「禍 (伝説の生物)」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
編集の要約なし
7行目:
 
== 日本における「わざわい」 ==
[[日本]]では『[[宝物集]]』巻第6(「[[天竺]]の国王禍を求む并経説譬喩の事」)<ref>[[芳賀矢一]] 校『[[宝物集]]』 [[冨山房]] [[1927年]] 220頁</ref>などで上記の説話が紹介されており、猪のような姿で鉄だけを食べたことが示されている。
[[日本]]では[[室町時代]]ころに書かれた[[御伽草子]]『鶴の草紙』(つるのそうし、鶴草子)の一系統に、[[地頭]]の出す難題(こなせねば美しい女房([[ツル|鶴]])を渡せと迫る)のひとつとして「わざわい」<ref>原文「わざはひ」</ref>という獣が登場している。[[ウシ|牛]]のように大きく、ツノの生えた[[オオカミ|狼]]のような獣で、ツノを振れば空がくもり凄まじい風が巻き起こったという<ref>市古貞次『未完中世小説解題』楽浪書院 1943年</ref>。
 
=== 鶴の草紙 ===
山の中にある鶴の両親の家にこの獣の「わざわい」が居た為この難題は打ち破られ、「わざわい」を持ち込まれた地頭はその乱暴な生態に恐れおののく。
[[日本]]ではまた[[室町時代]]ころに書かれた[[御伽草子]]『鶴の草紙』(つるのそうし、鶴草子)の一系統に、[[地頭]]の出す難題(こなせねば美しい女房([[ツル|鶴]])を渡せと迫る)のひとつとして「わざわい」<ref>原文「わざはひ」</ref>という獣が登場している。[[ウシ|牛]]のように大きく、ツノの生えた[[オオカミ|狼]]のような獣で、ツノを振れば空がくもり凄まじい風が巻き起こったという。山の中にある鶴の両親の家にこの獣の「わざわい」が居た為この難題は打ち破られ、「わざわい」を持ち込まれた地頭はその乱暴な生態に恐れおののく<ref>市古貞次『未完中世小説解題』楽浪書院 1943年</ref>。
 
== 創作における「わざわい」 ==
20 ⟶ 21行目:
私良摩(しらま)国の達婆太子は忠臣・[[ビンドラ・バラダージャ|頗羅隋]](はらだ)の「悪政をすればわざわいが国に出で来たる」という諫言に怒り「わざわいというものがもしこの世にあるならば目の前に見せてみよ」とその首を斬る。頗羅隋の息子である[[ビンドラ・バラダージャ|賓頭盧]](びんずる)は「父の首が欲しくばわざわいを目の前に見せて見ろ」と達婆太子に命じられ、子供たちが「わざわい欲しくば山へゆけ」という歌っていたのをたよりにたどりついた山中で正舎利仙(しょうしゃりせん)という[[仙人]]から「わざわい」を授かって難題を解決する。その後、達婆太子は「わざわい」を館で飼育するが、エサとして与える鉄がなくなり国中から鉄を納めさせる。しかしそれでも鉄が足りず空腹となった「わざわい」が暴れ出したので、庭に大きな穴を掘り中へ[[炭]]を大量におこして焼き殺す。しかし火に包まれた「わざわい」が穴から出て駆け回り、達婆太子の館はすべて燃え落ちてしまう。
 
22編は表紙や挿絵にも猪のような姿の「わざわい」が描かれ、焼き殺す先の顛末などからも『旧雑譬喩経』や『宝物集』などにある描写を典拠としたことがわかる。
 
== 脚注 ==