「のれん (会計)」の版間の差分

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これにより、企業結合の成果たる収益と、その対価の一部を構成する投資消去差額の償却という費用の対応が可能になる。また、のれんは投資原価の一部であることに鑑みれば、のれんを規則的に償却する方法は、投資原価を超えて回収された超過額を企業にとっての利益と見る考え方とも首尾一貫している。子会社化して連結する場合と資産及び負債を直接受け入れ当該企業を消滅させた場合との経済的な同一性に着目し、正の値であるのれんと投資消去差額の会計処理との整合性を図るなどの観点から、規則的な償却を採用した。また、その償却期間についても、平成9年連結原則の連結調整勘定の償却に係る考え方を踏襲し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって償却することとした。
 
==== のれん償却のデメリット意義 ====
のれん償却は利益操作の手段として用いられる可能性がある。償却を行わない場合は、企業結合を繰り返す企業の貸借対照表に巨額ののれんが蓄積されていくことや、収益悪化が続くと(ブランド価値が失われたとして)突然巨額の減損処理が発生することがある。さらに、企業結合により生じたのれんは時間の経過とともに自己創設のれんに入れ替わる可能性があるため、企業結合により計上したのれんの非償却による自己創設のれんの実質的な資産計上となる。のれんが超過収益力を表すとみると、競争の進展によって通常はその価値が減価するにもかかわらず、競争の進展に伴うのれんの価値の減価の過程を無視することになる。また、超過収益力が維持されている場合においても、それは企業結合後の追加的な投資や企業の追加的努力によって補完されているにもかかわらず、のれんを償却しないことは、上述の通り追加投資による自己創設のれんを計上することと実質的に等しくなるという問題点がある。