「ズメウ」の版間の差分

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==補説==
ルーマニアでは普通のドラゴンもズメウと呼ばれる。
 
一方、ルーマニアの「ズメウ」は別の側面を持つズメウ達もいる。それは幽霊や[[吸血鬼]]のような存在である。長い炎のような姿だが家に入ると人間に化ける。トランシルヴァニアでは若い少女の姿をしながら羊飼いを誘惑して羊もろとも性交をするという。貞操を守るためにはにんにくとクサノオウと蜜蝋を混ぜたものが有効とされ、ルーマニアの吸血鬼伝承と混在している。ウラド・ドラクル伝説の場にふさわしいズメウともいえよう。<ref>「吸血鬼の事典」マシューバンソン著、松田和也訳、青土社,2004,p204.より。</ref>
上記2話の話から分かると思われるがルーマニアの竜人はの西欧の竜人の代表格である[[メリュジーヌ]]と違い、総じて強くないのが特徴である。愛する勇者の母親を守れなかったり、見ただけで塵となったりする存在である。ただし、ルーマニアでは普通のドラゴンもズメウと呼ばれる。
 
とはいえ、「勇士ペトレアとイレアナ」の竜人はもはや被害者と言ってもよい。ペトレアは「勇者」と言ってよいのかも疑問符がかなりつくお話といえよう。物語が出てくる竜人は勇者に恋人イレアナがいたことと、勇者の母親と愛し合っていたことを考えると、男性と普通に解釈してよさそうである。<ref>直野敦・住谷春也「ルーマニアの民話」恒文社,1980,「勇士ペトレアとイレアナ」p174など竜人と母親がむつみあっている場面がいたる場所で見られる。p188では「『おれ』があいつをバラバラにしてやるよ」という場面がある。この台詞からしても竜人はおそらく男である。</ref>「勇士ペトレアとイレアナ」は本当に「民話なのか」という疑問も持つ読者もいるであろうがグリム童話を初め、民話や童話の類はこのように本来はグロテスクな話題で一杯という話が多いのである。子供向けのメルヘンに書き換えられたのは近代以降であって、それまでは民話はあくまでも大人を含む社会全体の無形遺産であることに留意したい。
 
一方、ルーマニアの「ズメウ」は別の側面を持つズメウ達もいる。それは幽霊や[[吸血鬼]]のような存在である。長い炎のような姿だが家に入ると人間に化ける。トランシルヴァニアでは若い少女の姿をしながら羊飼いを誘惑して羊もろとも性交をするという。貞操を守るためにはにんにくとクサノオウと蜜蝋を混ぜたものが有効とされ、ルーマニアの吸血鬼伝承と混在している。ウラド・ドラクル伝説の場にふさわしいズメウともいえよう。<ref>「吸血鬼の事典」マシューバンソン著、松田和也訳、青土社,2004,p204.より。</ref>
 
ズメウは黄金の林檎を盗んできた説話もあり、勇者に退治されるという。<ref>勇敢なPrâsleaと黄金の林檎 [[:en:Prâslea the Brave and the Golden Apples|Prâslea the Brave and the Golden Apples]]より。</ref>
 
ギリシャのズメウは愚か者の大食で40人もの兄弟を持つ。姿は醜く[[オーガ]]のようであり、ときおり女性を誘拐する山怪として登場する。<ref>「世界の民話4 東欧 Ⅰ」小沢俊夫・飯豊直男訳、ぎょうせい、1977,pp188-194.「ひげなしと竜人」より。</ref>
 
「ズメウ」は悪い意味だけに使われるものではない。例えばサッカー選手「デニス・ズメウ」(Denis Zmeu)<ref>ただし、デニス・ズメウ氏はルーマニアの隣国である[[モルドバ]]出身である(所属チームはルーマニア1部の[[FCヴァスルイ]]である)。</ref>のように人名にも使われる。またアゲランの両親はアゲランが洗礼後に神の恩恵をさずかったおかげで「9日のうちに99日分も大きくなった」と伝えられている。この時「龍人(ズメウ)とみまちがうばかりに強くなり」と民話は表現している。<ref>直野敦・住谷春也「ルーマニアの民話」恒文社,1980,「勇士アゲラン」p143より。</ref>
 
==注==