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{{出典の明記|date=2014年1月}}
'''概日リズム'''(がいじつリズム、{{
▲'''概日リズム'''(がいじつリズム、{{lang-en|circadian rhythm}} サーカディアン・リズム)とは、約24時間11分周期で変動する[[生理現象]]で、[[動物]]、[[植物]]、[[菌類]]、[[藻類]]などほとんどの生物に存在している。英名である「{{lang|en|circadian rhythm}}」は、ラテン語の「約、おおむね」を意味する「{{lang|la|circa}}」と、「日」を意味する「{{lang|la|dies}}」から名付けられた。つまり「おおむね1日」の意味である。普段は(一般的には)「'''[[体内時計]]'''」などと言われる。
日、週、季節、年などの単位で経時的に変化する生物のリズムを研究する学問を[[時間生物学]]という。
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== 歴史 ==
内在的な概日リズムは、[[1729年]]にフランスの科学者ジャン゠ジャック・ドルトゥス・ドゥ・メラン ([[:en:Jean-Jacques d'Ortous de Mairan|Jean-Jacques d'Ortous de Mairan]]) によって初めて科学論文として報告された。彼は[[植物]]([[オジギソウ]])の葉が、外界からの刺激がない状態でも約24時間周期のパターンで動き続けることに気づいた([[就眠運動]])([http://www.hhmi.org/biointeractive/museum/exhibit00/02_1.html ハワード・ヒューズ医療研究所「仮想博物館」を参照])。
== 定義 ==
概日リズムは、次の3つの基準で定義
# そのリズムが恒常的な状態(例えば恒暗状態)でも約24時間の周期を持続する。
# そのリズムの周期が光パルスや暗パルスによってリセットされる。
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概日リズムは進化上最も古い細胞に起源を持ち、昼間の有害な[[紫外線]]下での[[DNA複製]]を回避するために獲得した機能であると考えられている。結果として複製は夜間に行われることとなった。現存する[[アカパンカビ]] (Neurospora) は、このような時計制御された複製機構を保持している。
現在知られている中で最も単純な概日リズムを持っている生物は、[[真正細菌]]の[[シアノバクテリア]] (cyanobacteria) である。最近の研究では、シアノバクテリア (Synechococcus elongatus) の概日リズムは、核となるたった3つのタンパク質を試験管の中に入れるだけで再構築できることが実証された。この時計は[[アデノシン三リン酸|ATP]]を補給すれば、22時間のリズムを何日間も持続することができる。以前の学説では概日リズムは[[デオキシリボ核酸|DNA]]の転写翻訳フィードバックループ機構に基づいているとされていたが、この真正細菌の研究によって必ずしもそうではないことが示された。しかし、この説は[[真核生物]]においては、まだその通りであると考えられている。真正細菌と真核生物の概日リズムは同様の基本構造(入力
== 動物の概日リズム ==
概日リズムは人を含む動物において、[[睡眠]]や[[摂食]]のパターンを決定する点において重要である。[[脳波]]、[[ホルモン]]分泌、細胞の再生、その他の多くの生命活動には明確な概日リズムが存在している。1970年に{{
=== 明暗サイクルの影響 ===
概日リズムは明暗サイクルに関係している。動物は完全な暗闇の中で長期間飼育されると、自由継続リズム ({{
外界からの刺激を絶たれた環境下で生活している人は、しっかりとした睡眠・覚醒リズムを示すが、この睡眠・覚醒リズムは[[体温]]や血中[[メラトニン]]量のリズムとずれた状態になることがある。このような体内リズムの乱れは規則正しい明暗サイクルを与えることで解消される。この研究は、[[宇宙船]]の中の環境設計に影響を与えた。宇宙船の中に明暗サイクルを模擬した環境を作ることで[[宇宙飛行士]]の健康を維持するのである。
=== 視交叉上核 ===
[[哺乳類]]における[[時計中枢]]は[[視床下部]]の[[視交叉上核]] ({{
視交叉上核は日長の情報を網膜から受け取り、他の情報と統合し、[[松果体]] ({{
=== 視交叉上核以外の時計中枢 ===
近年、体のいくつかの細胞が時計中枢である視交叉上核の支配下にないことを示す証拠が現れてきた。例えば、[[肝臓]]の細胞は光より摂食に応答するようである。また、食餌性の概日リズムの形成には視床下部の背内側核が関与しているといわれている。
1997年
細胞時計を司る遺伝子には、陽性制御の''Clock''
=== 概日リズムの乱れ ===
リズムの乱れは通常、短期的に良くない影響をおよぼす。多くの旅行者は[[時差ぼけ|時差ボケ]]として知られる状態を経験したことがあるだろう。主な時差ボケの症状として、[[疲労]]、[[失見当識]]、[[不眠]]などがあげられる。いくつかの疾患、例えば[[双極性障害]] ({{
長期的なリズムの乱れは、体の健康を深刻に悪化させる。特に心血管病を発生・悪化させる。体内時計を考慮して投薬を行うことで、薬の効力を増し、副作用や毒性を減らすことができる可能性が指摘されている。例えば、[[アンジオテンシン変換酵素阻害薬]] ({{Lang|en|angiotensin converting enzyme inhibitors; ACEi}}) の時間治療は夜間の血圧を降下させ、左心室の組織再構築([[リモデリング]]) ({{Lang|en|left ventricular (reverse) remodeling}}) に良い影響を与える。
=== 概日リズムと疾患 ===
概日リズムにより、上記のように内分泌・代謝系および自律神経系も影響を受ける。
* [[高血圧]]: 内因性[[カテコラミン]]は、ヒトにおいて活動を開始する起床時〜午前中にかけて分泌される。[[早朝高血圧]]が引き起こされる。また概日リズムを喪失すると、夜間に血圧の下がらない
* [[冠攣縮性狭心症]]: [[副交感神経]]優位となる夕刻に発作が多く見られる。
* [[気管支喘息]]: 日中は内因性[[ステロイド]]ホルモンが分泌されている。減少する夕刻〜明け方にかけて発作が多く見られる
* [[糖尿病]]: 午前中は午後と比べ、カテコラミンやステロイドの影響を受け、[[インスリン]]需要が高く推移することが多い。インスリン注射療法では午前中の投与量を多くする。
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== 光と生体時計 ==
光が
光の強さに加え光の[[波長]]([[色]])も、時計を調節する能力を決める重要な因子である。光受容蛋白質である[[メラノプシン]]は青色光
== 脚注 ==
{{Reflist}}
== 関連項目 ==
* [[生物時計]]
* [[時間生物学]]
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* [[ヴァーストゥ・シャーストラ]]
== 外部リンク ==
* {{Spedia|Circadian_rhythms|Circadian rhythms}}
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