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'''例外'''(れいがい)とは、通例の[[法則]]や[[規]]、[[規定]]から外れること、るい外れたものをまってないこと<ref name="koujien">広辞苑 「例外」</ref>対義語は一般の原則の適用を受けないこと<ref name="koujien" />
 
== 概説 ==
自然発生的な規則や[[自然言語]]においては例外がよく見受けられる。そのため「例外のない規則([[法則]]とも)はない」という[[ことわざ]]もある(この法則自体にも適用できる、と付け足す例もある、詳しくは[[例外#例外のパラドックス|下記]]参照)。たとえば、現在確認されているほぼすべての自然言語において[[動詞]]の[[活用|規則活用]]の例外である[[活用|不規則活用]]が存在する。
例外とは通例の原則にあてはまっていないこと<ref name="koujien">広辞苑 「例外」</ref>。また、一般の原則の適用を受けないことである。
 
たとえば[[法則]](や[[規則]])が成り立っていない事例のこと。あるいは、法則がそもそも適用されていないもののこと。
== 自然科学の範疇で ==
規則や法則には例外がつきものではある。当てはまらないものを取り除けば、残りについてはその法則は間違いなく当てはまるのは当然である。問題は、例外がいくつあるかである。たとえば数学の四則演算の場合、任意の二つの数の間でどの演算もできるし、どの場合も答えは一つ求められる。しかし、[[ゼロ除算|0で除算]]することだけはこの例外である。この場合、例外は明らかにこの一つだけである。
 
「例外のない[[法則]]はない」「例外のない規則はない」などと言われることがある。<ref group="注">この法則自体にも適用できる、と付け足す例もある、詳しくは[[例外#例外のパラドックス|下記]]参照)。</ref>
[[数学]]においては、一般的には正しいかどうかがわかっていない命題に対しては、ひとつの例外をあげることができれば、その命題は正しくないと判断する。その場合は例外とは言わず、[[反例]]という。しかしながら、その数があまりにも少なく、またそれを取り除いた範囲でのその命題の正しさが[[証明]]できるのであれば、その命題は認められる。この場合、むしろなぜそのような例外が存在するかを問う場合もあるであろう。
 
規則や法則には例外がつきものではある。
それ以外の科学ではそれほど厳密な正しさは必ずしも求められず、ある程度の例外は認める。しかし例外が複数ある場合には違った問題が生じる。その場合、あくまで例外と判断するのかどうかである。その法則が正しいと考えられる場合、例外がなぜ生じるかを考えるのはひとつの方向である。
対比される概念は「[[原則]]」である。
 
== 自然科学の範疇でと例外 ==
[[物理学]]においては物事を数学的に扱うことで厳密性を確保しているので、例外に関しても同様な扱いが期待できるが、、現実の現象を理解する際にそのような厳密な証明ができるかというのはまた別の問題である。[[振り子]]の[[等時性]]は古くからよく知られた事実ではあるが、これが真であるかどうかの判断は実験的にも理論的にも難しい。
生物学の分野ではさらに例外は多い。[[メンデルの法則]]は身近な動植物ですらむしろきれいに当てはまるものを探すのが難しく、生物全体を見れば、直接当てはめることすらできない例も多い。そもそもメンデル自身、自説を発表する際、予備実験として多くの形質について実験を行っており、その中から法則性を示せる形質のみを取り上げているが、その際に取り上げた形質の数より捨てた形質の数の方が多い。しかしメンデルの法則は生物学の分野ではむしろよく整えられた法則である。
 
生物学の分野ではさらに例外は多い。[[メンデルの法則]]は身近な動植物ですらむしろきれいに当てはまるものを探すのが難しく、生物全体を見れば、直接当てはめることすらできない例も多い。そもそもメンデル自身、自説を発表する際、予備実験として多くの形質について実験を行っており、その中から法則性を示せる形質のみを取り上げているが、その際に取り上げた形質の数より捨てた形質の数の方が多い。しかしメンデルの法則は生物学の分野ではむしろよく整えられた法則である。
 
生物学の歴史を見れば、非常に多くの法則が提唱されては消えている。それらの多くは確かに当てはまる例はいくつもあるにせよ、当てはまらないものの方が多いんじゃないか、というものもある。そのため、その多くは「○○の場合、××となることが多い」といった言い方で示されている。中には「生物に関してあるアイデアを思いついた場合、それの裏付けとなる生物は必ず存在する」という声ある。たとえば1921年にペトロニヴィクスは「種・系統樹および群の進化の法則」と題して24の法則を総括している(井尻正二『化石』岩波新書,1968)が、この中には1:放散の法則(→[[適応放散]])、7:収斂の法則(→[[収斂進化]])のように、現在でも認められるもののそれを法則とは呼ばないようなものばかりである。
 
