「プロセラルム盆地」の版間の差分

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[[File:Moonmap from clementine data.png|thumb|right|250px|[[クレメンタイン (探査機)|クレメンタイン]]による月面地図([[正距円筒図法]])西経180度(左)から東経180度(右)。<br>真ん中が[[子午線]](経度ゼロ、地球から見える月の真ん中)である。この地図を水平方向に4等分したとき中央の2枚が地球から見える表側である。地図中央の大きな一塊の黒い影がプロセラルム盆地である。]]
 
'''プロセラルム盆地'''(プロセラルムぼんち)とは、[[月]]の表側にある[[盆地]]である。''Procellarum''は[[ラテン語]]で「[[嵐]]の」の意<ref group="*">{{lang|la|procellarum}} は {{lang-la|procella}} 「嵐」の複数[[属格]]形。</ref>。
 
== 名称 ==
プロセラルム盆地は、1974年にシェフィールド大学のP.H.Cadoganによってその存在が提唱され<ref>{{citation|title=Oldest and largest lunar basin?|last=Cadogan|first=P. H. |journal=Nature |volume=250 |pages=315-316 |date=26 July 1974|doi=10.1038/250315a0}}</ref>、さらに1981年にNASAの{{仮リンク|イーウェン・ウィテカー|en|Ewen Whitaker}}によってその説が強化された。Cadoganは当初「ガルガンチュア盆地」という名称を提案したが、ウィテカーから、月面の衝突盆地の名称にはその領域に含まれる[[月の海]]の名前が付けられるのが通常であるとの指摘を受けている。その後、最大の海である[[嵐の大洋]]の名前に因んだ「プロセラルム盆地」と名付けられた。<ref group="*">いずれも[[IAU国際天文学連合]]の定める公式な名称ではない。</ref>
 
== 構造 ==
プロセラルム盆地は、直径が約3,000kmもある巨大な盆地である。その正体は月自身の大きさの約86%もある巨大な衝突盆地という説が提唱されている。この大きさは、[[月の裏|月の裏側]]にある[[南極エイトケン盆地]]の約2,500kmを抜き、[[月]]の中で最大である。<ref{{Refnest| group="*">|[[IAU国際天文学連合]]のワーキンググループ認証し名称を付けている[[クレーター]]で最大のものは[[ヘルツシュプルング (クレーター)|ヘルツシュプルング]]である<ref name="USGS2">{{Cite web
|title=Nomenclature Search Results
|publisher=[[IAU]]
|work=Gazetteer of Planetary Nomenclature
|url=http://planetarynames.wr.usgs.gov/SearchResults?target=MOON&featureType=Crater%2C%20craters
|accessdate=2015-01-16}}
</ref>また、2012年現在で科学的証拠が提示されているものでは、。}}[[太陽系]]できな級の衝突地形である。この直径は、地球に置けば[[日本列島]]がその中に納まってしまうサイズである。南極エイトケン盆地は月の裏側にあるため地上からは見えないが、プロセラルム盆地は月の表側にあるため観察できる。
 
プロセラルム盆地の中には直径1,145kmの[[雨の海]]があり、プロセラルム盆地が形成する衝突が起きた後に雨の海を形成する衝突が起きたことを示している。ちょうど[[月の兎|餅をつくウサギ]]に見える模様を、耳に見える部分である[[豊かの海]]の一部と[[神酒の海]]の全てを除き、残りの全身を覆う形で存在する。また、[[臼]]に例えられる[[雲の海]]などもこの中に納まっている。
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{{See also|太陽系の天体の最も大きなクレーターの一覧}}
プロセラルム盆地が太陽系で最も大きなクレーターか否かは定かではない。これまでで天体の衝突が生成の原因だとわかっている最も大きなクレーターは南極エイトケン盆地の2,500km、次いで[[火星]]にある[[ヘラス平原]]の2,300kmであった。プロセラルム盆地はこれらよりも大きい。科学的な証拠が提示されていないものとしては、火星にある{{仮リンク|北極盆地|en|North Polar Basin (Mars)}}は、10,600km × 8,500kmという途方もなく大きなクレーターではないかという説がある。また、同じく火星にある約3,300kmの[[ユートピア平原]]もまた衝突盆地ではないかと言われている。ちなみに、[[木星]]の[[ガリレオ衛星]]の1つである[[カリスト (衛星)|カリスト]]にある{{仮リンク|ヴァルハラ盆地|en|Valhalla (crater)}}は本体部分が直径360kmであるが、衝突の衝撃に由来する多重のリング構造が最大直径3,800kmまで広がっている。また、クレーターと月自身の直径との比率は約86%であるが、これは極端に小さな天体にあるクレーターを除けば、[[小惑星]][[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]にある[[レアシルヴィア]]の約96%に次ぐ比率である。
 
== 関連項目 ==
* [[嵐の大洋]]
* [[月のクレーター]]
* [[太陽系の天体の最も大きなクレーターの一覧]]
 
== 脚注 ==
 
=== 注釈 ===
<references group="*"/>
 
=== 出典 ===
<references/>
 
== 参考文献 ==
* [http://the-moon.wikispaces.com/Procellarum+Basin Procellarum Basin ''Wikispaces.com'']
* [http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121029/pr20121029.html 月の表と裏の違いをもたらした超巨大衝突を裏付ける痕跡を発見 ''産業技術総合研究所'']
 
== 関連項目 ==
* [[嵐の大洋]]
* [[月のクレーター]]
* [[太陽系の天体の最も大きなクレーターの一覧]]
 
{{月}}