「地中貫通爆弾」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Addbot (会話 | 投稿記録)
m ボット: 言語間リンク 7 件をウィキデータ上の d:q1009623 に転記
構成の変更 他
1行目:
'''地中貫通爆弾'''(ちちゅうかんつうばくだん、{{lang-en-short|Bunker Buster}}:'''バンカーバスター''')は、硬化目標や地下の目標を破壊するための特殊な航空[[爆弾]]である。多くが高空からの落下による高速によって、地上目標の[[コンクリート]]や[[盛土]]を貫通したのち地中深くで爆発する。'''掩蔽壕破壊弾'''や'''特殊貫通弾'''とも呼ばれる。
 
'''掩蔽壕破壊弾'''や'''特殊貫通弾'''とも呼ばれる。
この種の兵器は、[[第二次世界大戦]]中に登場した。
当時の[[イギリス]]は[[ドイツ国防軍|ドイツ軍]]の[[Uボート]]による[[通商破壊]]で甚大な被害を受けていた。[[イギリス軍]]はUボート戦力を殲滅しようとしたが、Uボートは[[Uボート・ブンカー|ブンカー]]と呼ばれる頑丈なコンクリート製の掩蔽物下に停泊していたため、通常の爆弾では攻撃しても被害を与えられなかった。そこでイギリス軍は、[[トールボーイ]]や通称「地震爆弾」と呼ばれた[[グランドスラム (爆弾)|グランドスラム]]などの超大型爆弾による攻撃を行った。これはブンカーに対して十分有効であり、Uボートのうち何隻かを破壊したが、あまりにも巨大で効率的な兵器とは言い難かった。
 
== 概要 ==
また、イギリスは[[ロンドン]]地下に強固な[[防空壕]]を作り政府・軍[[司令部]]など重要施設を移したため、ドイツ軍は防空壕破壊用の地下貫通爆弾で空爆を行った。この地下貫通爆弾は鉄鋼弾頭がその重量の80%を占めており、地表および防空壕天井を貫通した後に炸薬が爆発するように作られていた。ドイツ軍の地下貫通爆弾が登場すると、イギリスは防空壕をさらに堅固なものに改装するなど、攻撃側と防衛側での競い合いが続いた。
高空から投下されることによる位置エネルギーによって大きな速度を得、地上目標の[[コンクリート]]や[[盛土]]を貫通したのち地中深くで爆発する。
 
第二次大戦後の[[冷戦]]時代には、硬目標に対しては[[核兵器]]を使用することが想定されていたため、通常弾頭と高い貫通能力を備えた航空爆弾開発されなかった。しかし、[[湾岸戦争]]で核兵器を使用せずに地下施設を破壊する必要が生じ、当初はグランドスラムのような爆薬を多量に持つ兵器の使用が考慮されたが、結局、急ぎ新しい爆弾を設計・製造することになった。これによって、一般にバンカーバスターとして知られる[[GBU-28]]が作られた。この2トンの爆弾の他に、現在では若干小さいものも開発され、以降[[アフガニスタン戦争]]や[[イラク戦争]]でも用いられた。高空からの[[自由落下]]による高速度が利用されるが、投下後に[[ロケット]]ブースターで加速させるものも存在した。貫通能力が使用方法によって異なり、自由落下の場合に粘土層を30[[メートル|m]]、ロケットで加速した場合に鉄筋コンクリート壁を6.7m貫通したとされる。落下・貫通時の物理力に耐えるために弾殻は厚く、貫通距離が求められるものは弾体が細長くなる。
 
== 歴史 ==
この種の兵器は、[[第二次世界大戦]]中に登場した。当時の[[イギリス]]は[[ドイツ国防軍|ドイツ軍]]の[[Uボート]]による[[通商破壊]]で甚大な被害を受けていた。[[イギリス軍]]はUボート戦力を殲滅しようとしたが、Uボートは[[Uボート・ブンカー|ブンカー]]と呼ばれる頑丈なコンクリート製の掩蔽物下に停泊していたため、通常の爆弾ではさせても被害を与えられなかった。そこでイギリス軍は、[[トールボーイ]]や通称「地震爆弾」と呼ばれた[[グランドスラム (爆弾)|グランドスラム]]などの超大型爆弾による攻撃を行った。これはブンカーに対して十分有効であり、Uボートのうち何隻かを破壊したが、あまりにも巨大で効率的な兵器とは言い難かった。
 
また、イギリスは[[ロンドン]]地下に強固な[[防空壕]]を作り政府・軍[[司令部]]など重要施設を移したため、ドイツ軍は防空壕破壊用の地下貫通爆弾で空爆を行った。この地下貫通爆弾は鉄鋼[[徹甲弾|徹甲弾頭]]がその重量の80%を占めており、地表および防空壕天井を貫通した後に炸薬が爆発するように作られていた。ドイツ軍の地下貫通爆弾が登場すると、イギリスは防空壕をさらに堅固なものに改装するなど、攻撃側と防衛側での競い合いが続いた。
 
第二次大戦後の[[冷戦]]時代には、防護された地下施設などの硬目標に対しては[[核兵器]]を使用することが想定されていたため、通常弾頭に高い貫通能力を備えた航空爆弾は開発されなかった。しかし、[[湾岸戦争]]で核兵器を使用せずに地下施設を破壊する必要が生じ、当初はグランドスラムのような炸薬量の多い兵器の使用が考慮されたが、第2次大戦の使用例から、単純に炸薬量の多いだけの航空爆弾は硬目標に対する効果が低いことが顧みられ、結局、急ぎ新しい爆弾を設計・製造することになった。
 
これによって、一般に“バンカーバスター“として知られる[[GBU-28]]が作られた。この総重量4,700[[ポンド]](2,132[[キログラム]]、なお炸薬量は630ポンド(約286キログラム)の爆弾の他に、これより小型のもの、またより大型の「MOP(Massive Ordnance Penetrator.[[大型貫通爆弾]])」も開発され、以降[[アフガニスタン戦争]]や[[イラク戦争]]でも用いられた。
 
また、地下貫通爆弾の[[弾頭]]に核兵器を搭載したRNEP(Robust Nuclear Earth Penetrator)と呼ばれる兵器の開発計画が存在する。
12 ⟶ 21行目:
== 関連項目 ==
* [[GBU-28]]
* [[大型貫通爆弾]]
* [[B61 (核爆弾)]]
<!--** GBU-28を搭載可能な[[戦闘攻撃機]] - [[F-15E (航空機)|F-15E]]、[[F-111 (航空機)|F-111]]-->
* [[大型貫通爆弾]]
* [[燃料気化爆弾]]
* [[サーモバリック爆薬]]