[[File:LeonSinksBlackWtrMay05.jpg|thumb|240px|right|北[[フロリダ]]の湿地を流れる小川。水が、濁っておらず、タンニンにより茶色になっている、'''ブラックウォーター'''である。]]
陸水学における'''ブラックウォーター'''([[英語]]:blackwater)とは、木の茂った湿地や沼地を通る、水深が深く、流れが遅い[[河川]]のことである。枯れ葉などが川底に堆積しているので、それから[[タンニン]]がしみ出して、流れている水は透明な黒〜茶色に着色され、[[酸性]]河川となっている。代表的なブラックウォーターは、南アメリカの[[アマゾン川]]水系に多い。ここでいう"ブラックウォーター"とは、[[陸水学]]、[[地質学]]、[[地理学]]、そして[[生物学]]的な研究によって定義される物であるから、流れている水が黒い川がすべてブラックウォーターであるという訳ではない。
ブラックウォーターは、他の河川よりも栄養が豊富で、[[イオン強度]]も[[雨|雨水]]よりわずかに高い<ref>{{Cite journal |doi=10.2307/2989823 |last=Janzen |first=D H |title=Tropical Blackwater Rivers, Animals, and Mast Fruiting by the Dipterocarpaceae |journal=Biotropica |volume=6 |issue=2 |month=July |year=1974 |pages=pp. 69–103 |jstor=2989823}}</ref><ref>{{Cite journal |last=Sioli |first=Harald |year=1975 |title=Tropical rivers as expressions of their terrestrial environments |journal=Tropical Ecological Systems/Trends in Terrestrial and Aquatic Research |pages=pp. 275–288 |publisher=Springer Science+Business Media|Springer-Verlag |location=New York City}}</ref>。この特徴によって、ブラックウォーターでは、他の河川とは大きく異なる[[生物相|動植物相]]がみられる。ブラックウォーターと、その他の河川が集まっている地域では、特に多様な生物が生息していることが多い。
== ブラックウォーターと他の河川の比較 ==
| 5.1±0.6
|}
ブラックウォーターと、他の河川では、[[#Table 1|表1]]に示されるように、イオン組成が大きく異なる。ブラックウォーターは、酸性が強いため、土壌中の[[アルミニウム]]がイオン化しやすい状態にあり、結果としてその質量濃度が他の河川よりも大幅に高くなっている。他にみられる大きな違いとしては、他の河川と比べて、[[ナトリウム]]、[[カルシウム]]、[[カリウム]]の濃度が非常に低いことがある。このため、それらの金属を殻の形成のために必要とする、[[巻貝類]]などは、ブラックウォーターではあまりみられない。溶存イオン量が少ないことで、ブラックウォーターで流れている水の[[電気伝導度]]も、[[雨|雨水]]と同じような低い値になっている。
ブラックウォーターと、そうでない河川は、生息している動植物プランクトンについても違いが有る。[[#table3|表2]]では、位置的に数メートルほどしか離れていないそれぞれの河川で捕獲されたプランクトンの数を比較している。この表で取り上げている[[:w:Japurá River|Japura]]川は、[[ネグロ川]]ほど極端なブラックウォーターではないのだが、[[ワムシ]]類の豊富さや、[[ミジンコ]]類や、[[昆虫]]の[[幼虫]]、[[ダニ]]類の少なさなど、他河川とのブラックウォーター特有の違いがみられる。また、ブラックウォーターと他河川が合流している地点では、豊富な種類の生物が棲息していることが分かる。このような合流地点は、森林の外でも幼魚の餌となる[[甲殻類]]が豊富なため、この地点にやってきて産卵をする魚も多くいる <ref>{{Cite web |title=Comparison between white and black waters |accessdate=2006-05-21 |url=http://www.amazonian-fish.co.uk/indexc30.html |work=Amazonian Fishes and their Habitats |publisher=Pisces Conservation Ltd}}</ref>。
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