「少額訴訟制度」の版間の差分

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*個人間の[[借金|金銭の貸し借り]]で少額なもの
 
などでは、わざわざ裁判に持ち込むには、時間の面や費用の面で見合わず、結局、泣き寝入りせざるをえなくなる。そこで、海外の簡便な訴訟制度([[:en:Small_claims_court|Small claims court]])をモデルとして、少額の金銭のトラブルに限ってり、個人が自分で手続きを行える様に配慮し、訴訟費用を抑え、また、迅速に審理を行う制度として[[1998年]](平成10年)に設けられた<ref>旧民事訴訟法でも訴額90万円以下の訴訟については簡易裁判所において迅速な審理を目指していたとされるが、実際には通常の審理と手続きが変わらず費用も相応にかかるもので、現行の少額訴訟制度に比べると個人が利用するには敷居が高かった。</ref>。当初は訴額30万円以下の訴訟に限ったが、予想を超える利用があり、また異議申立ても少なかったことから、概ね制度としては好評と見られたようであり、[[2003年]](平成15年)の民事訴訟法改正で取り扱い枠が広げられ、現在は訴額60万円以下を取り扱う。
 
== 特徴 ==
債権の目的が現金に限られ、また取り扱う金額に制限がある。一方で、迅速に判決を得られる。簡便・迅速に審理を行うため、通常訴訟に比べて下記の様な特徴や制約がある。
*同一の[[簡易裁判所]]において同一の年に少額訴訟ができる回数は10回までであり、訴えの際にその年に少額訴訟を求めた回数を申告しなければならない([[b:民事訴訟法第368条|第368条]]第1項、第3項、[[民事訴訟規則]]第223条)。
**個人の利用を想定した制度であり、業としての債権回収に多用される事や、その為に個人の訴訟手続きが圧迫されるのを防止する。
**回数を偽って申し立てた場合は、10万円以下の[[過料]]に処せられる([[b:民事訴訟法第381条|第381条]]第1項)。
*通常は1日で審理を終え、その日の内に判決が下される([[s:民事訴訟法#370|第370条]]、[[s:民事訴訟法#374|第374条]])。
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**その場で吟味が出来ない証拠等がある場合や、鑑定が必要な場合や、口頭弁論が1回で終わらないと判断された場合は、裁判官の職権で通常訴訟に移行される。なお、これは[[原告]]・[[被告]]とも拒否できない。
*被告は通常訴訟への移行、被告側管轄の裁判所への移送を申し立てる事ができる([[b:民事訴訟法第373条|第373条]]第1項)。
**通常訴訟への移行は口頭弁論での陳述前までに行う必要がある。また、原告は通常訴訟への移行を拒否できない。
**被告側管轄の裁判所への移送申立も原告は拒否はできない。ただし、移送申立却下はあり得され。尚、ことが多い<ref>これまでの訴訟統計上、移送申立しての却下率は94~95%と非常に高い。</ref>
*被告は[[反訴]]が出来ない([[b:民事訴訟法第369条|第369条]])。
**反訴も扱うと審理が複雑になり簡便・迅速な審理を旨とする少額訴訟制度の目的から逸脱するので扱わない。
**反訴をする場合は、通常訴訟への移行を申し立てる。
*被告に資力がない場合は、[[判決]]で分割払い、支払の猶予などを定めることができる([[b:民事訴訟法第375条|第375条]]第1項)。
*[[控訴]]ができない([[s:民事訴訟法#377|第377条]])。ただし、判決に不服がある場合は異議申立てができる([[b:民事訴訟法第378条|第378条]])。
**異議審は口頭弁論前まで差し戻され、その後の訴訟の流れは通常訴訟と同じであるが、異議後の判決に対して[[控訴]]が出来ない([[b:民事訴訟法第380条|第380条]]1項)但し[[特別上告]]は可能(第380条2項)。
**裁判所も裁判官も交代になる控訴審や上告審と違い、異議審は同じ裁判官が審理するので、新たな証拠を出さない限り、原則として判決が覆ることはない。
 
== 対処 ==
また被告は少額訴訟制度において反訴出来ないので、審理に入る前に通常訴訟への移行を申し立てた上で反訴を提起する必要がある。
少額と言えども、適切な対応をとる必要がある。[[答弁書]]その他の[[準備書面]]を出さずに[[口頭弁論|口頭弁論期日]]に欠席すれば[[擬制自白]]が成立し、自然に敗訴となり、強制執行可能な少額訴訟判決が出される。
 
また、少額と言えども、被告は適切な対応をとる必要がある。[[答弁書]]その他の[[準備書面]]を出さずに[[口頭弁論|口頭弁論期日]]に欠席すれば[[擬制自白]]が成立し、自然に敗訴となり、強制執行可能な少額訴訟判決が出される([[欠席裁判]])
また、反訴は出来ないので、審理に入る前に通常訴訟への移行を申し立てた上で反訴を提起する必要がある。
 
出頭せず[[欠席裁判]]の結果、有効な[[債務名義]]となりいつでも[[強制執行]]できる状態になった場合には、当該少額訴訟判決が確定する前であれば、[[s:民事訴訟法#378|民事訴訟法第378条]]の[[異議]]で、確定後であれば、[[民事執行法]]上の請求異議の訴えで争うしかない。いずれのケースでも強制執行が開始された場合は、裁判所が定める請求金額の3分の1ほどの担保を[[供託]]などして[[強制執行停止決定]]を得る必要がある。
 
== 課題 ==
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== 外部リンク ==
[http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_02_02/ 少額訴訟] - 裁判所ウェブサイト
[http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/1902/ これから少額訴訟を利用しようとする方へ] - 裁判所ウェブサイト
 
[[Category:民事訴訟法|しようかくそしようせいと]]