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[[画像File:Iizaka-Onsen2.jpg|thumb|240px|right|十綱橋と摺上川]]
'''飯坂温泉'''(いいざかおんせん)は、[[福島県]][[福島市]][[飯坂町 (福島市)|飯坂町]](旧国:[[陸奥国]]、[[明治]]以降は[[岩代国]])[[飯坂町 (福島市)|飯坂町]]にある[[温泉]]。歴史・規模ともに東北を代表する名泉の一つである
 
== 脚注概要 ==
宮城県の[[鳴子温泉]]、[[秋保温泉]]とともに奥州三名湯に数えられた。
福島市郊外北西(飯坂地域)の[[栗子山|栗子連峰]]の麓に位置する[[温泉街]]。「福島の奥座敷」の異名を持つ温泉一色の街。[[ヤマトタケル]]伝説にも登場する古湯で2世紀頃からの歴史を有する。
 
宮城県の[[鳴子温泉]]、[[秋保温泉]]とともに奥州三名湯に数えられ
== アクセス ==
 
* 鉄道 : [[福島駅 (福島県)|福島駅]]([[東日本旅客鉄道|JR東日本]]:[[東北新幹線]]・[[山形新幹線]]・[[東北本線]]・[[奥羽本線]]、[[阿武隈急行]]:[[阿武隈急行線]]、[[福島交通]]:[[福島交通飯坂線|飯坂線]])から[[福島交通飯坂線]]に乗り、[[飯坂温泉駅]]下車。
*飯坂町を流れる[[摺上川]]を挟んで60棟以上の旅館が立ち並んでいる。[[東北新幹線]][[福島駅 (福島県)|福島駅]]から私鉄[[飯坂電 : ]]に乗り換え[[飯坂温泉駅]]まで主要時間20分程度と非常に交通の便が良い。[[東北自動車道]][[福島飯坂インターチェンジ]]から15も10程度でたどり着ける
 
古くから[[歓楽街]]温泉として[[花柳界]]が存在したものの、温泉情趣に則った木造旅館が多く見られた。[[東北自動車道]]の整備や[[東北新幹線]]の敷設などによって[[首都圏 (日本)|首都圏]]などから団体旅行客が多数流入したことによって開発や投資が進んだ。観光客数のピークは[[1973年]]で約177万人にのぼったが、[[2009年]]には約81万人と半分以下にまで減っているものの<ref>[http://www.kahoku.co.jp/news/2010/09/20100923t62028.htm 聚楽が廃業旅館取得 ホテル敷地と一体整備 福島・飯坂]([[河北新報]] 2010年9月23日)</ref>、現代の需要に合わせて日帰り浴場や足湯なども充実している。飯坂温泉街の近隣を通る[[福島県道5号上名倉飯坂伊達線|福島県道5号上名倉飯坂伊達線(フルーツライン)]]沿いには福島を代表する観光スポットのくだもの狩りや直売所が立ち並ぶ場所が近くにあり、福島特産の[[モモ]]や[[ナシ]]、[[リンゴ]]や[[サクランボ]]と言ったくだもの全般を取り扱っている。
 
飯坂八幡神社例大祭の[[飯坂けんか祭り]]は福島市エリア随一の激しさと誇る祭事。日本三大けんか祭りに数えられる。西根神社境内に祭られる高畑天満宮の[[鷽替え|うそかえ祭]]は東北・北海道地方では唯一この神社のみで行われており、うそかえ祭開催時には平日でありながら数万人、一日中行列が絶えない程の観光スポットである。
 
== 泉質 ==
* [[単純温泉]]
 
== 歴史 ==
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西行が訪れた頃は、西行の親戚とも言われる信夫庄司佐藤基治が、福島県と山形県の一部を支配していた。佐藤庄司は、この地域を本拠地としており、温泉の湧く地であるため「湯の庄司」とも呼ばれた。佐藤 基治(さとう もとはる)は、奥州信夫郡(現在の福島県福島市飯坂地区)に勢力を張り大鳥城(現在の舘の山公園)に居城した武将で、源義経の忠臣、[[佐藤継信]]・[[佐藤忠信]]の父である。佐藤継信は、治承4年(1180年)、奥州にいた義経が挙兵した源頼朝の陣に赴く際、藤原秀衡の命により弟・忠信と共に義経に随行。義経の郎党として平家追討軍に加わったのち、屋島の戦いで討ち死にした。佐藤忠信は、京都の義経の屋敷に頼朝からの刺客である土佐坊昌俊が差し向けられた際、義経は屋敷に残った僅かな郎党の中で忠信を頼りとし、自ら門を飛び出して来て応戦している。
 
