「フォッケウルフ Ta152」の版間の差分

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クルト・タンク設計による[[Fw190]]はドイツ空軍主力であった液冷エンジン搭載の[[Bf109]]の補助として開発された空冷エンジン搭載の戦闘機であり、初飛行は1939年6月1日{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=23}}、実戦デビューが1941年8月である{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=47}}。だが、当時のBf109E型が搭載していた[[DB601|DB601A]]が離昇出力1075馬力にすぎなかったところ、初期の量産型Fw190A-3では離昇出力1700馬力を発揮する[[BMW 801]]Dを装備しており、また設計の優秀さも相まって特に低高度 - 中高度では優れた飛行性能を発揮し、一時期は連合軍機を圧倒した{{sfn|長谷川|2007|p=60}}{{sfn|野原|2006|p=70}}。余裕のある馬力と頑丈な機体は戦闘爆撃機型や突撃機型など様々な発展型を産み、頑丈でスパンの広い降着装置は重量の増加に対応したほか、前線の飛行場での運用も容易であった。まさしくタンクの期待したとおり、Fw190はさながら軍馬の様に各地の戦場で活躍を見、当初の補助戦闘機との枠を越え、ドイツ空軍の第二の主力戦闘機として大いに活躍した{{sfn|野原|2006|p=70}}。
 
だがFw190には弱点があった。搭載するエンジン、BMW801は、一段二速の過給器を備え高度 5600m-5700mで1440馬力を発揮したが{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=190}}{{sfn|「丸」編集部|2000|p=66}}、高度6000-7000mを超えると出力が急激に低下した{{sfn|野原|塩飽|1993|p=79}}{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=399}}{{sfn|「丸」編集部|2000|p=66}}。これらはデビュー当時には問題にならなかったが、将来的に連合軍の[[重爆撃機]]の[[迎撃]]やその[[護衛戦闘機]]との戦闘を考えると憂慮すべき問題であった{{sfn|長谷川|2007|pp=63-64}}。この為タンクは1941年初めから高々度性能改善の必要性を訴え{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=399}}、3つの改善のプランが練られた。一つはBMW 801の性能強化を図った'''Fw190B'''であったが、これは液体[[亜酸化窒素]]を使用する出力強化装置[[GM-1]]では全く所期の性能が得られず、さりとて[[排気タービン]]の早期の実用化は見込み薄と言うことで廃案になった{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|pp=402-403}}。液冷倒立V型12気筒[[DB603]]エンジンを搭載した'''Fw190C'''は排気タービンの耐久性・信頼性に難がありさらに操縦性もよくないと言うことでやはり廃案{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|pp=406-407}}。最終的に液冷倒立V型12気筒[[Jumo213|Jumo213A-1]]エンジン(離昇出力1776馬力、高度5800mで1600馬力)を搭載し胴体を若干延長したた'''Fw190D-9'''「ドーラ Dora」が採用され、1944年8月より量産されることとなった{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=411}}。この型は相当な性能向上を果たし連合軍の新鋭機に十分対抗できるものではあったものの、排気タービンも、[[与圧]][[キャビン]]も装備しておらず、本格的な高々度戦闘機とは言えなかった{{sfn|長谷川|2007|pp=70-71}}{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=409}}。
 
そこでタンクはさらなる改良型を計画していた。本格的な高々度戦闘機、計画名称Fw190Ra-4{{sfn|野原|2009|p=48}}こと、'''Ta-152'''である。なお、クルト・タンクはこれまでの功績を認められ、機体名に設計者のイニシャルを付与する栄誉を得ている{{sfn|飯山|2007|p=121}}{{sfn|フラッペ|ローラン|1999|p=454}}{{sfn|野原|2006|p=80}}{{sfn|矢吹|伊吹|市ヶ谷|嶋田|2005|p=37}}{{sfn|長谷川|2007|p=148}}{{refnest | group = * | タンクは1943年に[[名誉博士]]となっており、それが影響しているとする文献もある{{sfn|成美堂出版編集部|2000|p=22}}。}}<ref group = *>ただし航空情報編「ドイツ軍用機の全貌」47頁(1965年、酣燈社) では、ドイツ航空省 (RLM) が「新たな戦闘機には主任設計者の名称を含める」と定めたと記されている。</ref>。一説には[[DB603]]エンジンの使用を希望するタンクに空軍側が[[Jumo213]]使用をもちかける上での取引の結果とも言われる{{sfn|飯山|2004|p=396}}。いずれにせよこの型の機体名はTa-であるが、あくまでもFw190の発展形である。