「半単純加群」の版間の差分

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[[数学]]、とくに[[加群]]論という[[抽象代数学]]の分野において、'''半単純加群''' (semisimple module, completely reducible module) はその[[既約加群|既約部分加群]]から容易に理解できるようなタイプの加群である。自分自身の上で半単純加群であるような[[環 (数学)|環]]はアルティン的'''半単純環'''として知られている。[[有限群]]の標数0の[[体 (数学)|体]]上の[[群環]]のようないくつかの重要な環は半単純環である。[[アルティン環]]ははじめはその最大の半単純商を通じて理解される。アルティン的半単純環の構造は[[アルティン-ウェダーバーンの定理]]によってよく理解される。これはこれらの環を[[行列環]]の有限個の[[環の直積|直積]]として表示するものである。
 
== 定義 ==
単位元をもつ[[環 (数学)|環]](可換でなくてもよい)上の[[環上の加群|加群]]は、[[単純加群|単純]](既約)部分加群の[[直和#加群の直和|直和]]であるときに、'''半単純''' (semisimple or, completely reducible) という。
 
加群 ''M'' に対して、以下は同値。
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* 環 ''R'' 上の半単純加群 ''M'' はまた ''R'' から ''M'' の[[アーベル群]][[自己準同型]]環の中への[[環準同型]]として考えることもできる。この準同型の像は[[半原始環]]であり、すべての半原始環はそのような像に同型である。
* 半単純加群の[[自己準同型環]]は半原始であるだけでなく、[[フォン・ノイマン正則環|フォンノイマン正則]]でもある {{harv|Lam|2001|p=62}}.
 
== 半単純環 ==
{{main|半単純環}}<!--日本語版には半単純環の記事があるので追加-->
環が(左)'''半単純'''であるとは、それがそれ自身の上の左加群として半単純であることをいう。驚くべきことに、左半単純環は右半単純でもあり、逆も同様である。左右の区別はしたがって不要であり、半単純環についてあいまいさなく話すことができる。
 
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=== 単純環 ===
{{main|単純環}}
 
その用語にも関わらず、''単純環は半単純環であるとは限らない''ことに注意すべきである。問題は環が''大きすぎる''かもしれないことだ。つまり、(左/右)アルティンでないかもしれない。実は、''R'' が単純環であって極小左/右イデアルをもてば、''R'' は半単純である。
 
単純だが半単純でない環の古典的な例は[[ワイル代数]]である。例えば {{math|'''Q'''<''x'', ''y''>/(''xy''- &minus; ''yx''- &minus; 1)}} は単純[[非可換[[整域]]である。これらやたくさんの他の素敵な例はもっと詳細にいくつかの非可換環論のテキストで議論されている。例えば Lam の本の chapter 3 では非アルティン単純環として書かれている。ワイル代数の[[加群論]]}は半単純環のそれよりもよく研究されていてかなり異なる。
 
=== ジャコブソン半単純 ===
{{main|半原始環}}
環は極大左イデアルの共通部分が 0 であるときに、すなわち[[ジャコブソン根基]]が 0 であるときに、''ジャコブソン半単純''(あるいは ''J-半単純''あるいは''[[半原始環|半原始]]'')と呼ばれる。自身の上の加群として半単純であるすべての環のジャコブソン根基は 0 であるが、ジャコブソン根基が 0 であるすべての環が自身の上の加群として半単純であるわけではない。J-半単純環が半単純であることと[[アルティン環]]であることは同値であり、したがって半単純環は混乱を避けるためにしばしば''アルティン的半単純環'' (artinian semisimple ring) と呼ばれる。
 
例えば整数環 '''Z''' は J-半単純だがアルティン半単純ではない。