佐藤氏については、「十訓抄」(十巻)や「古事談」(四巻)に次のようなエピソードが紹介されている。俗に佐藤季春事件(1140)(1140)と言われるものである。それによれば奥州藤原氏二代基衡は、南奥州の防御の要として佐藤季春という人物を置いていて、奥州藤原氏累代の重臣であり、基衡とは乳兄弟で幼なじみでもあったのだが、当時の陸奥守で鎮守府将軍の藤原師綱(赴任11391139-1143-1143年頃)が、奥州藤原氏の資金の源である荘園の上がりを徹底調査しようとして、信夫庄に検察使送って調べようとした。ところが季春は、基衡の命を受けてその検察使を追い返してしまう。怒った師綱は権力にモノを言わせて、奥州藤原氏に迫る。結局、佐藤季春は、奥州政権を守るためにひとり自分が罪を背負って師綱に恭順の態度を示した。基衡は、砂金一万両さらに様々な宝物を師綱に用意して、佐藤季春を救おうとしたが、一族5人は斬首となってしまったということである。
 
一つの所に命を懸けたので、その思いは偲ぶ(信夫)がごとく、京都の方まで話が伝わり、十訓抄に紹介され、[[一所懸命]]の語源となったといわれる。
 
[[元禄1689年]]2年([[1689年元禄]]2年)5月2日、[[江戸]]から下って来た[[松尾芭蕉]]と弟子の[[河合曾良]]が泊まり、翌日に発った<ref>河合曾良『曾良旅日記』元禄2年5月2日条、3日条。岩波文庫『芭蕉おくのほそ道』98-99頁。</ref>。雨に降られた芭蕉らは、温泉に入って貧家に宿をとった。『[[おくのほそ道]]』によれば、土間に莚を敷き、囲炉裏のそばで寝たが、雨漏りがあり、蚤と蚊に悩まされ、芭蕉の持病が再発するなど散々であった<ref>松尾芭蕉『おくのほそ道』元禄2年5月朔日条。岩波文庫『芭蕉おくのほそ道』27頁。日付については同書同頁の注15を参照。</ref>。。[[山中温泉]]の好印象とは対照的である。この温泉を、曾良は飯坂、芭蕉は飯塚と日記には違う字で書いた。飯塚の例は他の文書にもあるという<ref>岩波文庫『芭蕉おくのほそ道』27頁注16。</ref>
 
尤も、この頃には既に温泉地としての体裁が整ってきたものの内湯はあまり見られなく、思い思いに宿を選んで、点在する外湯で湯治を施すようなスタイルであったといわれる。尚、飯坂という地名は、1300年頃、伊達家の分家(伊達政信)が飯坂姓を名乗り、一帯を開墾したことに因む。これがいつしか飯坂村の温泉、すなわち飯坂温泉と呼ばれるようになった。伊達政信は、1300年頃、古舘に「湯山城」を築き、飯坂氏を称したとされる。そのため、摺上川べりから同城に通じる坂道は「飯坂」と呼ばれた。
 
1300年以前の地名は、石那坂と呼ばれていたと考えられている。
 
尤も、この頃には既に温泉地としての体裁が整ってきたものの内湯はあまり見られなく、思い思いに宿を選んで、点在する外湯で湯治を施すようなスタイルであったといわれる。尚、飯坂という地名は、1300年頃、伊達家の分家(伊達政信)が飯坂姓を名乗り、一帯を開墾したことに因む。これがいつしか飯坂村の温泉、すなわち飯坂温泉と呼ばれるようになった。伊達政信は、1300年頃、古舘に「湯山城」を築き、飯坂氏を称したとされる。そのため、摺上川べりから同城に通じる坂道は「飯坂」と呼ばれた。1300年以前の地名は、石那坂と呼ばれていたと考えられている
 
飯坂温泉が、世に遍く知れ渡るようになったのは、[[江戸時代]]中期の享保年間の頃からで、各街道が整備されたことにより、周辺の庶民に加え、多くの旅人も訪れるようになった。
 
俳人歌人としては芭蕉の他、[[正岡子規]]や[[与謝野晶子]]らも訪れており、飯坂を詠んだ句碑等が建てられている。近世では[[ヘレン・ケラー]]が2度訪れたこともある。
 
戦前には、[[ボーリング]]による源泉の乱開発によって枯渇の危機を迎えたことがあったが、その後の規制によって源泉保護が行われている。
 
== 温泉街共同浴場 ==
飯坂町を流れる[[摺上川]]を挟んで旅館が立ち並んでいる(60数棟)。[[飯坂温泉駅]]前からの川沿いの道に、大型[[ホテル]]や旅館が並び、また飲み屋が数多く存在する。
 
古くから[[歓楽街]]温泉として[[花柳界]]が存在したものの、温泉情趣に則った木造旅館が多く見られた。しかし、[[東北自動車道]]の整備や[[東北新幹線]]の敷設などによって、[[福島駅 (福島県)|福島駅]]から近い[[立地]]もあり、[[首都圏 (日本)|首都圏]]などから団体旅行客が多数流入したことによって開発、投資が進み、中小規模の木造旅館は取り壊されたり改築されたりして、近代的なコンクリート造の宿泊施設に変貌し、ネオン街なども形成されていった。しかしながら、[[バブル崩壊]]後の団体客の減少やレジャー形態の変化により、歓楽街イメージの強い[[熱海温泉]]や[[鬼怒川温泉]]などと同様、飯坂温泉も客足が激減し、閉鎖されたホテル・旅館等も点在するなど、苦境に立たされている。観光客数のピークは[[1973年]]([[昭和]]48年)で約177万人にのぼったが、[[2009年]]([[平成]]21年)には約81万人と半分以下にまで減っている<ref>[http://www.kahoku.co.jp/news/2010/09/20100923t62028.htm 聚楽が廃業旅館取得 ホテル敷地と一体整備 福島・飯坂]([[河北新報]] 2010年9月23日)</ref>。賑わいを見せた歓楽街や[[風俗街]]も衰退し、[[ストリップ|ストリップ劇場]]などもまばらである。
 
