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{{出典の明記|date=2012年3月|ソートキー=楽}}
{{ウィキポータルリンク|クラシック音楽}}
'''数字付き低音'''とは[[通奏低音]]の[[和音]]楽器の演奏(リアライズ)のために、[[音符]]の上または下に和音を指定する数字を付けた[[楽譜]]をいう。普通、[[音部記号|バス記号(ヘ音記号)]]で書かれる
 
==目的==
数字は、低音からの[[音程]]の度数を表すもので、「3」とあれば、低音の上3度の所に音があることを示す。ただし、実際にそれらの音をどの[[オクターヴ]]に置くかは演奏者に任され、演奏者は[[和声]]的に正しくなるように、4声や3声で演奏する。当然、和声的な正しさだけでなく、音楽的に優れたものであることが要求され、自由な装飾を付けることも行われる。
 
==記号の意味==
詳細な記号の意味は、参考文献を参照のこと。<ref>譜例の付いた説明は[[通奏低音]]のドイツ語版ウィキペディアが参考になる。</ref>
音符に付される記号の意味について解説する。
 
==意味==
*何も数字が付いていない場合は<math>\ \!^{\ 5}_{\ 3}\ </math>を示す。すなわち、低音の3度上と5度上に音を置く。
*「6」という数字は、<math>\ \!^{\ 5}_{\ 3}\ </math>の5の代わりに6度の音を置くことを示す。これを、六の和音と呼ぶ。
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**臨時記号がついた場合、本来は省略される数字であっても、その数字が明示される。ただし「3」という数字は、臨時記号が付された場合でも省略される。すなわち、数字がなく、♭や♯だけが書かれている場合には、それが3度の音に付くことを示す。
**「半音上げる」という意味で「 + 」が使われることがある(フランス式とは別である)。
<!--==リアライズの実例==
 
==リアライズ==
実際のリアライズ(数字等を読んで演奏すること)では、上の音のオクターブの選択は演奏者に任される。リアライズにおいては和声的に正しく、また美しくあることが求められる。次は例である。2段の5線の内、下の段とその下の数字が数字付き低音である。上の段は、そのリアライズであり、上下の段を一緒に演奏する。
 
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数字がなければ、<math>\ \!^{\ 5}_{\ 3}\ </math>である。ニ/D音の3度上の音(ヘ/F音)と5度上の音(イ/A音)が加えられ、これら3音が右手で任意のオクターブで弾かれる。以下、和声的に続けられる。横線は、上声において同じ音が保持されることを示す。低音はそのままで上声が変化することもある。自由な装飾がなされることもおり、最初の音を除いて数字では示されていない(cf.和音外音)。
 
譜例中、最初の和音は数字がなければいので、<math>\ \!^{\ 5}_{\ 3}\ </math>である。ニ/D音の3度上の音(ヘ/F音)と5度上の音(イ/A音)が加えられ、これら3音が右手で任意のオクターブで弾かれる。以下、和声的に続けられる。黄色部分の横線は、上声において同じ音が保持されることを示す。緑部のように、低音はそのままで上声が変化することもある。ピンク色部分では自由な装飾がなされることもおり、最初の音を除いて数字では示されていない(cf.和音外音)。-->
==コードネーム付きメロディーとの類似点、相違点==
数字付き低音は、和音の音符をすべて書かずに和音を示すという点で、[[和音#コードネーム|コードネーム]]と似ている。また、数字の意味もその意味自体は同じであって、[[コードネーム]]のG7の7と、数字付き低音でト/G音に7を付けたときの7の数字が示す音は、ハ長調の場合同じで、それが示す和音も全く同じである。C6とハ長調でハ/C音に<math>\ \!^{\ 6}_{\ 5}\ </math>を付けた時の和音は同じで、6の数字が示す音も同じである。
 
決定的な相違点は、数字付き低音が調号に依存しているのに対し、コードネームは[[調号]]や[[調性]]への一切の依存していないことである。またすなわちコードネームでG7はどの調でもG-B-D-Fであるが、数字付き低音に付される場合調号によって異く'''主旋律る和音なる。また、たとえば数字き低音で♭があばリアライズした楽譜上で♭にな'''というのが決定的な違いことである。JAZZのSONGBOOKが、コードネームで減[[音程]]や短音程を表べてこれである
 
すなわち、コードネームでG7はどの調でもG-B-D-Fであるが、数字付き低音の場合は調号によって異なる和音になる。また、たとえば数字付き低音で♭があればリアライズした楽譜上で♭になるということであるが、コードネームでは減[[音程]]や短音程を表す。
 
また、コードネームが和音のルート(根音)から度数を数えるのに対し、数字付き低音では根音に関係なく低音から数える。だから、G7のコードの[[第1転回形]]はコードネームではG7/Bであるのに対し、数字付き低音ではロ/B/H音に<math>\ \!^{\ 6}_{\ 5}\ </math>と、全く違ってくる。
 
==普及==
19世紀に入っても、[[ベートーヴェン]]の「[[ミサ・ソレムニス]]」のオルガンパートには依然として数字<ref>CARUS社刊の最新校訂版を参照。旧全集による楽譜ではこれは反映していないので注意。</ref>がつけられている。楽譜から「数字が消えた」のは、19世紀の中庸以降である。それまでは根音に数字の付いた総譜は絶えることがなかった。
 
