_8_2289/_article/references/-char/ja/ 1.ウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病)]([[J-STAGE]] [[日本内科学会]]雑誌 Vol. 91 (2002) No. 8 P 2289-2295)</ref>。[[1982年]](昭和57年)[[1月1日]]には特定疾患治療研究事業対象疾患に加えられた<ref>[http://www.nanbyou.or.jp/entry/513 特定疾患治療研究事業対象疾患一覧表(56疾患)](難病情報センター)</ref>。ところが、海外では鈴木の「もやもや病」の方が病名として広く受け入れられ、[[疾病及び関連保健問題の国際統計分類]]でも標準病名となってしまった。そのため、[[2001年]]([[平成]]13年)<ref group="†">この年、[[シンガーソングライター]]の[[徳永英明]]が当疾患に罹患したことが報じられた。</ref>になり、世界の趨勢に合わせて日本でも[[厚生労働省]]が「もやもや病」を標準病名にすることにした。[[2002年]](平成14年)[[6月1日]]より、特定疾患治療研究事業の対象疾患としての名称も「'''モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)'''」に変更した<ref>[http://www.tottori.med.or.jp/docs/siori/h14-no1.htm 平成14年度 社会保障部便り No.1]([[鳥取県医師会]] 2002年6月20日)</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/tamakodaira/jouhou/07toukei.files/23datatikicare.pdf Ⅲ 地域ケアシステムの充実]}}([[東京都]]福祉保健局)</ref><ref>[http://www.nanbyou.or.jp/entry/485 各疾患の解説 50音順索引 ア行](難病情報センター)</ref>。
なお、各国語での「もやもや病」にあたる病名は、[[日本語]]の[[ローマ字]]表記を用いた“moyamoya”と、[[病気]]を表す各国語により表現される。[[しゃぶしゃぶ]]と並び、日本語の[[擬態語]]が[[外国語]]に借用された数少ない例であるが、この“moyamoya”という[[綴り]]は、[[英語]]では「モィヤモィヤ」、[[フランス語]]では「モワイヤモワイヤ」、[[スペイン語]]では「モヤモヤ」「モジャモジャ」などと発音する綴り方であるため、正しく「もやもや」と発音していない外国人医師も見られる。
149 ⟶ 140行目:
*[[松本直通]]
*[[東保肇]]
== 出典 ==▼
[[京都大学]] もやもや病感受性遺伝子の特定とその機能についての発見(2011年7月21日)<br/>▼
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="†"|}}
▲=== 出典 ===
{{Reflist}}
=== 参考文献 ===
▲* [
▲
== 外部リンク ==
* [http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/115.htm 難病情報センター|モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)]
{{DEFAULTSORT:もやもやひよう}}
|