飯坂温泉駅構内を出て、十綱橋方向を見ると芭蕉像が立っている。
 
飯坂町の西側にはフルーツラインがあり、直売所が立ち並び、新鮮な「なし・りんご・もも・さくらんぼ」などを売っている。
 
=== 共同浴場 ===
[[画像:Ticket counter's signboard in Iizaka spa.jpg|thumb|100px|入浴券売り場の看板(現在は取扱中止)]]
[[共同浴場]]は9つ存在する。そのなかでも鯖湖湯は飯坂温泉発祥の湯とされ、松尾芭蕉も浸ったとされる。日本最古の木造共同浴場であったが、[[1993年]]([[平成]]5年)に改築された。共同浴場は以下のとおりである。
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* 波来湯以外の共同浴場 大人(12歳以上)200円、子供(12歳未満)100円。
 
それぞれの共同浴場に設置されている[[自動販売機]]で入浴券を購入する([[2009年]]([[平成]]21年)[[4月]]までは自動販売機の設置は鯖湖湯のみで、他の共同浴場では自動販売機が設置されておらず、近くの商店やコンビニエンスストアであらかじめ入浴券を購入しなければならなかった)。
 
=== 名所 ===
[[File:Iizakaonsen-Sabakoyu.JPG|thumb|160px|鯖湖湯]]
; 温泉関連
* 鯖湖湯
* 鯖湖湯 - 日本最古の木造建築共同浴場
* [[医王寺 (福島市)|医王寺]]
; 邸宅
* 旧堀切邸
; 美術
* 明治・大正ガラス美術館
* 飯坂明治大正ガラス美術館 - 明治大正期の和ガラス3千点を展示。
* 福島[[片岡鶴太郎]]美術庭園 - 常設で陶器の作品など約70点を展示。著名人の企画展もあり。
* ギャラリー梟 - 常時4万点以上のフクロウコレクションを展示
; 寺社
* [[医王寺 (福島市)|医王寺]]
* 飯坂八幡神社 - 飯坂けんか祭
* 西根神社(高畑天満宮) - うそかえ祭
; 公園
* 花ももの里 - 福島盆地全体を象徴する花である[[ハナモモ|花桃]]の[[花木]]が80アールの敷地に咲き誇る。
 
== 交通 ==
* 鉄道 : [[福島駅 (福島県)|福島駅]]([[東日本旅客鉄道|JR東日本]]:[[東北新幹線]]・[[山形新幹線]]・[[東北本線]]・[[奥羽本線]]、[[阿武隈急行]]:[[阿武隈急行線]]、[[福島交通]]:[[福島交通飯坂線|飯坂線]])から[[福島交通飯坂線]]に乗り、[[飯坂温泉駅]]下車。
* 車 : [[東北自動車道]]・[[福島飯坂インターチェンジ]]から15分。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
* 旅行読売出版社刊 [[野口冬人]]著『全国温泉大事典』 ISBN4-89752-059-2
* 河合曾良『曾良旅日記』、萩原『芭蕉おくのほそ道』、岩波文庫、1979年。
* 松尾芭蕉『おくのほそ道』、『芭蕉おくのほそ道』、岩波文庫、1979年。
 
== 関連項目 ==
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* [[ふくしまスカイパーク]]
* [[温泉卵]]
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
* 旅行読売出版社刊 [[野口冬人]]著『全国温泉大事典』 ISBN4-89752-059-2
*河合曾良『曾良旅日記』、萩原『芭蕉おくのほそ道』、岩波文庫、1979年。
*松尾芭蕉『おくのほそ道』、『芭蕉おくのほそ道』、岩波文庫、1979年。
 
== 外部リンク ==
* [http://www.iizaka.com/ 飯坂温泉オフィシャルページ]
* [https://www.youtube.com/channel/UC2DQt3jFQdhUJ_VXTdGR3Tg 飯坂温泉旅館協同組合青年部] - Youtube公式ページ
* [https://www.youtube.com/watch?v=3YeWRjVZD6k モモッと大好きふくしま ももりんが行く! Vol.4 飯坂温泉編] - 福島市公式ユーチューブ
* [http://www.f-kankou.jp/onsen.htm 福島 温泉のご紹介] - 福島市観光コンベンション協会公式ページ
* [http://dc-fukushima.jp/kanko/disp.html?id=3 福島市の3温泉地(飯坂温泉、土湯温泉、高湯温泉)] - ふくしまデスティネーションキャンペーン
 
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[[Category:福島県の温泉]]
[[Category:福島市の地理]]
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[[en:Iizaka, Fukushima]]