「絶縁ゲートバイポーラトランジスタ」の版間の差分

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完全なラッチアップの抑制は1984年、中川明夫等がIEDMで論文発表したノンラッチアップIGBTで初めて実現された<ref>A. Nakagawa et al., "Non-latch-up 1200V 75A bipolar-mode MOSFET with large ASO", IEEE International Electron Devices Meeting Technical Digest, pp.860-861,1984</ref>。このノンラッチアップIGBTの設計概念は1984年に特許出願された<ref>中川他、特許1778841、特許1804232、A.Nakagawa, H. Ohashi, Y. Yamaguchi, K. Watanabe and T. Thukakoshi, "Conductivity modulated MOSFET" US Patent No.6025622 (Feb.15, 2000), No.5086323 (Feb.4, 1992) andNo.4672407 (Jun.9, 1987)</ref>。完全にラッチアップしないことを証明するため、1200 Vの素子を600 VのDC電源に直結して負荷なしで25 usの期間、素子をオンさせた。600 Vの電圧が素子に直接印加され、流れるだけの短絡電流が素子に流れたが、素子は破壊せずに25 us後に電流をオフできた。この素子特性は負荷短絡耐量と呼ばれるものでIGBTで初めて実現された<ref>A. Nakagawa et al., "Experimental and numerical study of non-latch-up bipolar-mode MOSFET characteristics", IEEE International Electron Devices Meeting Technical Digest, pp. 150–153, 1985</ref>。これによって、Hans W. BeckeとCarl F. Wheatleyによって特許提案された「素子の動作領域全体でラッチアップしないIGBT」が1984年に実現した。ラッチアップが完全に抑制されたノンラッチアップIGBTでは電流密度と電圧の積は5x10<sup>5</sup> W/cm<sup>2</sup>に達した<ref>A.Nakagawa et al., "Safe operating area for 1200-V non-latch-up bipolar-mode MOSFETs", IEEE Trans. on Electron Devices, ED-34, pp. 351–355(1987)</ref>。この値はバイポーラトラジスタの理論限界2x10<sup>5</sup> W/cm<sup>2</sup>を超えており、ノンラッチアップIGBTは破壊耐量が強く、安全動作領域が広いことが検証された。ノンラッチアップIGBTの実現によってHans W. BeckeとCarl F. Wheatleyの特許がIGBTの基本特許となリ、ノンラッチアップIGBTがIGBTの設計標準となった。
 
<!--== 特徴 ==
電圧制御型のMOS-FET (Metal Oxide Semiconductor - Field Effect Transister) の欠点である高耐圧に伴って高くなるオン抵抗による発熱と、バイポーラトランジスタ (Bipolar Junction Transistor, '''BJT''') の低いスイッチング速度という欠点をそれぞれ補うように、入力段にMOS-FETを、出力段にバイポーラトランジスタを1つの半導体素子上に構成したものである。ゲート・エミッタ間の[[電圧]]で駆動され、入力信号によってオン・オフができる[[自己消弧素子|自己消弧]]形であるので、大[[電力]]の高速スイッチングが可能な半導体素子である。
 
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[[21世紀]]になってからは、IGBTを中心に制御信号増幅回路や電流・電圧・温度といった保護回路、還流用ダイオードなどが1つのパッケージに収められた'''[[インテリジェントパワーモジュール|IPM]]''' (Intelligent Power Module) と呼ばれる電子部品も登場している。定番の電力制御回路がまとめられたことによる利便性の向上だけでなく、素子間の配線短縮によるインピーダンスの低下を図れるため雑音低減も期待でき、装置の小型化に寄与し信頼性も高まる。従来のモジュール形状のほかDIPやSIPパッケージなど小型の物も登場し洗濯機、冷蔵庫、空調機器のモータ駆動用などの他、小型汎用インバータなどで使われる。制御をインバータ化することで周波数や電圧を問わず共通仕様のモータが使用できるため生産コスト低減に寄与している。
 
-->== 脚注 ==
<references />