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{{ウィキプロジェクトリンク|心理学}}
'''心理学'''(しんりがく、{{lang-la|psychologia}} プシューコロギア、{{lang-en|psychology}} サイコロジー)とは、人の[[心]]のはたらき、あるいは人や[[動物]]の[[行動]]を研究する[[学問]]のことである。[[ギリシャ文字]]の[[Ψ]](英:PSI)が心理学のシンボルとして、しばしば用いられる。
 
一般に[[心]]と呼ばれるもの(古代ギリシアでψυχή [[プシュケー]]と呼ばれたもの)の様々な働きである心的過程と、それに基づく行動を探求する[[学問]]である。現在{{いつ|date=2015年2月}}盛んに研究されている心理学は、[[環境]]と[[生活体]](人を含む動物)の相互作用としての[[認知]]と[[行動]]を研究する学問である。
 
==語源==
[[心]]は古代ギリシアで、ψυχή [[プシュケー]]と呼ばれた。ラテン語でpsychologia(プシューコロギア)である。一般に[[心]]の様々な働きである心的過程と、それに基づく行動を探求する[[学問]]である。
 
[[ギリシャ文字]]の[[Ψ]](英:PSI)が心理学のシンボルとして、しばしば用いられる。
 
== 大分類 ==
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===心理学の創世記===
{{Seealso|催眠}}
18世紀には、[[フランツ・アントン・メスメル]]が動物磁気説による治療行為を行い、後の[[催眠]]へとつながっていった。心理療法における[[ラポール]]の概念などもこの流れで生み出された。
 
1870年代には、ドイツのヴィルヘルム・ヴントと、アメリカのウィリアム・ジェームズ、心理学の研究室を設け、心理学の諸理論を提唱した。
 
上述した大槻快尊の説明によれば、[[19世紀]]後半(一般的には[[1879年]])に、心理学を独立した科学分野としたのは、[[ドイツ]]の[[ヴィルヘルム・ヴント]]である。しかしながら、当時の日本はドイツ医学の影響を受けていたのでこうのように説明されるが、アメリカでは1875年に心理学者[[ウィリアム・ジェームズ]]が、その心理学を創設している。
 
アメリカでは、1890年にはジェームズが大著『[[心理学原理]]』を公開し、その2年後にはこれを短縮した『心理学要論』が公開され教科書として広まった。1892年には、[[アメリカ心理学会]]が、[[ウィリアム・ジェームズ]]の心理学を元にして設立される。
 
1900年には、ドイツのウィーンで、[[ジークムント・フロイト]]は神経症とヒステリーの研究を行っていた[[ジークムント・フロイトは、[[精神分析学]]を創設し1890年に『夢分析』を出版してその初期の理論を公開し1896年に精神分析という言葉を用いた。人々は[[無意識]]の影響を受けて行動しているという理論であを公表する。
 
===精神分析===
ドイツのウィーンで、[[ジークムント・フロイト]]は神経症とヒステリーの研究を行っていた。フロイトは、[[精神分析学]]を創設し1890年には『夢分析』を出版してその初期の理論を公開し、1896年に精神分析という言葉を用いた。人々は[[無意識]]の影響を受けて行動しているという理論である。
{{Main|精神分析学}}
1885年には、[[ジークムント・フロイト]]はパリに行き、催眠によってヒステリー患者を治療しようとしていたシャルコーの下で学び、同僚と共に1893年に『ヒステリーの研究』出版したが、その限界を感じ[[自由連想法]]を用い始めた<ref name="フロイドの系譜"/>。1894年以降、フロイトは[[精神分析学]]の基礎となる理論を発見し、1900年には『夢判断』を出版してその初期の理論を公開し、1902年には、ウィーンの医者が群れとなって精神分析学研究のセミナーに参加し比較的短期間で世界規模となる<ref name="フロイドの系譜"/>。最初の国際精神分析学会は1908年、最初の『国際精神分析学雑誌』は1909年に出版されたが、追従者のアドラーは1910年に、ユングは1913年は離れていった<ref name="フロイドの系譜"/>。1916年までは研究はドイツ語圏に限られており、アメリカやイギリスに飛び火したのは、1918年以降であり、1920年には『精神分析学入門』が翻訳され読者を広く読者を得、ニューヨークの研究研究所は1931年に開設された<ref name="フロイドの系譜">{{Cite book|和書|author=J.A.C.ブラウン|coauthors=(翻訳)宇津木保、大羽蓁|title=フロイドの系譜―精神分析学の発展と問題点|publisher=誠信書房|date=1982|isbn=441442710X|pages=28-29、42-43、59-60、92-93}} ''Freud and the Post-Freudians'', 1961</ref>。
 
