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'''コンテナターミナル'''(Container terminal)とは、[[コンテナ]]の海上輸送と陸上輸送の結節点となる港湾施設の総称。コンテナ[[埠頭]]ともいう。
 
== ==
世界の海運の主流はタンカーや鉱石などの不定期船による輸送を除けば、長さが主に20フィートと40フィートとの2種類に標準化された鋼鉄製のコンテナを一定頻度で輸送する定期運航によって担われており、これらのコンテナは専用の[[コンテナ船]]という[[貨物船]]によって運ばれ、その多くがコンテナターミナルで積卸しされる。例えば日本が海外から輸入する雑貨の90%はこれらのコンテナによって運搬されている<ref name = "まるごと! 船と港"/>。世界経済のグローバル化に伴い進展し続ける、製造業の国際水平分業を支える国際海上コンテナ輸送において、海陸の結節点となるコンテナターミナルは、現代の港湾で最も重要な機能となっており、港湾におけるコンテナ取り扱い個数と国別の総計個数は、各国の経済力・国力を測る指標のひとつに挙げられている
 
== 施設 ==
[[コンテナ船]]が接岸して[[コンテナ]]を積み卸しする専用の岸壁を備え、これらのコンテナを運搬・保管する固定施設([[コンテナヤード]]、管理棟、ターミナルゲート、コンテナフレートステーション、メンテナンスショップなど)、および荷役用可動施設([[ガントリークレーン]]、トランスファークレーン、[[ストラドルキャリア]]など)で構成される。コンテナの積卸作業だけでなく一時的に保管する機能を有するほか、国際貨物の輸出入時の[[保税地域]]としての役割も果たしている<ref name = "船と海運のはなし"/>。
 
=== 荷役エリア ===
世界の海運の主流はタンカーや鉱石などの不定期船による輸送を除けば、長さが主に20フィートと40フィートとの2種類に標準化された鋼鉄製のコンテナを一定頻度で輸送する定期運航によって担われており、これらのコンテナは専用の[[コンテナ船]]という[[貨物船]]によって運ばれ、その多くがコンテナターミナルで積卸しされる。例えば日本が海外から輸入する雑貨の90%はこれらのコンテナによって運搬されている<ref name = "まるごと! 船と港"/>。
 
世界経済のグローバル化に伴い進展し続ける、製造業の国際水平分業を支える国際海上コンテナ輸送において、海陸の結節点となるコンテナターミナルは、現代の港湾で最も重要な機能となっており、港湾におけるコンテナ取り扱い個数と国別の総計個数は、各国の経済力・国力を測る指標のひとつに挙げられている。
 
コンテナターミナルの規模は、利用するコンテナ船の船型・寄港頻度、荷役方式などで異なる。世界規模のコンテナ港湾では連続した大水深岸壁と多数のガントリークレーンを備えた大規模コンテナターミナル群が存在する。一方でこれらの大規模コンテナターミナルと小型コンテナ船で結ばれたり、一定の経済圏域内の輸送を担ったりする小規模コンテナターミナルも数多い。
 
日本の場合は取り扱い個数やターミナル施設規模が世界的に見て中規模クラスのコンテナターミナル群を有する五大港([[東京港]]、[[横浜港]]、[[名古屋港]]、[[大阪港]]、[[神戸港]])と、単一の小規模コンテナターミナルを有する地方港に大別され、その数は2008年現在、総計62港に達する。大量集約・[[インターモーダル輸送|一貫輸送]]を特徴とし、主要航路に投入されるコンテナ船の大型化が進展しつつある国際コンテナ輸送において、日本のコンテナ港湾の数は世界的に見て過剰といえ、五大港の国際競争力を一定程度減殺しているのが現状である。
 
ターミナル施設の整備、管理運営スタイルは各国・各港によりまちまちだが、岸壁築造、航路浚渫、防波堤、埠頭用地造成といった一連の基本施設整備は公的セクター(国、地方自治体、港湾公社など)が主に担い、荷役機械、管理棟、ゲートなどいわゆる「上物施設」は施設を専用的に借り受ける民間セクターの投資によるケースが多い。
 
== 荷役エリア ==
[[ファイル:Container terminal Layout NT.PNG|thumb|400px|center|'''コンテナ・ターミナル内の概略配置'''<br>1.荷役エリア(エプロン) 2.コンテナヤード 3.ゲートエリア 4.コンテナ船 5.ガントリークレーン 6.管理棟 7.ゲート]]
[[ファイル:Gantry crane for Container (illustration) NT.PNG|thumb|300px|right|'''ガントリー・クレーン'''<br>1.オペレータ室 2.ブーム部 3.アウトリーチ 4.スパン 5.バックリーチ 6.機械室 7.レール 8.スプレッダー 9.コンテナ船]]
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1つのガントリークレーンで35-40個/時間程度の効率で荷役できる<ref name = "まるごと! 船と港"/><ref>25本/時間から48本/時間程度という情報もある。</ref><ref name = "船と船乗りの物語"/>。
 
