「リストリクター」の版間の差分

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効率良く燃焼させるための空気と燃料の比率である[[空燃比]]は定まっているため、エンジンに燃料を送る量を制限することにより出力が制限される。既に導入されているエアリストリクターを始め、エンジン回転数など過去に様々な制限が行われてきたが、市販車エンジンと掛け離れていくという問題を抱えていた。これを解決するために、トヨタ、ホンダ、日産の3社が共同で開発し{{#tag:ref|これまでは、液体燃料の流量を制限すると気化して詰まりを起こした場合、失火して急減速に繋がり追突事故の可能性が懸念されていたためアイデアの域を出ていなかったが、日本のレースエンジンが市販車用の量産エンジンから掛け離れ、欧州に遅れを取っているという危機感からライバル関係でもある3社が協力し、オリジナルの新しいレースエンジンと共に燃料リストリクターを開発した<ref name="tr20130718">{{Cite news |url=http://ms.toyota.co.jp/jp/sf/special/2014-sf-new-engine-development-team-interview-0101.html |title=2014年スーパーフォーミュラ新型エンジン 開発チーム インタビュー |newspaper=TOYOTA Racing |date=2013-07-18}}</ref><ref>{{Cite news |url=http://engineer.typemag.jp/article/kotasera-21 |title=「欧州車への危機感が生んだ日の丸連合」レースエンジン開発で3大メーカー共闘の背景 |newspaper=エンジニアtype |date=2013-04-24}}</ref>。 |group="注"}}、[[スーパーフォーミュラ]]やSUPER GTの500クラスが使用するNRE (Nippon Racing Engine) に採用されている<ref name="sf20140320">{{Cite news |url=http://superformula.net/sf/apf/ap/NList02.dll/?No=NS018674 |title=新エンジンの重要部品である燃料リストリクター公開 |newspaper=SUPER FORMULA |date=2014-03-20}}</ref>。
 
NREの燃料リストリクターは、設定されたエンジン回転数<ref group="注">車両の重量に合わせて、スーパーフォーミュラは8,000rpm、SUPER GTは7,500rpmに設定されている。</ref>まで機械式の燃料ポンプで瞬間的な噴射流量を制御、設定回転に達すると燃料供給量がF1と同様の100kg/hに制限されるほか<ref name="as20140331">{{Cite news |url=http://as-web.jp/news/info.php?c_id=2&no=55524 |title=日本のエンジン技術の未来を担う、NREエンジン |newspaper=AUTO SPORT web |date=2014-03-31}}</ref>、流路を絞ることで、より細かな性能調整にも対応している<ref name="sf_sf14&nre">{{Cite news |url=http://superformula.net/sf/enjoy/2014/special/technology-laboratory-001.shtml#notes3 |title=初演に向けた「ドレス・リハーサル(舞台稽古)」の日々 SF14とNREが目指すもの |newspaper=SUPER FORMULA |date=2014}}</ref>。実際一部のサーキットでは、安全性を考慮して燃料供給量を90kg/hにまで絞ってレースを行った例もある<ref>[http://as-web.jp/news/info.php?c_id=8&no=62178#page3 15年へ改良進むSFエンジン。琢磨ならではの貢献も] - オートスポーツ・2014年12月16日</ref>。
 
燃料を制限する一方で、観客を楽しませるための趣向として“オーバーテイクシステム”が組み込まれている{{#tag:ref|ボタンを押すと燃料リストリクターをバイパスする電磁弁が一定時間開き、エンジンへ送り込まれる流量が5%増えて一時的に出力が約50PS上がる<ref name="sf_sf14&nre"/>。|group="注"}}。実際の使用に於いては公平を期すため、第三者のメーカー([[松浦賢|ケン・マツウラレーシングサービス]])が製造したリストリクターは、主要個所を封印した状態のままレースが開催される週の金曜日に主催者へ納品、レース毎に正確さを確認・調整した上で、取り付ける車両を決定する抽選を行い、各チームに渡され、取り付け時に再び封印する仕組みとなっている<ref name="sf20140320"/>。なお、シーズン中も規定を維持しているか随時検査が行われるため、全てのエンジンが同じ燃料流量特性を持つことが保証される<ref name="sf_sf14&nre"/>。
 
F1でも2014年より燃料の流量制限を実施し、NREと同じ100kg/hに規制しているが、FIAのセンサーでモニタリング、レース後に規定流量超過の有無をチェックするもので、機械式で瞬間流量を制御するNREとは異なる<ref name="sf_sf14&nre"/>。また、F1方式はレース後の違反判定が難しいことに加えて、センサーの故障による失格などのトラブルも発生しているが<ref>{{Cite news |url=http://ja.espnf1.com/redbull/motorsport/story/151161.html |title=継続するレッドブルの燃料計問題 |newspaper=ESPN F1 |date=2014-03-28}}</ref>、NREの機械式リストリクターは構想前に懸念されていた燃料詰まりのリスクを解消、瞬時の流量を制限することを可能としており<ref name="sf20140320"/>、トラブルも発生していない<ref name="as20140331"/>。ただしNRE方式のリストリクターは、全車が同一規格の燃料を使用することを前提として開発されているため、チームによって使用する燃料のメーカーが異なるF1では公平な調整が困難で使用できないと[[川井一仁]]が指摘している<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=0rSj-_W2itk#t=471 KAMUI TV Vol.12 #2 Q&A WITH KAZ FROM FUJI TV] - KamuiChannel</ref>。
 
== 脚注 ==