娘の[[アンナ・フロイト]]は[[自我心理学]]を提唱した。フロイトに師事した[[カール・グスタフ・ユング]]は[[分析心理学]]を提唱、ユング心理学はユング派としてアメリカで[[プロセス指向心理学]]などを生んだ。この時代には、フロイトや[[現象学]]の影響をうけた[[ルートヴィヒ・ビンスワンガー]]の[[現存在分析]]、また [[ヴィクトール・フランクル]]による[[ロゴセラピー]]がある。[[対人関係療法]]は、新フロイト派とよばれる[[ハリー・スタック・サリヴァン]]らの流れを組む。
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===行動主義の台頭と変容===
{{SeealsoMain|行動主義心理学}}
20世紀初頭に[[行動主義心理学]]が登場する。これは戦争をはさんだ軍事学的な統制にも用いられた。動物実験により1903年には[[イワン・パブロフ]]による[[古典的条件づけ]]が発表され、1938年いは[[バラフ・スキナー]]による[[オペラント条件づけ]]など研究登場し盛んになった。治療に関しては、1960年に[[ハンス・アイゼンク]]が『行動療法と神経症』を出版する。行動主義のその行きすぎた傾向においては、心という概念なしに客観的な心理学としての観察研究ができるとした。
 
20世紀半ばには、アメリカでは精神分析と行動主義は2大勢力であった。しかし外側から与えられる報酬と罰が人間の学習の決定的条件であるとする行動主義は様々な矛盾に陥った。[[ノーム・チョムスキー]]が1957年に提唱した[[普遍文法]]は、人は生得的に言語能力を持っているということであり、報酬と罰によって学習するという行動主義の理論に疑問を呈した。
 
===人間性の回復===
{{Main|人間性心理学}}
第三の勢力は、[[人間性心理学]]である。1960年代には、[[人間性心理学]]が、[[自己実現理論]]を提唱した[[アブラハム・マズロー]]らによって組織される。1942年に、[[カール・ロジャース]]が『カウンセリングと心理療法』を出版し、[[来談者中心療法]]などを提唱する。ロジャースは、集団に対応させた[[エンカウンターグループ]]も開発した。アメリカの[[ビッグサー#ビッグサーの芸術家と大衆文化|ビッグサー]]のエサレン・インスティチュートを中心として、[[ニューエイジ]]などもくわわり、瞑想といった技法も研究されるようになった。[[ゲシュタルト療法]]は、エサレンを中心として発達した。
 
1969年には[[トランスパーソナル心理学]]会が、LSDによる神秘体験を研究していた[[スタニスラフ・グロフ]]と、上記人間性心理学のアブラハム・マズローによって設立される。瞑想などの伝統技法は第3世代の認知行動療法に影響した。
 
===行動から認知へ===
{{Main|認知心理学}}
1967年にナイサーが[[情報処理]]の理論を取り入れた『認知心理学』という著作を公開し新しい時代を形作っていった。観察研究ができない精神分析の無意識と、行動主義の、行動および報酬と罰にしか焦点を当てない心理学ではなく、思考などの観察可能な認知に焦点を当てた手法が登場した。
 
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== 誤解 ==
* 、{{要出典範囲|[[ジークムント・フロイト]]の[[精神分析]]や[[カール・グスタフ・ユング]]の理論などは、心理学アカデミズムの外側で生まれ育ったものであり|date=2015年5月}}、また半世紀にわたって科学的心理学の立場から多くの批判がなされてきた。それにも関わらず、「フロイトが心理学の祖である」、「精神分析こそが心理学の基礎であり、本流である」というような、時代錯誤的な誤解が存在する。
* 「[[心理検査|心理テスト]]、[[カウンセリング]]、[[心理療法|サイコセラピー]]といった臨床領域が心理学研究の中心的課題である」とか、「[[カウンセラー]]や[[精神科医]]は皆、心理学の専門家である」といった、事実とは異なる認識が広く流布している。こうした通俗的な理解を、「[[ポピュラー心理学]]」ないし「通俗心理学」と呼ぶ事がある。「このような通俗的な理解・誤解が好まれ、広まる現象も、心理学に対する社会の要請の現われであるとして無視すべきでない」という意見もある{{要出典|date=2014年9月}}。またこの現象自体が心理学や社会学の研究対象となっている。