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{{Otheruses|児童期の子どもの発達|子ども全般の発達|子どもの発達}}
'''児童期'''とは[[小学校]]に通う年齢の[[子ども]]をさす。児童は6歳児から11歳児、数えで7歳から12歳の子どもである。文部科学省は学童という言葉を用いる
 
 小学校1-2年生は、椅子に45分間座って先生の話を聞くという学校の勉強スタイルになじむ時期である。文字や数字という記号の世界に入るが、算数セットなどの具体物を操作しなければ理解できない。教師は親でもあり先生でもあり生活の中心人物である。教師とは1対1の関係が中心となり、自分の意見を聞いてほしく、クラス全体への関心は薄い。まだ、おもらしをする場合があるのでトイレに行かせる時間を配慮しなければない。
家が近かったり、席が隣であれば友だちになる。友だち同士のトラブルはたたく、けるという直接的暴力が多い。例としては、行列を作って歩いているときに前の子どもたちが止まって、後ろの子どもがぶつかるとか、じゃまだから押すといったもので、原因がわかりやすい。行列が止まった原因を考えさせたり、相手への接し方を考えさたりすることで双方が納得できる。
 
 絵は、基底線(base line)を使って遠近を表現し始める。それと同時に基底線の影響を受けた絵を描き、屋根から煙突が直角に描かれたり、肩から手が直角に描かれる。また視点が混同した正面化した絵を描く。
3-4年生は、徒党を組んで大きなグループで遊ぶようになる。発言は教師にではなく、クラス全体に対してできるようになる。体力があるので骨折など比較的大きなケガをするようになる。知的関心が広がり、社会・宇宙まで考えられるようになる。[[心の理論]]<ref>子安増生,1997, "子どもが心を理解するとき",金子書房</ref><ref>子安増生,2000, "心の理論,心を読む心の科学",岩波科学ライブラリー vol.73</ref>でいえば[[二次的信念]]を獲得するため、心情を読み取れるようになり、読書の幅が広がる。
 
 3-4年生は、徒党を組んで大きなグループで遊ぶようになる。発言は教師にではなく、クラス全体に対してできるようになる。体力があるので骨折など比較的大きなケガをするようになる。ブランコの立ちこぎから飛んだり、馬跳び、階段跳びでケガをしたりする。知的関心が広がり、社会・宇宙まで考えられるようになる。[[心の理論]]<ref>子安増生,1997, "子どもが心を理解するとき",金子書房</ref><ref>子安増生,2000, "心の理論,心を読む心の科学",岩波科学ライブラリー vol.73</ref>でいえば[[二次的信念]]を獲得するため、心情を読み取れるようになり、読書の幅が広がる。
[[具体的操作期]]の完成期になり論理や規則に厳しくなる。さぼりやルール違反への指摘が厳しくなり、告げ口が多くなるが受け止めてあげれば満足する。ただし、子ども集団の中でチクリとして非難される場合には、原因は何か、何が正しいのか考えさせる必要がある。
 友だちは気が合う、趣味が同じという性格面が強くなる。仲間意識が強くなり、仲間との約束が親や先生との約束より大切になり、大人に対して秘密を持つようになる。集団で大人から自立する時期といえる。反抗は組織的ではなく、一人の悪乗りが他の子どもの悪乗りを生むという形をとる。仲間意識が強くなるため集団で反抗や逸脱を行う。かつては[[ギャングエイジ]]([[Gang Age]])<ref> 波多野誼余夫・高橋恵子,1971, 対人行動の発達, "講座心理学 Ⅱ精神発達", 第6章,藤永保編,東京大学出版会</ref>と呼ばれた。大人の目に見える世界で子どもが遊ばなくなったので、ギャングエイジは無くなったとも言われるが、学校では存在している。後の反抗期は個人で行うが、その前に集団で反抗する経験を積むことが自立のために必要と言える。しかし、席替えやクラス替えをすれば遊ばなくなる場合が多く、じめ対策として有効である。<ref>村野井均,2009, "小学生の生活とこころの発達", 心理科学研究会編,福村出版, 第2章,"3年生‐4年生", pp.89-98</ref>
 
 絵は精密になるが、鼻の穴や耳の穴が正面化した絵を描く。知的リアリズムの絵である。
5-6年生は、児童期の完成期であり、高学年としての責任感、実行力を持ち、クラスや学校全体を見渡す力を持てるようになる。リーダーとして下の学年の子どもたちを率いることができる。良い子として背伸びできる時期である。勉強の内容が抽象的になり、[[形式的操作]]を必要とするため、学力差が顕在する。[[9歳10歳の壁]]<ref>渡辺弥生,2011,"子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学" ,(光文社新書),光文社</ref>といわれることがある。また、[[自己中心性]]を脱却して、他者の視点を持てるため教師の評価基準に自分を合わせることができるようになる。そのため絵や作文の創造性が一時的に低くなったように見える。[[バーンズの高原]]と呼ばれている。客観視できるため、教科の好き嫌いも顕在化する。
 
 5-6年生は、児童期の完成期であり、高学年としての責任感、実行力を持ち、クラスや学校全体を見渡す力を持てるようになる。リーダーとして下の学年の子どもたちを率いることができる。良い子として背伸びできる時期である。勉強の内容が抽象的になり、[[形式的操作]]を必要とするため、学力差が顕在する。[[9歳10歳の壁]]<ref>渡辺弥生,2011,"子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学" ,(光文社新書),光文社</ref>といわれることがある。また、[[自己中心性]]を脱却して、他者の視点を持てるため教師の評価基準に自分を合わせることができるようになる。そのため絵や作文の創造性が一時的に低くなったように見える。[[バーンズの高原]]と呼ばれている。客観視できるため、教科の好き嫌いも顕在化する。
[[成熟前傾]]により多くの[[児童]]が[[第二次性徴]]を迎えるため、[[青年期]]の特徴を持つようになる。男女の意識が強くなる。身体の変化とともに良い子という概念への疑問が生じ、教師や社会への反発が生じるようになる。[[青年]]としての対応が必要となる。
 
 絵は、吹き出しやワイプを使って心の中の表現をできるようになる。遠近法で描き始めるが、遠近法を習っていないため視点の混同は続く。
 
== 脚注 ==
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{{Reflist}}
 
{{DEFAULTSORT:しとじどうのはつたつ}}
[[Category:子ども]]
[[Category:発達心理学]]
[[en:Child_development#Aspects_of_child_development]]