「スタビライザー (自動車部品)」の版間の差分

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[[自動車]]における'''スタビライザー'''({{lang-en-short|stabilizer}})は、車体の[[ローリング]]を防ぐため、[[サスペンション]]に追加される部品のこと。'''アンチロールバー'''({{en|anti-roll bar}})や'''スウェイバー'''({{en|sway bar}})とも言われ、「スタビ」と略されることもある。
 
一般的には[[モノコック]]や[[シャーシ]]に吊り下げるように配置された、U字またはコの字型の[[トーションバー]]で左右のサスペンションを連結した構造が採られることが多い。コーナリング時など左右のサスペンションのストローク量に差異が生じた時にだけ、バーに捻れ応力が発生し、その復元力により左右サスペンションのストローク量を同一となる方向に是正することで、車体([[キャビン]])の傾き(ローリング)を抑える。
 
このような構造のスタビライザーは、左右両輪が同方向に同一量ストロークする際には、ボディの吊り下げ部分を支点にスタビライザーもサスペンションに追従して回転運動するため、捻れ応力が発生せず、サスペンション本体のばねのばね定数に悪影響を及ぼすこともない。そのためスタビライザーの追加装備、または強化品への交換は、単純にサスペンションのばねを堅くする方法に対して、乗り心地やストロークを比較的犠牲にすることなく車体のロールを抑えることができる。
 
スタビライザーの副次的な効果として、前後サスペンションに異なるばね定数のスタビライザーを配置することでハンドリングバランスを調整出来るため、その車体が本来持つ[[オーバーステア]]や[[アンダーステア]]の特性を変化させることが可能となる。一般的に前輪のスタビライザーを強化するとアンダーステア、後輪のスタビライザーを強化するとオーバーステア傾向が強まる。ハンドリングバランスを変化させずにロールのみを抑えたい場合には、前後とも同一に強化を図る必要がある。
 
スタビライザーは構造上左右両輪が独立して上下する事が出来る[[独立懸架]]のサスペンションに用いられることが多いが、ロールを抑える利点と引き換えに、独立懸架の長所である左右輪が独立したストロークで路面に追従しようとする働きをスポイルする作用も示す欠点がある。具体的には、片輪のみが極端にストロークした場合に、もう片方のサスペンションにスタビライザーを通して上下動がある程度伝達されてしまうため、左右で高低差の異なる小さな轍(ハンプ)が連続するような[[オフロード|悪路走行]]では、スタビライザーがい場合に比べて車体を振り子のようにゆらゆらと揺らす振動(ワドリング)が発生しやすく、結果的に乗り心地が悪化する場合がある。
 
[[File:A mildly modified 1992 Ford Explorer off road.jpg|right|thumb|upright=1.10|悪路走行のためにスタビライザーを敢えて取り外す改造を施した[[SUV]]の例]]
[[車軸懸架]]でも高速走行時の車体の安定性確保のためにスタビライザーが装備されることがあるが、車軸懸架の利点である車軸がシャーシと独立して路面に平行に追従しようとする働きもスポイルする作用を示すほか、スタビライザーの回転半径を超えてサスペンションが伸びることも不可能となるため、オフロード走行のみに特化した車両、とりわけ[[:en:Rock crawling|ロック・クローリング]]など、極端な高低差のある悪路を[[ショックアブソーバー]]の伸び側ストロークを一杯まで使い切ることで、[[キャビン]]の水平性を出来るだけ確保しつつ走破していくような競技では、車軸・独立懸架を問わず[[:en:Ramp travel index|アクスル・アーティキュレーション]]を最大限確保する目的でスタビライザーが敢えて取り外される場合もある。
 
[[モータースポーツ]]の競技車両では、ドライバーやメカニックの任意の操作でばね定数を調整できる可変式スタビライザーが装備される場合があり、近年の高度に電子化された市販車両でも、コンピュータの状況判断によりばね定数を自動制御するアクティブスタビライザーが装備されたものが登場している。