=== コンテナヤード ===
[[ファイル:Zeichnung-VanCarrier.jpg|thumb|right|ストラドルキャリアの構造<br />図では手前半分が描かれており、コンテナを挟んで奥側にも同じ構造がある。車体は上部だけで繋がっており、本例では8個のタイヤの向きが細かく制御される。]]
[[ファイル:Kalmar Peinemann reach stacker.jpg|thumb|right|[[リーチスタッカー|リーチスタッカ]]]]
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コンテナヤードは保税地域であるため、外部の者の立ち入りは厳重に制限される。近年は国際テロ対策への対応が世界レベルで進展しているため、コンテナヤードを含むターミナル全域への出入り管理は一層厳しくなる傾向にある。コンテナのドアは発地で封印されており、船上はもとより、コンテナヤードでも税関職員による検査などを除けば安易に開封することは許されない<ref name = "船と海運のはなし">拓海広志著 『船と海運のはなし』 成山堂書店 2007年11月8日改訂増補版発行 ISBN 978-4-425-911226</ref>。
 
=== ゲートエリア ===
コンテナターミナルの中でエプロンとコンテナヤード以外がゲートの部分である。ゲート周辺は、文字通りコンテナ車両が出入りするターミナルゲートのほかに、管理棟、コンテナの開梱・梱包作業を行なう「コンテナフレートステーション」(CFS)、コンテナや荷役機器の補修などを行うメンテナンスショップ、コンテナ洗浄所などがある<ref name = "まるごと! 船と港">森隆行著『まるごと! 船と港』同文館出版 2008年3月19日初版発行 ISBN 978-4-495-57861-9</ref>。
 
== 規模 ==
== ターミナルオペレーター ==
{{See also|世界のコンテナ港の一覧}}
コンテナターミナルの規模は、利用するコンテナ船の船型・寄港頻度、荷役方式などで異なる。世界規模のコンテナ港湾では連続した大水深岸壁と多数のガントリークレーンを備えた大規模コンテナターミナル群が存在する。一方でこれらの大規模コンテナターミナルと小型コンテナ船で結ばれたり、一定の経済圏域内の輸送を担ったりする小規模コンテナターミナルも数多い。コンテナターミナルの規模はコンテナの容量を20フィートコンテナで換算した[[TEU]]という単位で表示する事が多い。
 
=== 世界 ===
2013年、世界には取扱量が[[TEU|20フィートコンテナ換算]]で1000万個を越えるコンテナ港が13港あった。世界最大のコンテナ港は[[:en:Port of Shanghai|上海港]]であり、約3362万個のコンテナが通過した。世界のTOP5は[[:en:Port of Shanghai|上海港]]、[[:en:Port of Singapore|シンガポール港]]、[[:en:Port of Shenzhen|深セン港]]、[[:en:Port of Hong Kong|香港港]]、[[釜山港]]である。
 
=== 日本 ===
日本の場合は取い個数やターミナル施設規模世界的に見て中規模クラスの1000万個を越えるコンテナターミナル群港は無い。取扱量が100万個有す越える五大港([[東京港]][[横浜港]][[名古屋港]][[大阪港]][[神戸港]])と、は世界的に見て中規模クラスのコンテナターミナル群である。しかし単一の小規模コンテナターミナルを有する地方港に大別され、その数はも含めて2008年現在総計62港に達すのコンテナ港がある。大量集約・[[インターモーダル輸送|一貫輸送]]を特徴とし、主要航路に投入されるコンテナ船の大型化が進展しつつある国際コンテナ輸送において、日本のコンテナ港湾の数は世界的に見て過剰といえ、五大港の国際競争力を一定程度減殺しているのが現状である。
 
== 所有・運営 ==
{{See also|ポート・オーソリティ|}}
ターミナル施設の整備、管理運営スタイルは各国・各港によりまちまちだが、岸壁築造、航路浚渫、防波堤、埠頭用地造成といった一連の基本施設整備は公的セクター(国、地方自治体、港湾公社など)が主に担い、荷役機械、管理棟、ゲートなどいわゆる「上物施設」は施設を専用的に借り受ける民間セクターの投資によるケースが多い。
 
=== ターミナルオペレーター ===
{{main|メガターミナルオペレーター}}
コンテナターミナルを運営する事業者は「ターミナルオペレーター」と呼ばれる。特に世界規模でコンテナターミナルを運営する国際的な巨大企業は[[メガターミナルオペレーター]]と呼ばれ、上位5社で2004年の国際コンテナ輸送の取扱総数の約45%、上位22社で約65%を占めている。<ref name = "まるごと! 船と港"/>