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'''モミ属'''(モミぞく、[[学名]]:{{Snamei||''Abies}}'')は、[[マツ科]]の[[属 (分類学)|属]]の1つで、[[北半球]]の[[寒冷地]]から[[温帯]]にかけて、約40種が分布する。ほとんどの種が常緑高木であり、[[クリスマスツリー]]として利用されることで有名。(ただし、もともとはクリスマスツリーは[[オウシュウトウヒ|ドイツトウヒ]]が使われていた)
[[ファイル:Momi-hinokiboramaru.JPG|250px|thumb|モミ(2006年10月撮影)]]
'''モミ属'''(モミぞく、[[学名]]:{{Snamei||Abies}})は、[[マツ科]]の[[属 (分類学)|属]]の1つで、[[北半球]]の[[寒冷地]]から[[温帯]]にかけて、約40種が分布する。ほとんどの種が常緑高木であり、[[クリスマスツリー]]として利用されることで有名。(ただし、もともとはクリスマスツリーは[[オウシュウトウヒ|ドイツトウヒ]]が使われていた)
 
== 形態 ==
樹形は生育条件にも左右されるが、円錐状のクリスマスツリー形となることが多い。幹の同じ高さから輪を描くように枝を四方八方に出す(輪生)。樹皮は灰褐色から褐色のものが多く、比較的滑らかで鱗状に細かく割れる。[[マツ属]](''Pinus'')の大多数の種ほど樹皮が発達し深く割れることは無い。
樹形や葉の付き方は[[トウヒ属]]と非常に似るが、[[樹皮]]は白っぽく(樹種や樹齢により茶色っぽい樹皮のものもある)横に線が入る、葉は細くて固い針状で先端は2つに分かれる(トウヒ属は2つに割れない)、葉の付け根に葉沈と呼ばれる突起がない、といった点でトウヒ属と区別できる。
枝は[[マツ属]](''Picea'')や[[ヒマラヤスギ属]](''Cydrus'')などと違い長枝と短枝の区別はなく、葉は長枝のみに付き形は針状で生え方は散生で何れも常緑、葉の感じは[[トウヒ属]](''Picea'')に似るが、葉の付く部分の枝に凹凸(葉枕)は発達しない。<ref name="原色日本植物図鑑">北村四郎・村田源.1979.原色日本植物図鑑 木本編2. 保育社. 大阪.</ref>
 
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また球果は枝先に上を向いて立つこと、熟すると鱗片が剥がれ種子を散布することが独特である。そのために[[松ぼっくり]]のように球果の形で地上に落ちることはなく、球果のあった場所には枝の先に球果の芯だけが突き出した針のような形で残る(従って、地上でモミ属の球果を拾い上げる機会はまずない)。
File:Abies alba Schleus Berg b Suhl ThW Th Dreger.jpg|樹形''A. alba''
File:Abies sibirica HDR.jpg|樹形''A. sibirica''
File:Visokata ela IMG 4182.jpg|樹皮は細かく浅く鱗状に割れる''A. borisii-regis''
File:Abies balsamea 0145.jpg|若木の樹皮は平滑''A. balsamea''
File:Momi-hinokiboramaru.JPG|枝は同一高から四方八方に伸びる''A. firma''
File:Abies balsamea 007-009.jpg|葉は長枝に散生''A. balsamea''
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雄花は小さなラグビーボール形で多数群生して生え、この点はマツ属と似ている。トウヒ属、[[ツガ属]](''Tsuga'')の各種は雄花は一か所に付き一つしか形成されない<ref name="原色日本植物図鑑"/>。雌花は枝の先端に上向きに形成され、受粉後上向きに立ったまま球果になる。若い球果の色は黒色、緑色、褐色など様々であり、熟した時にも褐色になるものと黒色になるものに大別される。熟すると樹上で鱗片が剥がれ落ちて分解し、種子を散布する。この点はヒマラヤスギ属と似ているが、ヒマラヤスギ属は短枝が発達しモミ属とは葉の付き方が異なる。そのために[[松ぼっくり]]のように球果の形で地上に落ちることはなく、球果のあった場所には枝の先に球果の芯だけが突き出した針のような形で残る(従って、地上でモミ属の球果を拾い上げる機会はまずない)。
[[ツガ属]]は葉の形がさらにモミ属に似るが、葉枕がある点や毬果の性質はトウヒ属に近く、モミ属との区別ははっきりしている。
 
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File:Abies koreanabalsamea conepollen cones1.jpg|モミ一種雄花は群生する''A. koreanabalsamea''の球果。枝の上に直立する
File:Abies koreana cone.jpg|モミの一種''A. koreana''の球果。球果の隙間から見えるのは種子の翼
File:Abies concolor cones.jpg|別種のモミ''A. concolor''の球果。色や形は様々
File:Abies cone & bits.jpg|モミ''A. borissi-regis''の球果を軸と鱗片と種子に分解したところ
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;''Abies sibirica''
; [[トドマツ]] ''Abies sachalinensis''
: 北海道・樺太・千島に分布。樹高30m、直径1mに達する。球果は黒色で長さ5-8cm。種子の翼が球果からはみ出して見える量が北方産と南方で異なり、亜種・変種として認めることが多い<ref>宮部金吾・工藤祐舜.1986.普及版北海道主要樹木図譜. 北海道大学図書刊行会. 札幌.</ref>。
: 北海道・樺太・千島に分布。
;''Abies koreana''
;''Abies nephrolepis''