和音に数字をつけて管理するこの'''イタリア式'''数字付き低音は、のちにThéodore Duboisの本で見られるフランス式数字、Jürgen Ulrichの本で見られるドイツ式数字、島岡譲を中心とするグループによって広められた芸大和声式数字、そして英語圏を中心に広まったコードネームへ分岐した。Duboisのフランス式数字は、Duboisの和声教本のイタリア語訳が盛んに読まれたことに伴いイタリアでも広く通用した。イタリア式数字は20世紀に入ってもドイツの古楽科では必修の課程であり、21世紀に入ってもそれは依然として必修である。
 
ドイツ式の数字はドイツ語圏で通用する<ref>dtv-Atlasはすべてこれ</ref>。このため、ドイツに留学する日本の学生は、フランス式しか知らないために一から猛勉強を強いられることがある。日ごろからドイツ式とフランス式に習熟しておけば、イタリア式の記号とコードネームの把握は容易になるので、両方を押さえることが望ましい。
 
==参考文献==
*[[ヘルマン・グラブナー]] -「通奏低音練習集」
*Ulrich Michels: dtv-Atlas der Musik. Tafeln und Texte. Band 1: Systematischer Teil, Historischer Teil: Von den Anfängen bis zur Renaissance. 16. Auflage, 391. – 405. Tsd. Bärenreiter-Verlag u. a., Kassel u. a. 1995, ISBN 3-7618-3022-X, S. 100.
*Johann David Heinichen: Der General-Baß in der Composition. Selbstverlag, Dresden 1728 (2. Nachdruck. Olms, Hildesheim u. a. 1994, ISBN 3-487-09824-5).
*Georg Philipp Telemann: Singe-, Spiel- und Generalbaß-Übungen. Hamburg 1733/34. Neuausgabe durch Max Seiffert. Bärenreiter, Kassel 1920.
*Johann Sebastian Bach: Vorschriften und Grundsätze zum vierstimmigen Spielen des General-Bass oder Accompagnement für seine Scholaren in der Music. Leipzig 1738 (Englisch: J. S. Bach's Precepts and principles for playing the thorough-bass or accompanying in four parts. Leipzig, 1738 (= Early music series 16). Translated with facsimiles, introduction and explanatory notes by Pamela L. Poulin. Clarendon Press, Oxford 1994, ISBN 0-19-816225-1).
*Daniel Gottlob Türk: Anweisung zum Generalsbaßspiel. Auf Kosten des Verfassers in Kommission bei Schwickert u. a., Leipzig u. a. 1800 (Faksimile. Eingeleitet von Rainer Bayreuther. Laaber-Verlag, Laaber 2005, ISBN 3-89007-601-7 (= Laaber-Reprint 6)).
*Carl Gottlieb Hering: Neue, sehr erleichterte, praktische Generalbaßschule für junge Musiker, zugleich als ein nöthiges Hülfsmittel für diejenigen, welche den Generalbaß ohne mündlichen Unterricht in kurzer Zeit leicht erlernen wollen. Selbstverlag, Oschatz und Leipzig 1805.
*August Eberhard Müller: Grosse Fortepiano-Schule. Achte Auflage, mit vielen neuen Beyspielen und einem vollständigen Anhange vom Generalbass versehen von Carl Czerny. Peters, Leipzig 1825.
*Johann Georg Albrechtsberger: Sämmtliche Schriften über Generalbaß, Harmonie-Lehre und Tonsetzkunst. 3 Bände. 2. sorgfältig revidierte Auflage. Haslinger, Wien 1837.
*Matthäus Zeheter, Max Winkler: Vollständige theoretisch-praktische Generalbaß- und Harmonielehre. Für junge Musiker überhaupt, besonders aber für Orgelschüler, Schulseminaristen, Schullehrlinge. Und zum Selbstunterrichte. 2 Bände (Bd 1: Harmonielehre; Bd. 2: Generalbasslehre). Beck, Nördlingen 1845–1847.
*Hugo Riemann: Anleitung zum Generalbaß-Spielen. (Harmonie-Übungen am Klavier). = Handbuch des Generalbass-Spiels (= Max Hesses illustrierte Handbücher 10, ZDB-ID 777229-4). 3. Auflage. Hesse, Leipzig 1909.
*Hermann Keller: Schule des Generalsbass-Spiels. Bärenreiter, Kassel 1931 (5. Auflage. ebenda 1955).
*Walter Leib: Übungen im Generalbaßspiel (= Aufgaben zur Musiklehre 3, ZDB-ID 2299418-X). Hochstein, Heidelberg 1947.
*Gerhard Kirchner: Der Generalbaß bei Heinrich Schütz (= Musikwissenschaftliche Arbeiten 18, ZDB-ID 504891-6). Bärenreiter, Kassel u. a. 1960 (Zugleich: Freiburg (Breisgau), Univ., Diss., 1957).
*Irmtraut Freiberg: Der frühe italienische Generalbass dargestellt anhand der Quellen von 1595 bis 1655. 2 Bände (Bd 1: Traktate und Vorworte; Bd. 2: Notenbeispiele). Olms, Hildesheim 2004, ISBN 3-487-12689-3 (Bd. 1), ISBN 3-487-12690-7 (Bd. 2).
 
==脚注==
<references />
{{DEFAULTSORT:すうしつきていおん}}
[[Category:和音]]