現代[[物理学]]においては、物事を数的に([[量]]で)表現し、数学を用いて把握しようとする。だが、数学は[[形式科学]]なので、自然科学とは異なり、数学だけでは自然については何も言うことができない。どのような関係にあるのか、というのは、実際に確かめて(=[[実験]])してから判断し、実際に確かめる前に推察でうかつなことを言ってしまうのは避ける、とするのが[[自然科学]]である。また、ある時、ある数式を思いつきおおむねその数式に沿って自然が動いているようだ、と考えられるようになっても、だからといっていつでも数式通りに自然が動くだろう、などと期待したり、絶対に数式どおりに自然は動くはずだ、と決めつけるのは自然科学的には不適切である。いつも疑う態度を保ち、実際に確かめ続けるのが自然科学的態度である。なお、「[[振り子]]の[[等時性]]」は古くから言われているが、実は「振り子は、いつも等時的に動いている」と見なしてよいのか、(ガリレオなどの物理学者が、物を基準に時間を計る、と恣意的に決めて)「ある(同一の)振り子が1回振れる間を、同じ時間と見なす」と方針を定めて理論体系を組み立てたのか、つきつめて[[科学哲学]]的に考察する場合、難しい問題をはらんでいる。
== 人為的なルールの場合 ==
[[法律]]などにおいて、適用対象に例外を設ける例は珍しくない。例外を設けることは規則を柔軟に運用でき、臨機応変な対応が出来るという面がある一方、ともすると規則を捻じ曲げて解釈する恐れもあり、規則の存在そのものの意味がなくなってしまうという危険性もある。具体的な適用には[[慣例]]などが重視されることになろう。
 
あらかじめ想定している法則にあてはまらない事例が見つかった場合、どう判断するのか、という難しいテーマがある。
たとえば[[道路交通法]]は[[緊急自動車]]をその例外に認めている。その有益性は明らかであろう。しかしたとえば警察車両であれば無条件でこれを認めるのではなく、[[警告灯]]や[[サイレン]]をならすことを義務づけている。
*「観測のミス」「実験のミス」と見なし、観測や実験のやり直しを行うか
* つまらないこと、と感じて、無視したり、記憶から消してしまうのか
* 別の法則を新たに付け足してでも、強引に理論体系を守ろうとするのか([[アドホックな仮説]])
* (「これを認めたら、結局、法則は無い、ということになってしまう」「都合が悪い」などと感じて)データを意図的に無視して隠ぺいしたり、改ざんして、インチキ論文を書いてしまうか([[科学における不正行為]])
* 法則が成り立たない範囲、「例外」「[[特異点]]」を発見したのか検討し、そうだった場合に、それの活用を探るのか([[セレンディピティ]])
 
同じ事象を眼の前にして、どのような判断・行動をするのか、ということで結果が大きく異なってくる。
 
== 数学 ==
規則や法則には例外がつきものではある。当てはまらないものを取り除けば、残りについてはその法則は間違いなく当てはまるのは当然である。問題は、例外がいくつあるかである。たとえば数学の四則演算の場合、任意の二つの数の間でどの演算もできるし、どの場合も答えは一つ求められる。しかし、[[ゼロ除算|0で除算]]することだけはこの例外である。この場合、例外は明らかにこの一つだけである。
 
[[数学]]においては、一般的には正しいかどうかがわかっていない命題に対しては、ひとつの例外をあげることができれば、その命題は正しくないと判断する。その場合は例外とは言わず、[[反例]]という。しかしながら、その数があまりにも少なく、またそれを取り除いた範囲でのその命題の正しさが[[証明]]できるのであれば、その命題は認められる。この場合、むしろなぜそのような例外が存在するかを問う場合もあるであろう。
 
{{Seealso|特異点}}
 
== コンピュータの場合 ==
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また、[[CPU]]が0での除算などの実行できない処理に遭遇することについても言う。[[UNIX]] 系 OS でハードウェア例外が発生すると、[[カーネル]]は[[プロセス]]に対して SIGFPE や SIGSEGV などの[[シグナル (ソフトウェア)|シグナル]]を生成する。
 
== 人為的法律ルールの場合 ==
[[法律]]などにおいて、適用対象に例外を設けることは珍しくない。
 
ただし、例外を設けることは法律の導入を容易にし、法律の導入にともなう弊害([[副作用]])を抑えるという面がある。が、例外的な状態を意図的に狙うもの、いわゆる「法律の網をくぐる」ような者が多数現れて、それが度を超すと、法律があっても機能していない、意味が無い、という状態になってしまうこともある。
 
例外には「歯止め」を設定する場合もある。たとえば[[道路交通法]]は[[緊急自動車]]をその例外に認めている。その有益性は明らかであろう。しかしたとえば警察車両であれば無条件でこれを認めるのではなく、[[警告灯]]や[[サイレン]]をならすことを義務づけている。
 
== 自然言語 ==
[[自然言語]]に[[文法]]や[[語法]]にも例外がある。
 
たとえば英語の[[動詞]]の[[活用|規則活用]]には、例外である[[活用|不規則活用]]が存在する。
 
==用法==